HRDworld

 

自作アライメントゲージ2023 その4 キャンバ測定

2024-02-04 | 自作アライメントゲージ

またまた自作アライメントゲージの話。もう2024年ですが、2023年版の話です。

今回はキャンバ測定について。トー測定の話をその3で先に書きましたが、通常キャンバ測定・調整⇒トー測定・調整の順に作業を進めます。これはキャンバの変化がトーに与える影響が、その逆よりもずっと大きいためです。

さて、キャンバ測定はとってもシンプルで、下記のようなデジタル角度計をそのまま使うので、特に難しいことはありません。こうした角度計は底面や側面にマグネットがついているものが多いですが、あいにくアライメントゲージがアルミ製なので使えず、3プリントしたホルダを使ってゲージの縦パイプ部に当ててキャンバを読み取ることになります。


 

  

また近頃のスマホの加速度センサはとても高性能ですので、スマートフォンの角度計アプリを使うのも良いと思います。下記のアプリを手持ちのiPhone12miniに入れて、デジタル角度計と比較してみましたが、おおむね0.05°以内の差のようですので、十分実用できそうです。この手のゲージはもともと精度±0.1°くらいだと思うので、あまり細かい数字にこだわっても意味がありません。ホルダはスマートフォンの使用も想定して設計しましたが、一点うっとうしいのがスマホ側面のボタンです。そのまま取付ようとしても真っすぐ取り付けられないので、やむなくスペーサを使っています(画像の青色部分)。

 

 

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そうそう、1点注意したいのが、デジタル角度計の側面を基準にする場合、右なら右、左なら左をいつもゲージに当てるようにするといった調子で、常に同じ側を使ったほうがよさそうです。私が買ったものがイマイチなだけかもしれませんが、左右で0.2-0.3°の違いがあるようです。私の場合、右側の側面を使ったときにスマートフォンのアプリとほぼ同じ値なので、そちらを使うようにしています。

 

…記事を書いていてふと気になったことが、鬼キャン(死語?)なクルマだとどうなるのか、というところです。キャンバ測定自体は特に問題ないのですが、私のアライメントゲージのみならず、だいたいトー測定用のメジャーやスケールのホルダはホイール面と直角になるようについています。キャンバが3-4°くらいまでの普通の範囲では特に問題になりませんが、10度に近いようなキャンバ角になると、トー測定用の部分に角度が付きすぎてしまい、うまく測定できなくなりそうな気がします。今風にいうとキャンバーギャング?な皆さんはどうやってアライメント調整しているのでしょうか。

自分はそういったクルマを作ったり乗ったりするつもりはないので必要ないのですが、気になったので少し考えてみました。以前説明している通り、このアライメントゲージ20mmのアルミ角パイプを使っていますが、トー測定用のバーだけを直径20mmの丸パイプに変更してスクエア型に組んでみると、トー測定用のメジャーホルダを独立して水平に保つことができますので、これならどんなキャンバ角でもトー測定ができそうです。ちょっと試す機会がないですが、もしかしたらアライメントゲージ2023版はそうった特殊な需要?にも対応できるかもしれません。

 

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自作アライメントゲージ2023 その3 トー測定

2023-12-26 | 自作アライメントゲージ

またまた自作アライメントゲージ2023の話。

今回はトー測定についてです。その1で触れた通り、2023年版は2個のメジャーを使ってトー測定する方式としました。というか、メジャー方式と糸張り方式の併用といった感じです。実は、2009年版同様、糸張りで左右のトー測定をすることも可能です(下のほうで説明します)。ところで、写真のクルマは少し前から私の相棒になってくれているBMW 2シリーズクーペ(F22)のm235iです。このクルマの話もまたぼちぼち書こうと思います。

 

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1. メジャー方式によるトータルトーの測定

さて、まずはそのメジャー方式の説明。これはかなりシンプルで、1対のメジャーで、タイヤの前端と後端あたりの距離を測ることでその角度(トー)を知ろうというものです。メジャーの精度ってどうなんだ?と思われるかもしれませんが、読み間違いが少ない(これ重要!)ですし、案外ちゃんと測れるもんだなあというのがやってみた感想です。

メジャーによるトー測定の例 (画像はGoogle画像検索より)

  

 

ところで、トーが角度ではなく「トーイン1mm」などのように表現されていることがあるかと思います。この場合、トーによりタイヤ前端と後端でどれくらいの距離の差が生まれているか、というのを長さで表現したものですので、メジャー方式と概念的に合っていると思います。この場合、2個のメジャーの距離をタイヤ外径と同じにしておくことで、測った値を直接トーの値として読むことができます。(2023年版の良いところは、サイズが自由に変更できることです!)

