HRDworld

 

JZS155クラウン アライメント調整

2011-07-27 | アライメント関係
JZS155 クラウンセダン
先回の記事でちょこっとだけ登場したクルマは、JZS155クラウンセダンRoyalsaloonでした。
心臓部に最後の直6、3Lの2JZを搭載し、足回りは前後ダブルウイッシュボーン。そして極めつけはフェンダミラーというなかなかイカした仕様であります^^ もちろん?私のではなくて、兄が購入した車です。彼は長年クラウンに憧れていたようですが、意外にも安価で手中に収めることになったようです(笑)これもネットのおかげですね。これの後継となる現行クラウンセダンはコンフォートベースの「"車軸懸架"クラウン」ですし、6気筒エンジンもありません。ある意味ではこのJZS155が最後のクラウンセダンとも言えるかもしれません。

で、そんなクラウンのアライメント調整をしてみた話。
「ハンドルセンターが若干ズレている」というのがオーナー主張の主な不具合ですが…こういう“若干ズレてる”とかっていうのは中々難しいんですよね。路面の傾きや個人の感性にもよるし、ましてやしかもこんなフワフワサス&ダルダルステアリングのクルマ…なーんて言っても始まりませんのでまあできる範囲でやってみましょう。

実はこのクラウンは前後ともトー/キャンバの調整が可能で、アライメント調整のし甲斐のあるクルマです。この頃のトヨタのFRセダンはみんな似た感じのサスペンションなので他のクルマも同じなのかな?
ただし…ちょっと覗き込んでみたところそれぞれアジャストボルトの向きがバッチリ揃っていて、どうもこれは
動かした形跡なし。
せっかく調整機構が備わっていようと、使わないんじゃ意味ありませんよね。今回はきっちり全箇所動かしちゃいました。

まずは測定…と行きたいところですがその前に、タイロッドエンドブーツが破れていますので調整前に交換しておきます。先日受けた車検で見落とされたのかその後破れたのかわかりませんが、幸いにも早期発見のようなので内部に損傷はなさそう。これならブーツ交換だけでOKです。
使用したブーツは大野ゴムのDC-2522です。純正はブーツだけの部品って出るんでしょうか?トヨタのパーツカタログは手元にないのでよくわかりませんが、このブーツはMADE IN JAPANで高品質と思いますし、1個300円程度で買えました^o^
念のため2個用意しましたが右には交換暦があるようでまだキレイだったので今回は左だけ交換。
そうそう、このブーツは針金留めなので交換は簡単ですが、別途針金が要ります。


タイロッドエンドプーラーで取り外しブーツ交換完了

さてさて、今回からデジタルゲージを使ってキャンバ測定しているため、トーと同時に測定できるようになったことは先日の記事の通りです。実はこのことがこのクルマの場合とっても大きな意味を持ちます(詳しくは後述)。
フロントトーはそれほどズレていないものの、リヤトーにかなり左右差がある(左IN0.4°程度,右ほぼゼロ)ため左に流れそうに思えますがそれなりにまっすぐは走るとのこと。実は、キャンバにも左右差があって(左が前後とも0.0°程度,右が前後とも0.5°程度)、なんだかこれで謎のバランスが取れていたようです^o^;
ちなみにこのクルマ、つい先日車検場で継続検査を受けていますので、もちろんサイドスリップも合格しています。


とりあえず4輪とも測ってみるゲージのとりつけが面倒なので改善検討中。。

調整はリヤから行っていきますが、この形式だとトーとキャンバを独立に調整することができません
もちろんどんな形式でもそれぞれお互いに微妙に影響を及ぼすのですが…この形式では2本のロアアーム(No.1,No.2 サスペンションアーム)がほとんど平行にレイアウトされており、これのメンバー側にアジャストボルトがあります。この場合どちらのロッドを動かしてもトー/キャンバ共に大きく動くことになります。また、今回トヨタ車のアジャストボルトをはじめて触りましたが、すごく大胆に動きます。調整代が大きいのは良いのですが、ちょっとまわすとトーもキャンバも盛大に動きますので慣れが必要です。そんなわけでこのクルマの調整にはトーとキャンバの同時測定が必須となります。これを見越してデジタルアングルゲージを買ったわけではないのですが、結果的に助かりました。
サービスマニュアルにはこれらの調整に参考にするためのグラフが載っていますが、なんだか暗号のようで…ちょっと頭が混乱してしまいます(笑)私としては普通に測定しながら調整したほうがやりやすかったです。
何とかやっていくうちに慣れてきて、最終的にはキャンバ:-0.5°程度,トー:IN 0.25°程度で調整できました。


ロアアーム平面視暗号指令文?


