HRDworld

 

自作アライメントゲージ2023 その1

2023-11-19 | 自作アライメントゲージ

このブログに自作アライメントゲージの記事を書いてからなんと早14年。今でも結構アクセスがあるみたいなので、やはりDIYでホイールアライメントを測ったり調整したりしたい!という人は結構いるのかなと思います。で、実は2023年となった今、新しい自作アライメントゲージを作っています。

14年経っても特にやりたいことが変わったわけではないのですが、一番の違いは3Dプリンタの導入により、3D-CADで設計→3Dプリンタで部品製作という方法が使えるようになったことです。これにより部品設計・製作の自由度がぐっと高まったことが、そもそも今更新しいアライメントゲージを作ろうと思ったきっかけでもあります。

ここで、まずは前回の自作アライメントゲージ(以下、2009年版と呼ぶことにします)を振り返ってみます。基本的にはアルミ材を利用したシンプルな構成ですが、いくつか気になる点もあります。私が思う2009年版の主な問題点は…

1. トー測定用の糸が平行か確認する手段がない

過去の記事でも書いている通り、前後ゲージに糸を張って、そこを基準にトーを測ります。この方式は、後輪のトー左右差によるスラストアングルや、前輪のトー左右差によるステアリングセンターなどの調整には悪くないと思うのですが、トーの絶対値は糸の平行度に依存します。理論的には前後トレッド差はゲージの中央部にスペーサを挟んで調整できるのですが、現実的には結果として平行になっているかを確認する手段に乏しいため、トーの絶対値が怪しくなります。

2. ホイールナットを利用してゲージを取付ける方式

この手のアライメントゲージは、リム取付方式かホイールハブ(ホイールナット)取付方式かに大別できるかなと思いますが、2009年版は貫通ロングのホイールナットを利用した取付方式でした。手軽でよい方法ではあるのですが、ホイールナットの寸法個体差や、締め付け方などにも影響を受けますし、短い距離で長いゲージを保持することになるため、ホイールとちゃんと平行になっているかという観点でいうとリム取付方式が有利かなと思います。また多くの欧州車などホイールボルト式の車に取り付けできないというデメリットもあります。一方でリム取付方式はリムの損傷やホイールの歪みの影響を受けますので、一長一短で、ホイールナット方式がダメということではありません。またリム取付式の場合、ホイールを傷つけずに安定して取付できるアタッチメントの設計・製作ハードルが当時の私には高かったです。

3. 製作にそれなりに手間がかかる

これは人によると思いますが、アルミ材を切ったり穴を空けたりといった作業が結構発生しましたし、一部機械加工要な部品がありました。

このあたりを考慮して、2023年版は

  • 3Dプリント部品とアルミ角パイプを利用したモジュール設計(サイズ・組合わせ自由)
  • アルミ材の加工は必要な長さに切りだすのみ。穴あけも無し
  • 3D形状のアタッチメントを用いたリム取付方式
  • トー測定は前後の糸張りだけでなく、簡単なメジャー方式も併用
  • ゲージの精度は3Ⅾプリント部品に依存しない設計

といったことを目指して設計しました。

↓3Dプリント用データはCults3Dで頒布しています↓

DIY wheel alignment gauge [modular design]

DIY wheel alignment gauge [modular design]

**Trial price 75% off by end of January** as it’s still new and I‘m updating to improve it time by time. Of course you’ll be able to download all updates that ...

Cults 3D

 

とりあえず基本形として考えたのが、こんな感じで20x20㎜のアルミ角パイプをTの字に配置したレイアウト。ホイールリムの3か所にアタッチメントで取り付けます。3点支持は安定しますし、シンプルな構成でトーやキャンバーを測定するための"面”を作ることができます。写真にメジャーが2個見えますが、これらがトー測定用となります。

え?メジャーでトー測定するの?それだと左右の個別トーがわからないって昔言ってなかった?と思われた方、その通りです。この手のメジャー2本でトー測定する方法は、あくまでトータルトーしか測れません。もちろんそのままでは困るので、前後の糸張りもできるようになっています。メジャー方式は比較的簡単にトータルトーの絶対値を把握できますが、個別トーがわからない。一方前後糸張り方式は左右を個別に測定できる反面、トーの絶対値がわかりづらい。じゃあそれらを併用して良いとこ取りしよう!という考えです。

さて、このT型レイアウトですと不都合が生じる場合もあるかと思います。特に地上高が低い車(かつホイール径が小さい)や、フェンダーがタイヤにかぶるような車ではT型レイアウトは厳しいと思います。

そんな場合には、少し部品を追加して、こんな風にスクエア型に組むこともできます。この場合、トー測定バーの高さはホイールリム位置と関係なく設定できますので、地面スレスレでもOKです。

一応こだわったところが、アルミ角パイプに穴あけなどの加工をする必要がありません。好きな長さに切るだけで、あとは3Dプリントした部品で組み立てます。なので、製作が簡単なのはもちろん、例えば複数の車に使うのに組み換えが必要になるとか、そういった場合でも対応がしやすいかなと思います。

さて、アレコレ書き出すと長くなってしまうので、とりあえず今日はこの辺で。次回以降は順番に詳細について書いていこうと思います。まずはホイールアタッチメントについてにする予定。興味のある方は久々にお付き合いいただければと思います。

その2に続きます。


Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« SV650ABS USBソケット ブラケ... | TOP | 自作アライメントゲージ2023 ... »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | 自作アライメントゲージ