 

一方、このメジャー方式からトーを角度として知りたい場合、ちょっとだけ計算が要ります。

右に概略の図を示しました。タイヤ前側のメジャーの読みをA、後ろ側をBとして、その差がB-A、そしてメジャーの距離をLとします。するとトータルトーは三角関数を使って以下のように計算できます。この時、厳密にいえばメジャーの間隔Lと三角形の高さはイコールではありませんが、トー角は比較的小さいので、三角形の高さはLと等しいと仮定しています。

ここで、メジャーの間隔Lの値はどうするか?という話ですが、先述の通り、トーを「mm」で見たい場合はタイヤ外径にしておくと便利です。角度で見る場合は、Lは計算式に入ってるので任意の値でOKです。

ただExcelで、メジャーの読みとメジャーの間隔Lに対しての換算表を作ってみると、ちょっと面白いことがわかりました。Lを573㎜あたりにすると、メジャーの読みでトー1.0mmだった場合に角度が0.1°、2.0mmの際に角度0.2°といった具合に、角度がちょうど読みを1/10した値になることがわかりました。570-580mmくらいというのは現実的にも悪くないサイズだと思うので、それくらいにメジャーの間隔Lを設定しておくのも便利です。

 

 

2. 糸張りアライメント

さて、ここまででトータルトーがわかりましたが、左右の個々のトーはわかりません。リヤのトーに左右差(スラストアングル)がある場合、クルマが斜めに進むことになりますし、フロントのトーに左右差があるとステアリングホイールのセンターがズレてしまいます。そこで前後に糸を張って左右のトーを合わせる基準にしたいわけです。

糸張りアライメントというと、大きく分けて2つの方法があります。1つ目はクルマの前後に同じ長さのバーを配し、それらに糸を張る方法。簡単な方法ではジャッキスタンドなどでバーを支えることもできますが、クルマを動かすとズレてしまうので、これはちょっと面倒。一方クルマの前後にバーを固定する方法はレーシングカーでも使われている方法のようで、信頼性の高い方法と言える思いますが、DIY用途には結構大掛かりになります。

クルマに固定せずにバーを支える例 (画像はGoogle画像検索より)

クルマにバーを固定した例 (画像はGoogle画像検索より)

 

 2つ目の方法は、前後ホイールに取り付けたゲージに糸を張る方法。こちらはホイールへの取付だけで完結するので比較的お手軽です。有名なメープルA1ゲージなどがこのタイプ。私の自作アライメントゲージ2009年版もこの方法だったわけです。(画像はこちらよりお借りしました)

 

その1で書いた通り、2009年版では前後に糸を張る際にスペーサを使って前後のトレッド差を吸収する考えだったのですが、キャンバの影響への対応は難しかったです。また、そもそもクルマがスペック表通りの寸法か?というのも疑問が残りますが、糸の平行を確認する良い方法がなかったところが悩ましい点でした。糸の平行度はトーの絶対値に大きく影響してしまうため、2023年版ではメジャー方式と糸張りの併用により、このあたりの悩みを解決しようという考えです。

で、どうやって糸を平行に張るかについて。下の左側の図に示したように、前後輪それぞれで左右ゲージ間の距離を測れるので、それぞれのゲージに取り付けたスケールの糸張り用のフック付きスライダーを調整して

となるようにすることで、前後でほぼ同じ幅に糸を張ることができるようになります。ここで(20mm)というのはアルミ角パイプの分なのですが、前後ともにこの値はあるので、無視しても結構です。大事なのは左右のスケール部のフック位置(左右のC、左右のF)が同じこと、A+2CとB+2Fの値が同じなることです。

糸が張れたら、いよいよ測定です。トータルトーはメジャー方式でも測れるので、糸張りアライメントは左右の値を合わせるだけに使うのも良いと思いますし、個別トーを糸張りで測って、メジャー方式と照らし合わせるのも良いと思います。ここでも、ゲージに付けたスケールの距離を570-580mmにしておくことで、スケールの読み⇒角度への変換が簡単になります。