各アーム調整中…前から見るとこんな感じ

続いてフロント。
こちらもロアアームのメンバー側のアジャストボルトでキャンバを調整できるようになっています。
こちらもタイロッドとほぼ平行なリンクですのでトー・キャンバを同時に調整していきます。
キャンバ:-0.5°程度,トー:IN 0.1°程度としておきました。


Fロアアームの調整調整後(画像使い回し)

と、こんな感じで測定・調整を行いました。
調整後の試走は毎回それなりにドキドキするものですが、ハンドルセンターが合っていることを確認してホッとひと息(^o^)
今回トヨタ車のセダンを初めて触りましたが、いろいろと勉強になりました。ジャッキアップ・ダウンさせたとき、ストロークに伴うトレッド変化が非常に少ないことも印象的でした。

…ところで、(ゼロクラウン以前の)クラウンといえば静粛性と特有のフワフワな乗り心地が特徴ですが、クルマの下にもぐって色々見ていると各部のブッシュの使い方などに徹底して乗り心地を重視する姿勢が垣間見えて面白いです。
でもこの辺りの話は長くなりそうなので、またいつか。
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デジタルキャンバーゲージ

2011-06-29 | アライメント関係
ひさしぶりにアライメント測定のお話。
これまでキャンバー測定はこちらのページで紹介しているとおりゲージを縦にして下げ振りを使っていましたが、

・揺れが収まるまで時間がかかる
・角度を直読できない
トーとの同時測定ができない

などなどの不満がありました。
そこで今回それらを解決すべく、デジタルアングルゲージなるものを試しに使ってみました。
読んで字のごとく、デジタル角度計です。ざっと調べたところこの手の角度計はいくつか種類があるのですが、側面でも角度測定できるしお手ごろな値段ってことでシンワ製のものを使ってみました。


トーとキャンバの同時測定テープで止めただけです^^;

画像は実際にアライメント測定の場面で使ってみた様子です。
これなら角度を直接測定できますし、アライメントゲージを横にしたままキャンバとトーを同時測定しながら調整できるため上記の不満を解消できそうです。何よりパッと見て角度が読めるのはわかりやすいですし、ゲージを横にしたままでいいので作業効率もずいぶん上がりそう。本体にはマグネットがついていますがゲージの円形のプレートはアルミのため、とりあえず養生テープで止めただけという不恰好さではありますが、使い勝手はなかなか良好であります

デジタルだと読みやすい反面、ついつい値をキチッと揃えたくなるデメリット(?)がありますが、そもそもこの製品の測定誤差が±0.1°なのでコンマ1の値にあまりムキになっても意味はありません。でも普通の用途ならこの程度の精度で十分かと思います。しばらくはこのテープ仮付け仕様で行きますが、そのうちきちんと固定(+簡単に取り外し)できるようにしたいと思います。手っ取り早いのはプレートに薄い鋼板を重ねるか…


…ところで、作業中のクルマは?と思った方、(もしいたら)鋭いですね!このサイト初登場のクルマです。
ホイールだけで車種がわかるというマニアな方も居らっしゃるかもしれませんが、これはこれで面白いクルマなのでまたそのうち記事で紹介したいと思います。
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トーのずれる原因は?

2010-06-05 | アライメント関係

半年検診?
半年くらい間をあけてミラターボのアライメント測定&調整したときの話。
このクルマはフロントのトーと、マジックキャンバーを入れてあるのでフロントのキャンバー調整ができます。もともとキャンバ-1°、トーイン0.2°程度にあわせてありましたが、左フロントのトーがそこから0.2°くらいアウト側にずれていました。
クルマは新しいし、輪止めにガツンと当てることや脱輪などのショックを与えるなんてことは一度もない運転です。もちろんタイロッドのロックナットの緩みやガタなどはありません。測定をミスってるのかなあ?とも思うのですが、オーナーは調整後のが直進性も良いと言うし…。
フロントサスはストラットで、ロアアームのアップライト側やタイロッドはボールジョイントですので、動くとするとアームのメンバー側のブッシュくらいしか無いわけです。確かにここには大きなゴムブシュが使われているのですが、そんなに短期間で動くものなのか?とちょっと驚きです。ブッシュがやわらかいってことなんでしょうかね。うーん。
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マジックキャンバーとEZカム

2009-11-18 | アライメント関係
以前記事を書いたマジックキャンバーの類似の製品に、EZカムというのがあります。
マジックキャンバもEZカムも、ストラット式サスペンションのキャンバ調整用カムボルトってとこでは一緒です。見た目的にも、ついで言うと価格的にもそう変わりません。マジックキャンバーが実勢5500円くらいで、EZカムは定価5300円…だけど安くなってますね。4100円!
でもこの二つ、似て非なるもの、とも言えるのです。


実はマジックキャンバーを使ってみて、ひとつガッカリした点があります。
それは、カムボルト両端の細い部分の位置決め方法が無く、ブラケット穴の中で遊んでいる状態、つまり
「グラグラ」
な点です。

カムボルトは一番太い部分が元のボルトと同じ太さなわけで、その太い部分がナックルを支えます。つまりストラットのブラケット部分は純正より細く「ガタ」ができるのですが、それを埋めてボルトを位置決めする部品が無いのです。まあ構成部品を見ればあたりまえ、と言えばあたりまえなのですが、実際使ってみて「あー、やっぱそうなのか。。。」という感じです。

取説では、ボルトの遊びを無くすようにネガ側・ポジ側のどちらかに「押しつけて」からカムボルトを回してキャンバを調整する、とあります。
誤解の無いように申し上げますが、もちろん実際にそれでキャンバ調整は問題なくできてますし、簡単にずれてしまうことも無いようです(縁石ヒットとかすれば別だと思いますが)。
それに、キャンバをつけた効果は絶大で、接地性の向上を体感できます。


一方のEZカムには、このマジックキャンバーの「グラグラ問題」に対する回答のような構成部品があるのです。それが
カムワッシャ



と呼ばれる部品です。
これがどう働くかと言うと、こういうことです。
マジックキャンバで問題になった例の「ガタ」にカムワッシャの「スモールタブ」と呼ばれる部分が嵌ることで、ガタをなくすというものです。



さらに、カムワッシャ自体を回すことで調整したい側(ネガ側・ポジ側)を「ラージタブ」の向きで変更・確認できるというアイデア品。
なるほどこれならきっちりと調整できそうです。

と、思うのですが、ネットを探してもEZカムのインプレがあまり見つかりません。
できることなら手にとって見てみたいのですが、試す車も無いので後輩に強く勧めておいたところ、先日購入&取り付けしたとこのことでレポートもらいました。いわく、

アイデアには光るものがあるものの、設計にはいくつか疑問が残る
とのこと。

その疑問な点をまとめてみると、
・まず、ボルト/ナットの二面幅サイズがおかしい(15!、18!)
・カムワッシャ自体の角度を保つ方法がない
の2点に、自分も共感しました。
国産車の整備で15mmや18mmの工具を使うことはまれですから、工具をもっていない人も多いと思います。私も持っていません。
また、カムワッシャ自体が回らないようになっていた方が調整はさらにスムースかも知れません。
付きすぎのネガキャンを起こしたいZ32の場合と違って、ストラットの場合はネガティブキャンバをつけたい場合がほとんどだと思いますので、ネガ側で固定できるような構造でも良いんでは?とも思います。
(彼はその他ボルトが長いだのカム山のマーキングが無いだの言っていましたが、まあその辺は汎用品だし些細なもんだと思うのです。)

ううむ。よさげに見えたEZカムにもいろいろと問題アリとな。。。
両者まさに一長一短といった感じ。


最後に両者の比較を表にまとめておきます。
皆さんは、どちらを選びますか??