さて、この方法だと比較的簡単に糸張りができるのですが、ちょっと気を付けないといけないこともあります。左右ゲージ間の距離をメジャーで測定することで、左右の糸同士は平行にできるのですが、ホイールに付いたゲージから糸を張っているので、糸とクルマの平行具合はトーの左右差に影響を受けてしまうということです。

このあたりを考慮して、トー調整の順序を下記のように考えてみました。

1. まず調整前の状態を考えると、下図のように左右のトーは合っていない可能性がありますし、またステアリングのセンターも出ていないかもしれません。この状態で上記のようにA+2C=B+2Dとなるように糸を張ると、糸同士は平行になりますが、クルマとは平行にならない可能性が高いです。糸とクルマが平行になっていないことは、EとE'やFとF’がそれぞれ同じになっていないことに現れます。

2. リヤのトーを調整するために糸とクルマを平行に近づけたいので、ひとまずハンドルを調整して、E=E’となるようする。まだリヤのトーに左右差がある(FとF’は同じではない)ので、厳密にいえば糸とクルマはまだ平行ではありませんが、ここでリヤトーを、F=F’となるように調整していきます。この時、Bの値が変わる可能性があるので、その際はDおよびD’を再調整して糸の平行を維持するようにします。

3. リヤのトーに左右差がなくなって、F=F’となれば、糸とクルマも平行になっているはずです。この時点ではハンドルはまだズレていますが、リヤの調整は完了。

4. リヤのトーの調整が済んだら、ステアリングホイールをセンターに戻す。こうするとEとE’は再び異なる値になるので、これを合わせるようにフロントのトーを調整する。先ほどと同様に、トー調整によりAが変化する可能性が高いので、その時はBおよびB’を再調整して糸の平行を維持するようにします。

5. フロントのトーを調整し、E=E’となれば、再び糸はクルマと平行になっているはず。ここでFとF'を確認すると、3のところで、リヤを調整するときににE=E'の状態で調整したので、F=F'に戻っているはずです。

と、ちょっとややこしい気もしますが、こんな感じで進めていけば、ホイールに取り付けたゲージから糸をはる方式のデメリットを最小限に出来るのではないかと思います。「こんな煩わしい手順を踏むくらいなら前後に長いバーを付けたほうが良い!」と思われる方もいるかもしれませんが、ごもっともだと思います。前後に長いバーを付ける方法は王道ですし、シンプルで良いと思うのですが、前後のアタッチメントを汎用化するのが難しく、また車両とのセンター出しは結局ホイールに位置によることになる…など、実際やろうとするとそれはそれで悩ましい面もあると思います。何事も一長一短ですので、各自好きな方法を選ばれるのが良いと思います。

個人的には、これはこれでそこそこ良いDIY用アライメントゲージになったんじゃないか?と思うのですが、いかがでしょうか。

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自作アライメントゲージ2023 その2 ホイールアタッチメント

2023-11-20 | 自作アライメントゲージ

さて、前回に引き続き自作アライメントゲージ2023の話。

アライメントゲージのリム取付アタッチメントというと、構造的にはタイヤとホイールのリムの間のわずかな隙間に引っ掛けるような構造が一番自然かと思います。画像検索してみると、こんな感じの画像がいろいろ見つかります。で、ホイールのリム部はスペース的に厳しいこともあり、通常は右下の画像のような機械加工のアタッチメントを使うことになります。

リム取付方式の例はこんな感じ。(画像はGoogle画像検索より)

  

  

でも、それだと自作のハードルが高いので、何とか3Dプリントできる形にしたい。また、ホイールとタイヤとの組合せによってリムの露出具合も様々なので、多少なりとも調整幅は持たせたい。そして、ゲージとホイールがどんな角度で取り付けられるかは状況次第なので、回転できる構造である必要がある。そして何より、3Dプリンタで製作した部品の精度に依存しない構造(組み立て時に調整できる構造)にしたい…。

と、いろいろなことを考えてアレコレ試行錯誤したら、こんな形になりました。

 

さて、下の画像はアタッチメントASSYの調整の様子。上の図でいう、Lの寸法がホイールリムからアライメントゲージ(アルミパイプ)までの距離を決めていますが、ネジによる調整式なので3Dプリントした部品の精度によらずに個々に調整できます。またアタッチメントのフック部分とボルト頭は回転できるとともに、軸方向に相対的に少し動かせる構造になっています。これでリム形状の微妙な違いを吸収できる…と良いな、という思いで設計しました。

ところで、アタッチメントの「ツメ」部分はホイールリムとタイヤの隙間に入らないといけないため、それなりに薄くないといけないのですが、あまり薄いと強度不足になります。できるだけいいバランスになるように、と思って設計しましたが、3Dプリントした樹脂部品だと、それなりに厚くなります。タイヤを引っ張り気味な場合はホイールリムの露出が大きくなるので比較的問題ないと思いますが、そうでもない場合もあるかと思います。

一応そういう場合を想定して、3Dプリント部品と薄い板金部品(t=0.5㎜)を組み合わせるバージョンも作りました。これなら結構スペースのタイトな場合でもある程度対応できるのではないかと思います。0.5mmの板というとペラペラなのですが、ゆるくカーブした溝にはめて固定するため、そこそこしっかりしています。下の画像は板金バージョンの取付例。アルミ板でも使えなくはないですが、ステンレスが良いかなという感じです。

さて、そんなこんなでホイールアタッチメントの話はこれくらいにして、次はいよいよ測定方法の話にしようと思います。

その3に続きます。

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自作アライメントゲージ2023 その1

2023-11-19 | 自作アライメントゲージ

このブログに自作アライメントゲージの記事を書いてからなんと早14年。今でも結構アクセスがあるみたいなので、やはりDIYでホイールアライメントを測ったり調整したりしたい!という人は結構いるのかなと思います。で、実は2023年となった今、新しい自作アライメントゲージを作っています。

14年経っても特にやりたいことが変わったわけではないのですが、一番の違いは3Dプリンタの導入により、3D-CADで設計→3Dプリンタで部品製作という方法が使えるようになったことです。これにより部品設計・製作の自由度がぐっと高まったことが、そもそも今更新しいアライメントゲージを作ろうと思ったきっかけでもあります。

ここで、まずは前回の自作アライメントゲージ(以下、2009年版と呼ぶことにします)を振り返ってみます。基本的にはアルミ材を利用したシンプルな構成ですが、いくつか気になる点もあります。私が思う2009年版の主な問題点は…

1. トー測定用の糸が平行か確認する手段がない

過去の記事でも書いている通り、前後ゲージに糸を張って、そこを基準にトーを測ります。この方式は、後輪のトー左右差によるスラストアングルや、前輪のトー左右差によるステアリングセンターなどの調整には悪くないと思うのですが、トーの絶対値は糸の平行度に依存します。理論的には前後トレッド差はゲージの中央部にスペーサを挟んで調整できるのですが、現実的には結果として平行になっているかを確認する手段に乏しいため、トーの絶対値が怪しくなります。

2. ホイールナットを利用してゲージを取付ける方式

この手のアライメントゲージは、リム取付方式かホイールハブ(ホイールナット)取付方式かに大別できるかなと思いますが、2009年版は貫通ロングのホイールナットを利用した取付方式でした。手軽でよい方法ではあるのですが、ホイールナットの寸法個体差や、締め付け方などにも影響を受けますし、短い距離で長いゲージを保持することになるため、ホイールとちゃんと平行になっているかという観点でいうとリム取付方式が有利かなと思います。また多くの欧州車などホイールボルト式の車に取り付けできないというデメリットもあります。一方でリム取付方式はリムの損傷やホイールの歪みの影響を受けますので、一長一短で、ホイールナット方式がダメということではありません。またリム取付式の場合、ホイールを傷つけずに安定して取付できるアタッチメントの設計・製作ハードルが当時の私には高かったです。

3. 製作にそれなりに手間がかかる

これは人によると思いますが、アルミ材を切ったり穴を空けたりといった作業が結構発生しましたし、一部機械加工要な部品がありました。

このあたりを考慮して、2023年版は

  • 3Dプリント部品とアルミ角パイプを利用したモジュール設計(サイズ・組合わせ自由)
  • アルミ材の加工は必要な長さに切りだすのみ。穴あけも無し
  • 3D形状のアタッチメントを用いたリム取付方式
  • トー測定は前後の糸張りだけでなく、簡単なメジャー方式も併用
  • ゲージの精度は3Ⅾプリント部品に依存しない設計