(追記)
あ、言及しませんでしたが調整範囲はマジックキャンバのがずいぶん大きいです。
それが魅力、という方も多いかもしれませんね。
カムの大きさは変わらないはずなので、細い部分がさらに細いということですよね。

結局、マジックキャンバに使えるタブワッシャ(回転止め機能付き)があれば万事OK!ってことです。用途を限定すればできそうな気もします。
今度設計してみようかな・・・
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アルファードのアライメント調整

2009-10-08 | アライメント関係
っていってもまさかアルファードに乗り換えたとかじゃなくて、友人に依頼されて測定と調整をしてみましたっていう話です。

先代アルファードに車高調を取り付け、数センチ車高を下げた状態のクルマ。
高すぎず低すぎず、見た目にはなかなか良い感じなのですが、ステアリングのセンターは傾き、ハンドリングにも少々違和感があるとオーナー。さあ、DIYアライメントで改善できるでしょうか。

早速いつもどおりブロックを用意してレベルを調整して、クルマを載せます。
ゲージをつけたら早速測定。アルファードは純正ではフロントのトーのみ調整できます。
今回のクルマはRSRの車高調がついており、フロントはアッパーマウント部でキャンバの調整ができるようになっていますが、測ってみると値は-1°強で左右差もほとんど無いようなので今回は調整しないことにしました。というのも、この車高調、さらにキャンバを強める方向にしか調整代がないので…。

と、いうことで次にトーを測定します。
ここで実はちょっと困ったな、と思いました。ちょっとトーインが大きいですが、それほど極端な値ではないのです。
たしかに少々左右差があるのでハンドルが傾くのは納得できるのですが…。
といいつつ、このクルマでこの数ミリのトーインがどの程度影響するか?というのは未知数なので、とやかく言えることではないのですが。
そうそう、車高を数センチ下げてトーイン強めということは、この車もバンプトーインの特性を持っていることになります。以前ミラのバンプステアについてちょろっと書きましたが、最近の車ってこうなんでしょうか?室内重視レイアウト優先の弊害?
一番下にタイロッドあたりの写真を貼りましたが、タイロッドエンドがクランク状にまがって前進した形をしています。レイアウト上、ラックが後ろに追いやられている感じでしょうか。

ともあれ、これまでの少ない経験を踏まえ、左右1mm弱のトーインを狙ってみました。とはいえ、このときの調整量は左右とも1mm以下です。
この程度で、違いはきちんと体感できるでしょうか。



ところで今回、新しい試みとしてフロントタイヤの下にはポリ袋を敷いています。
これは操舵時の抵抗をなくすための工夫です。というのも、以前トー調整で失敗した事があって、その改善策なのです。結果としては、まあまあ良好です。
トー調整をする際、ハンドルをまっすぐにして左右のトーを測定・調整するわけですが、タイヤを設地させた状態でタイロッドを調整するとタイヤが抵抗となって、ハンドルを回そうとします。ここで助手に乗ってもらってハンドルを固定していると、一見しっかりセンター出しもできたように見えて、その実タイヤやステアリング系のブシュがたわむことでいくらか変位を吸収してしまって、キチンと測定・調整ができないのです(たぶん)。

ステアリングのセンターは操舵機構そのものからいえばあまり意味を持たないように思いますが、傾いていると非常に不快です。
最終的な調整時にはオーナーに乗車してもらい、エンジンをかけ、パワステを効かせた状態で何度か左右に切ってはセンターに戻して確認してもらいました。

その甲斐あって、試走ではセンターもばっちり、ハンドリングの違和感もなくなったようです。オーナーいわく「全然ちがう。乗り心地が良くなった!」とのうれしいお言葉。よかった!
トー調整で乗り心地?と思う方もいるかもしれません。トーの狂いによって車両が安定せず、修正舵を無意識にせわしなくあてているとフラフラして、結果乗り心地が悪いと感じるのかなあなんて思っています。

考えてみると車高調仕様のミニバンってあまり乗ったことなかったので、もっと固いのを想像していたのすが、少なくとも自分にとっては異音や変な振動もなく、とても快適でした。しかしオーナーが言うにはトー調整する前、車高を下げたことで同乗者からも「乗り心地が悪くなった」と言われたことがあるといいます。
自分自身ビフォーアフターで乗り比べていないのでわかりませんが、その同乗者を再度乗せてみてほしいものです。
ほんの1mm、たかがトー調整。甘く見ちゃいけませんね。奥が深いです。
「フロントトーしか調整できない車はアライメントなんて意味ない」
なんて意見を見かけたことがあるのですが、私はそうは思いませんよ!



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マジックキャンバー

2009-05-09 | アライメント関係

ストラット式サスペンションは純正ではキャンバ調整できないものがほとんどだと思いますが、調整したい場合調整式ピロアッパを使うのが一般的だと思います。ジャッキアップなしに調整できるメリットや、ダイレクトなフィーリングの反面、ピロ特有のコトコト音が嫌、という方も多いのではないでしょうか。

ピロアッパー以外でのキャンバ調整手段として、キャンバーボルトなる製品があります。ストラット下部の二本のボルトのうち、上の一本を偏芯ボルト(あるいは細いボルト)に交換することでキャンバ調整が可能になるという代物です。

走行性能を重視すれば少しキャンバを付けたいところですが、ピロアッパーでのキャンバ調整には以前からちょっぴり疑問を持っていることもあって、このキャンバボルトによるキャンバ調整はぜひやってみたいと思っていました。
数種の製品があるようですが、中でもモンローのマジックキャンバーは偏芯タイプのため、ボルトを回転させることで微調整ができること、調整幅が広いこと(±3°と謳われている!)ため、使うならコレがいいかなと考えていました。



今回、兄のL250ミラターボの更なる進化のためこのマジックキャンバーを導入してアライメントのセッティングを進めてみたいと思います。

まずは説明書に従ってストラット下部ブラケットのボルトを交換します。
ボルトがやたら長くて、同梱のぶ厚いカラーを入れるようになっています。
ストラットのブラケット幅ごとに対応品番が違いますが、このカラーの違いなんじゃないの?という気がします。ちなみにミラに適合するのはMC212という品番ってことになっています。
定価は6825円とのことですが、安いところだと5500円くらいで購入できるようです。



ボルトを組み替えたら締め付けはせずに、ボルトのマークを目安に一番ネガティブ側になる位置にセットしてナックルを押し付けます。これが調整の限界です。
その後タイヤを付けて地面に下ろし、キャンバを測定しながらボルトをまわして徐々にキャンバを起こし、任意の値に調整するというわけです。
±3°調整可という謳い文句ですが、ミラの場合、-側はMAXでも1°台のようです。これはおそらく純正のキャンバや、ストラットの2本のボルトの間隔などもろもろの事情によるものと思います。まあ3°ともなると町乗り車としてはあまり現実的ではないと思いますので特に問題は無いです。



以前にも紹介した自作アライメントゲージで測定しながらボルトをまわしてキャンバを調整して行きます。今回は1°程度のネガティブキャンバを付けてみました。
このとき、ただ細いタイプだと微調整のための位置決めが難しいと思いますので偏芯タイプのマジックキャンバーがお勧めです。
キャンバは鉛直方向を基準として測定してますので、地面の水平出しが重要になります。最初左右が上手く合わなかったのですが案の定地面の水平出しが甘かったみたいです。これをやり直したら上手くいきました。

そうそう、キャンバを調整するとトーが盛大にズレますので再調整が必要となります。今回は左右IN0.5mm程度としました。

調整後早速試走しましたが、オーナーによれば「ノーズの入りが違う」とのこと。
自分でも運転してみましたが、ノーズの入りも、コーナリングしながら踏んでいく場面の安定感も増したように思います。
やはりキャンバの効果は大きいようです。
1°程度なのでぱっと見て気づく人は居ないでしょうが、さりげなくついたフロントキャンバは見た目的にもなかなか精悍です。


DIYアライメントもだんだん板についてきましたので、トー調整だけじゃなあという感じですが、こうやって調整可能箇所が増えるといろいろ楽しみが増えます。
ボルト2本で5000円、というと高い感じもしますが、キャンバを調整できる効果を思えば費用対効果は高いと思います。マジックキャンバー、なかなか良いんじゃないでしょうか。
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自作アライメントゲージ