といったことを目指して設計しました。

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とりあえず基本形として考えたのが、こんな感じで20x20㎜のアルミ角パイプをTの字に配置したレイアウト。ホイールリムの3か所にアタッチメントで取り付けます。3点支持は安定しますし、シンプルな構成でトーやキャンバーを測定するための"面”を作ることができます。写真にメジャーが2個見えますが、これらがトー測定用となります。

え?メジャーでトー測定するの?それだと左右の個別トーがわからないって昔言ってなかった?と思われた方、その通りです。この手のメジャー2本でトー測定する方法は、あくまでトータルトーしか測れません。もちろんそのままでは困るので、前後の糸張りもできるようになっています。メジャー方式は比較的簡単にトータルトーの絶対値を把握できますが、個別トーがわからない。一方前後糸張り方式は左右を個別に測定できる反面、トーの絶対値がわかりづらい。じゃあそれらを併用して良いとこ取りしよう!という考えです。

さて、このT型レイアウトですと不都合が生じる場合もあるかと思います。特に地上高が低い車(かつホイール径が小さい)や、フェンダーがタイヤにかぶるような車ではT型レイアウトは厳しいと思います。

そんな場合には、少し部品を追加して、こんな風にスクエア型に組むこともできます。この場合、トー測定バーの高さはホイールリム位置と関係なく設定できますので、地面スレスレでもOKです。

一応こだわったところが、アルミ角パイプに穴あけなどの加工をする必要がありません。好きな長さに切るだけで、あとは3Dプリントした部品で組み立てます。なので、製作が簡単なのはもちろん、例えば複数の車に使うのに組み換えが必要になるとか、そういった場合でも対応がしやすいかなと思います。

さて、アレコレ書き出すと長くなってしまうので、とりあえず今日はこの辺で。次回以降は順番に詳細について書いていこうと思います。まずはホイールアタッチメントについてにする予定。興味のある方は久々にお付き合いいただければと思います。

その2に続きます。

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自作アライメントゲージについて(ちょっと改訂版)

2009-09-30 | 自作アライメントゲージ

※2023年12月更新※

なんと14年ぶりに、新しい自作アライメントゲージを作っています。カテゴリ「自作アライメントゲージ」に記事を書いていきますので良かったらそちらも参照ください。

「自作アライメントゲージ」のブログ記事一覧-HRDworld


このブログをご覧になって下さる方の中には、「アライメントゲージ 自作」などの検索ワードでここに来られた方も多いみたいです。
アライメントゲージを自作しようという方にとってはちょっと情報が少ないと思いますので、もう少し書いてみようと思います。

自分のアライメントゲージについてのまとめ的なページにしようと思いますが、全体的に書きかけです。写真や実際の作業などなど、随時追記して行く予定です。

とりあえず、

  • HRD式ゲージの構成
  • キャンバ測定
  • トー測定
  • クルマを水平にするには
  • どんな値に調整するか?

ってな感じでまとめてみます。
ではでは、いってみましょう。



1.HRD式ゲージの構成

まずはクルマに取り付けるゲージの構成です。
①ゲージ本体
②プレート
③貫通ロングナット(写真では見えてません)
④ゲージ用カラー及びゲージ取り付けボルト
⑤プレート用カラー及びプレート取り付けボルト

まず車両のホイールナット2つを貫通ロングナットに変えます。貫通なので、これで外からボルト止めができるようになります。この貫通ナットに円盤状のプレートをボルト止めします。次に、ゲージ本体をスペーサを使って装着します。


ゲージ本体には釣り糸を引っ掛ける部分と、スケールが付けてあります。
写真はトー測定の様子です。前後に張った糸を基準線として、スケールの値を読みます。

ゲージ本体の材料はアルミ(A6063)のアングル(30×30,t3)、フラットバー(30,t3)です。ホームセンターでよく売っている材料です。プレートの円板はA5052ですが、これはオークションで購入した端材です(φ140,t4)。




2.キャンバ測定

クルマを正面から見て、ホイールが鉛直方向となす角度がキャンバです。
おもりをつけた糸を垂らした線が鉛直方向ですから、クルマを水平にしてホイールとの角度を測ればキャンバの測定ができるわけです。HRD方式でもこれを利用します。ゲージ本体を立てて固定し、上側からおもりをつけた糸を吊るします。この糸とゲージの角度を測ればいいのですが、角度を測るというのは案外難しいものです。
そこで便利な三角関数を利用するわけです。

ゲージ上側中央の吊るす点、下側中央の点、糸と下側ゲージが交わる点の三点を頂点とする直角三角形を考えます。斜辺(糸の辺)の長さをL、短い辺の長さをa、もうひとつの辺の長さをb、キャンバ角をθとすると、θを求めるには、

となります。
つまり、aとbの長さがわかればキャンバ角が求められることになります。
aはゲージの寸法ですからもちろんわかります。一方bはゲージに取り付けたスケールから読みとります。

HRD式ゲージではbの寸法は450mmです。
この寸法が大きいほど、同じ角度でもaの寸法が大きくなるので読み取りやすくなりますが、ゲージ自体が大きくなることでかさばりますし、そもそもタイヤ径より大きくなると測定できない、また誤差も拡大しますのでこんなもんかなあ、と思っています。ちなみにZ32純正だと銘柄にもよると思いますがタイヤ径は630-640mmくらいというところです。

…久しぶりに三角関数に再会した方も多いんじゃないですか?もしわからない方は数学の教科書を引っ張り出してみましょう!え?捨てちゃった?じゃあこのへんを。



3.トー測定

クルマを上から見て、クルマの中心線と各タイヤのなす角度がトーです。
三角関数を使って角度を測る方法は先述のとおりで、トー測定でも利用します。
基準線からの距離を測って…とやりたいのですが、トーの場合この基準線をどうするかが問題になります。
トーの基準はクルマの中心線ということになりますが、クルマの中心線というのは目に見えません。そもそも中心線なんて存在するんでしょうか。
ということで、タイヤの位置を基準に基準線を引くことを考えます。

トー測定時はゲージを水平にして使います。
前後のハブ面から外側に一定の距離だけ離れたの点を結べば、左右に平行な線を引くことができ、これを基準としてトーを測定できる、という考え方です。
ゲージを水平にし、前後ゲージの中心間に糸を張れば、それが基準線になるというわけです。
無論、前後のトレッドに差がある場合はハブ面からの距離(カラーの厚さ)で補正をします。また、前後キャンバに著しく差をつけている場合、ハブセンターの位置でのトレッドが変化している場合もありますが、そういう場合もゲージとプレートの間のカラーで補正できます。


右の写真はトー測定の例です。
スケールの読みは0.8mmというところでしょうか。
理科の授業で「最小目盛りの1/10まで読む」と習った気がしますが、なかなか難しいですね…一応、1mmを5段階くらい(0.0、0.25、0.5、0.75、1.0)なら見分けがつきます。あとは…カンです(笑) このへんは作業者によって読みの値が変わってくるかもしれませんが、細かい絶対値を求めるものでも無いと思うので自分の目を信じましょう(`・ω・´)

ゲージを読んだら先述のキャンバ測定と同じく三角関数を使って角度に換算します。
キャンバ測定ではb寸法は450mmでしたが、トー測定ではゲージ中央から糸を張りますのでここでのb寸法は半分の225mmとなります。
ということで
tan-1(0.8/225)=約0.2°
となります。

Excelを使って換算する場合(私もそうしています)、角度はラジアン表記になるので
(180/π)を掛けて度数表示にします。ですから式としては
=ATAN(a/b)*180/PI()
となります。


…で、これは片側の数値です。
トーを左右独立に測れること、このタイプのゲージの最大の(というか唯一の?)ポイントがここにあります。
クルマの進む向きに大きく影響するスラスト角というのはリヤトーの左右差によって決まりますし、ステアリングのセンターはフロントトーの左右差によって決まります。ですから、トータルトーしか測れないトーゲージ(ヤフオクに大量に出品されている商品など)や、サイドスリップテスターだけでトー調整をするというのは逆に難しいと思います。
というかサイドスリップだけでハンドルのセンターを合わせたりするディーラーのメカニックって案外すごい!?ような気もします。

「ホイールのリムに塩ビパイプ当てて車体に糸を張って…」といった方法でも左右差は測定できますが、前後トレッド差の補正などがやりにくいです。



3.クルマを水平にするには

アライメント、特にキャンバを測定・調整する際にはクルマが水平である必要があります。(トーに関しては、少しの傾斜であればそれほど影響がないことが多いです。)
そこで私はブロック16個と600mm×400mm程度のベニヤの薄板(3㎜,5mm)をたくさん用意して水準器を使いながら四つのタイヤの位置でのレベル調整をしています。