2009-01-26 | アライメント関係
※自作アライメントゲージについて、こちらにもう少し詳しく書きましたので、よろしければご覧ください。このページの説明はわかりにくいと思います(笑)



トーやキャンバといったホイールアライメントの調整。
専門の業者に頼めば高度なアライメントテスターで測定、調整してくれますが結構なお値段となります。

しかしアライメントってやつは、操縦性に大きく寄与する要素ですので、何かベストで普遍的な値があるわけではなく、一発決めてハイおしまいではなくて、どこを変えたらどうなった、とか、この現象はどういう理由で生じているのか?なんてことを実際に感じながらセッティングを楽しみたいというのがほんとのクルマ好きってもんです(←?)。
しかもアライメントは、たとえば車高調で車高を調整したりだとか、足回りをバラしたりだとか、はたまたブッシュが経年劣化したりだとかで動いてしまいます。

と、いうことで自前でアライメントが測定できればいいなーと常々思っておりました。ヤフオクに大量に出品されている商品もありまして、実はこれは私自身買って試しましたが「使えないとは言わないが…」というレベルだというのが正直な感想です。モノに対しては値段が高いですが、まあ勉強代だったと思っています。
と、いうわけでこのたび自作するに至りました。

じゃーん。



写真はトー測定の様子です。
前後に張った糸を基準としてそれに対する角度をトー角としてスケールで読み取ります。左右独立に測定できますのでステアリングのセンターずれなども解消できます。

そしてゲージを縦にしておもりをつけた短い糸を垂らせばキャンバゲージに早変わりです。



糸が示すのは鉛直方向ですので、傾斜地ではクルマが傾いてキャンバ値が測れません。写真でタイヤの下にベニヤ板が見えますが、地面の傾斜を補整するためのものです。

正直言いまして、これの設計に関してはイケヤフォーミュラの製品を大いに参考にしています(といっても写真でしか見たこと無いのですが。実勢価格はこんな感じです)。しかし測定の原理は古典的というか、至ってシンプルなものです。

アライメントの各用語はこちらなどに詳しく書いてありますので書きませんが、トー測定においては基準線をどうするかというのが問題です。
トーの定義からすれば、平面視で車両の中心線と左右のホイールがなす角度ということになりますが、車両の中心線などというものは現実にはどこにあるかわかりません。

一般的なトーゲージではトータルトー(左右のトー角をあわせた値)しか読み取れませんので、たとえばハンドルのセンターが狂っているとか、左右にどれだけ差があるのかということはわからないのです。この左右差というのが重要で、特にリヤのトーに左右差があると車両は傾いた方向に進むことになってしまいます。

HRD方式(というかイケヤ方式)では、ゲージをハブに取り付け、前後ハブ面から一定の距離の点を結ぶことで基準線としています。もちろん前後トレッドの違いがある場合は補整が必要です(細かく言えばキャンバの前後差よってもずれが生じます)。
補正のため三叉のゲージと円板の間にカラーを入れます。ミラの場合リヤトレッドがフロントに対し10mm小さいのでリヤ側に片側各5mmのカラーを入れるという具合です。
この基準線に対しどれだけホイールが傾いているかを長さの単位で読み取り、三角関数で角度に換算するわけです。もちろんmmのまま、タイヤ外径を考慮して換算すれば一般的なmmでの測定にもなります。

ハブはキングピン軸を中心とする回転により移動しますので、トー角があると言うことは基準線の点も動いてしまうのですが、その量による基準線の傾きはごくわずかですので無視しています。



一方キャンバ測定はわかりやすいと思います。
クルマを水平に保てば鉛直方向とホイールのなす角がキャンバということになりますのでゲージの上方からおもりのついた糸を垂らし、キャンバゼロの点からのズレを長さの単位で読み取り、角度に換算します。
クルマを水平に保つため、地面の水平出しが必須となります。
事前に3mmと5mmのベニヤ板を用意して水平器で水平出しをしました。平らに見える地面でも水はけのため結構傾きがつけてありますので最大20mm程度の板を敷きました。

説明の順序が逆になってしまいましたが、測定・調整の順序はキャンバが先です。
これはキャンバを調整によるトーが変化が大きいためです。


ハンドルのセンターズレが気になっていた兄のミラですが、
測ってみるとトーに左右差がありましたので、それを補正したら見事に直りました。トーインが少し大きいように思いましたのでmmでいうと1mm弱まで減らしたのですがこれが結構好フィールなようで、オーナーいわく「メーター振り切るような速度でも安定している」とのこと。ミラバンが結構化けてきました(笑)
このクルマ、じつはフロントのキャンバがなぜかポジティブ気味です。
次はこれに少しネガティブキャンバをつければ快適コーナリングマシンに?!と人の車ながら妄想しています。



もちろん自分のクルマも測定・調整しました。がそのときカメラを忘れて写真がありません…。
Z32は前後マルチリンクですが、ストロークに対するキャンバ変化がかなり大きく設定されているようで、20mm程度ダウンしている状態で2°程度のネガティブキャンバが付いています。各アームは純正ですので調整範囲は広くありませんが、リヤはまあまあ左右差をなくせたと思います。しかしフロントのキャンバ左右差が大きい結果となりました。
測定後もハンドルが少し流れる症状が残っていますので、まずはキャンバ左右差を無くすように頑張ってみたいと思います。純正状態ではフロントキャンバの調整はできないのですが、なんとか純正アームのまま調整してみようとたくらんでいます。

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アライメントとジオメトリ

2008-07-21 | アライメント関係
 サスペンション関係で良く出てくる言葉、アライメントとジオメトリ。
しかし両者を混同しているような記述を見かけることもしばしばです。

ホイール・アライメントはホイールの状態(角度)を指すのに対し、サスペンション・ジオメトリとはサスペンションの動きを決めるため設計されたアーム長さや取り付け位置などの幾何学的な形状や相対位置のことであり、アライメントを理想的な状態に極力近づけられるよう設計されています。
 トーやキャンバといったホイール・アライメントの調整は静的なイニシャルアライメントであり、それらの動的な変化はジオメトリに依存するという関係にあります。

 チューニングショップや、最近はカー用品店でもいわゆる四輪アライメントの測定や調整を行うサービスがあります。光学測定器等を用い、キャスターやキングピン傾角等も測定・調整するためそれらを「アライメント」の項目として扱われていますが、それらは組み付け不良や事故によるジオメトリの左右差、あるいは車高を下げたことによる不適切なジオメトリを補正したりするためものであり、それはすなわちジオメトリの調整である思うのです。

 イニシャルアライメントを調整するとき、多くの場合アライメントだけを調整することができない(たとえばアッパーアームの長さやピロアッパーでキャンバーを調整する場合など、わずかながらジオメトリも変化する)など実際には双方の境界があいまいな部分も存在するのですが、二つの言葉の考え方は異なるものであると考えています。
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タイロッド角度とバンプステア特性

2008-02-06 | アライメント関係
少し前の話になりますが、兄がミラ(L250)を買いました。
しかもバンのMT。驚く無かれ、愛知県限定車49.8万円!!国産で一番安い新車です。
通勤車にしていたエブリーが寿命を迎えたため、とりあえず壊れないアシ車が欲しいということだったらしいのですが、純正足のあまりの頼りなさに参ったのか、足回りをグレードアップすることにすることになりました。
んで、用意した足はなんと

車高調+前後社外スタビ(!)
 

えーと、たしか車両価格が49.8万円でしたよね?
軽は部品が安いとはいえ今回組んだ足回りの部品だけで余裕で10万超えてます…(^-^;)

ま、何はともあれこれらの部品を組むことになり、作業したわけなんですが、その際表題のトー変化について少し思うところがありました。

車高調を組む際、最初はとりあえずメーカーの推奨値に合わせました。たしか35mmダウンくらいだったと思います。そこを基準に好みの車高にしてみよう、という考えです。
とりあえず組んでみていったん試走してみると、足はさすがにスタビも無いようなグニャグニャの純正から車高調+社外スタビなので激変していますが、ハンドリングがやたらダルくなっています。初期がダルくて後半でぐいっと切れ込む感じ、トーイン過大と思われます。何台か車高を下げるのをみていますが、車高を下げるとトーアウトになると思っていたのでちょっと意外な感じ。
それに車高ダウンによってタイロッド角度が変わるため、トーが変化することは承知していましたが、35mmダウンに対しては大きく変わっているような。まあ軽だからタイロッドもナックルアームも短いため、少しの変化に敏感なんでしょう。
とりあえずトーはあとで、と思っていたのでこの時点ではあまり気にしていませんでした。