まず測定車両のホイールベース・トレッドに合わせてブロックを置き、角材を渡して水準器で測定しながらベニヤを重ねていきます。地面にマーキングして枚数をメモっておけば、次回からは測定しなくてもOKです。

車両をブロックに乗せるのは、1G状態での調整を可能にするためです。トーやキャンバはサスペンションのストロークに従って変わる値ですので、1G状態で、常に測定しながら調整するのが良いと思います。調整の度にジャッキアップして…というやり方だと希望の値を出すのに相当骨が折れると思います。
合法程度の低車高車であればブロック1つの高さで潜れると思います(メカニックの体型次第?!)。
ただ、ブロックを16個運んだり並べたりするのが面倒なので、いつか専用の台をつくりたいなあと画策中です。



4.どんな値に調整するか?
測定ができたらお次は調整ですが、さて、どんな値に調整しよう?となるわけです。断っておきますが、よくわかっていません(笑)それこそ車両によっても、用途によっても、好みによってもばらばらだと思います。基本は純正の基準値にあわせて、と思いますが、たとえばZ32に限って言えば整備要領書に記載の基準値は結構範囲が広いですし、車高を変更している場合は純正値に入らない場合も多いです。
ですから今のところこんな感じかな?という感じで書きます。
ちなみに私は街乗り+高速や近所のワインディングというごく普通の乗り方です。

フロント
・キャンバ
-1°程度でもコーナリングで体感できました(L250ミラ)。
私のZ32は現状は成り行きで2°程度付いていますが、タイヤを見ているともう少し立ててもいいかなと思っています。
なので-1~-1.5°程度が適当?

・トー
左右差がある場合は直進時ステアリングが傾きます。
フロントトーはゼロが良いと書かれていることが多いですが、ローダウン(+ネガキャン)だからか多少トーインの方がしっかり感というか、中立の定まり感があってフィーリングが良いように思います。
自分のクルマは最近は0.05°程度のトーインを狙って調整しています。
自分以外のクルマを調整することもありますが0.0~0.1°程度のトーインで好評です(今のところ)。

リヤ
・キャンバ
Z32の純正の調整範囲は広くないので左右差をなくすように調整している感じです。
左右差があると車が左右に流れます。
数値は-2.2~-2.5°程度です(車高による)。
このくらいだと多少片ベリはします。絶対値を大きく動かしたことがないのでわからず。調整式のアームでやってみたいですね。

・トー
0.1°~0.2°程度のトーインというのが妥当でしょうか?
これも左右差があるとクルマがまっすぐ走りませんので左右差をなくすのが大事です。
現在、試しに0.5°にしています。リヤの安定性というか踏ん張り感は強く感じます。セオリーどおりアンダー傾向でいつもより舵角をちょっと増やしている感じです。ちょっとやり過ぎかも。→戻しました。現在は0.2°くらいにしています。
ただ、トーインが強い場合外側が片減りするようなので、そういう意味ではネガキャンとも組み合わせは良いかもしれません。→トーインが強いと外側が減る、とサイトなどに書いてありますが、まあ普通の?トーではあまり起きません。キャンバによる内べりのがずっと大きいです。

とこんな感じです。
ご覧になっている方で、「自分はこんな値にしててこんな感じだぜ!」みたいな情報があればぜひ教えてほしいです。



5.その他
・タイヤの下にポリ袋を敷く
ステアリングのセンターを出す際には据え切り状態で微調整することになりますが、タイヤと地面との摩擦が大きいとタイヤ(その他ステアリング系のゴムブシュなども?)がよれてうまく調整できないことがありました。これを防ぐ目的でポリ袋をタイヤの下に敷いてみたらいい感じ。エンジンを掛けなくても楽に据え切りできます。

また、ジャッキアップ状態から下ろしていくと車高が通常状態まで下がらないことがあります。これはストロークに伴うトレッド変化があるために、タイヤの摩擦で引っかかりが起きているのも原因のひとつです。これもポリ袋を敷いて摩擦を減らしてあげることで軽減できます。



と、こんな感じでDIYアライメントを楽しんでいます。
これだけじゃわからん!と言われるかもしれませんが参考程度に…。
私自身、実際に作業してみてわかったことなどがいろいろあります。
そのあたりも、随時書いていこうと思います。ではではとりあえずこの辺で。
(最終更新 2010.09.20)






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