その後、やっぱ35mmじゃ物足りないということで結局もう30mmくらい下げた(結局べったんこ)のですが、するとどうでしょう、さっきのハンドリングが一転、軽快になっています。
かと言ってハンドルがやたら軽いようなことも無く、そこそこ良い感じなのです。あれ?

…不思議に思ってタイロッドを見てみると、ラック側よりもアップライト側が高い「ちょっとバンザイ」状態、でもアップライト側とラックとの差はパッと見で20~30mmってとこでしょうか。

なるほど、これで謎が解けました。
つまり、先ほどの35mmダウンの際に大体タイロッドは水平で、純正ではタイロッドはアップライト側が低いのです。

車高が変化してトーが変化する、というのはサスのバンプステア特性によるものです。バンプステア特性とはサスのストロークに対してトーがどう変化するか、というもので、これはタイロッドの角度や長さ、ピボット位置などによって決まっています。
設計次第ではこれを限りなくゼロに近づけることも出来ますが、乗用車ではフロント周りの位置の制約が多い(特にFF車は)ため達成は難しいのだと思います。

で、そのバンプステアは普通、F:バンプトーアウト、R:バンプトーインになっているものと思っていました。なぜなら、その方が安全だからです。

バンプする、ということは荷重がかかっているということですので、たとえばコーナリング中だと外側ということになります。コーナーに進入して、徐々に荷重が外側へ、それに伴い外側のサスが沈み車体はロールしていきます。
この際、フロントはトーアウトに、リアはトーインにそれぞれ変化すると、クルマは曲がりにくくなります。いわゆるアンダーステアというやつです。
弱いアンダーステアなら、少しステアリングを切り足せば安定して曲がることができます。

もしこの逆の変化をするとクルマはオーバーステア方向となり、ドライバーが意図したよりも大きくクルマが向きを変える可能性があり危険です。

そんなわけで、車高を下げるとフロントはトーアウトになると思っていたのです。(リヤのトーは変化しない車種もあります。ミラもそうです。)
昔初めてダウンサスで自分のクルマの車高を下げたとき(クルマはカロゴンでした。1500でMTの!)にはそんなことは知らずに「車高を下げたらトーアウトになった」ということだけでしたが、その後上記の理由で納得していました。

ところが、今回のミラ(L250)の場合、純正では1G状態からストロークしていくとだんだんトーイン方向に変化し、タイロッドが水平になった時点で今度はだんだんトーアウト方向に変化するものと思います。うーん、なんだかセオリーと違うなあ。そもそもコーナリング時の姿勢など二の次なのだろうか。でも安全性にかかわることだと思うし。むむむ。
ま、でも今回車高をべったり落としたことで普通のバンプトーアウトになったからいっか?!

その後トーは測って調整しなおし一軒落着。ともあれ、一連の部品を組んだミラはまるっきり別の車になりました。
見違えるような運動性と安定性です。車高調は街乗り重視のものですが、強化スタビとのマッチングが案外よかったのかもしれません。
あ、そうそう純正ではなんと12インチ(!)の鉄ちんですが、ムーヴ純正の14インチアルミも装着されました。

足回りのレベルアップですっかり快適になったミラ。
これからどんな方向に進んでいくのでしょう?わが兄ながら謎です。

 

             スタビも無い純正。              →            真っ赤なスタビが若々しい!

スタビライザーの無いグレードでもブラケット用のねじ穴はちゃんとあります。(ミラに限らずムーヴやタントなどでも同じだと思います)
こんな棒一本でかなり快適になります。お買い物にいくようなスピードでも十分体感できるのでお母さん達の特売仕様にもお勧めです。
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