六、子供の霊魂の中に匂うキリストの薫り
斯くして愛徳は拡張して行った。特に選択されたこの子供に於いて、聖フランシスコ・サレジオに就いて書かれた如く、「神は至聖なる彼女の霊魂の頂点まで信仰の単純な真理の道と、その結構さを見る事の出来る時に、明らかな光を注ぎ掛けられた。それが熱情を増し、入神状態になり、聖旨に歓喜する因となった。」なぜならば彼女は、「心に照らされた目。」に依って歓喜したからで、聖パウロはそれを「救い主の輝かしき美」と言っている。祈りによって彼女の霊魂は、至愛の君と、甘味なる一致を楽しみ、遂にはささやかな出来事の中にも、神の他には何も認めぬように、非常に生き生きとした信仰を持つに至った。
「神様がいらっしゃて下さるのに、どうして辛いことがありましょう。」「神様が思し召し給うがゆえに。」「御光栄の為に。」「善きイエズスを深く愛し奉らんがため、愛の為に全てを!」「善きイエズスにすべてを捧ぐべきである。」「幼きイエズスが御満足し給うがために。」等とは、常に彼女が口にしていた言葉である。「『大事な大事なママ、その事でお悲しみにならない様にね。何故って神様が、そうなる様お許しになったのですから、きっとそれは私どもの為に善い事でございましょう。』と、私の苦しみを見て、幾度慰めてくれたか分からない。」と母が書いている。彼女の心の平和は神に基づき、その一生のあらゆる挙動は聖霊に導かれた。彼女は優雅な生まれつきから、全ての務めをしっかり具合良く易々果たし、笑いにも、戯れにも、天真爛漫な子供らしさにも、快い細やかな情にも、それが表れていた。至善の天主は、彼女に完全な愛徳を与え給い、その愛徳は全ての徳を従えて、彼女の霊に来たり住んだ。諸徳はそれぞれ適当に、機会ある毎に、愛に促されて働いた。結局愛によって全ての動作が行われ、少しも不自然な所なく、子供らしさを失わず、完徳に進み、愛徳に長じ、聖霊の指導に全く任されていたのである。アンヌは愛を以って愛に応じ、超自然化した彼女の霊魂は、決して蜻蛉のごとき儚い一時的の物事と、永遠不朽の事柄とを見迷う事はなかった。早くより地上の虚しさから超越して、高いところに目を付けていた。神に全てを捧げた彼女の心には、何事も聖旨に叶うようにという心遣いしかなかった。
アンヌを最もよく知っている聴罪司祭の、この天使的完徳についての左の一証言が、アンヌの一生を総括して説明している。「聖霊はこの小さい霊魂に在っては、思いのままに為し得給うた。」と。
愛徳の中に子の霊魂は伸び拡がり、その徳を他人にも分け与えたいものであると望んだ。罪人の改心に対して抱いていた、燃ゆる熱情から捧げた愛の行いによって、また彼女の身近く住んだ幸運者は、いつも細やかな愛情に潤され、篤い待遇を受けた。(六、子供の霊魂の中に匂うキリストの薫り 終わり)
読んでくださってありがとうございます。yui
斯くして愛徳は拡張して行った。特に選択されたこの子供に於いて、聖フランシスコ・サレジオに就いて書かれた如く、「神は至聖なる彼女の霊魂の頂点まで信仰の単純な真理の道と、その結構さを見る事の出来る時に、明らかな光を注ぎ掛けられた。それが熱情を増し、入神状態になり、聖旨に歓喜する因となった。」なぜならば彼女は、「心に照らされた目。」に依って歓喜したからで、聖パウロはそれを「救い主の輝かしき美」と言っている。祈りによって彼女の霊魂は、至愛の君と、甘味なる一致を楽しみ、遂にはささやかな出来事の中にも、神の他には何も認めぬように、非常に生き生きとした信仰を持つに至った。
「神様がいらっしゃて下さるのに、どうして辛いことがありましょう。」「神様が思し召し給うがゆえに。」「御光栄の為に。」「善きイエズスを深く愛し奉らんがため、愛の為に全てを!」「善きイエズスにすべてを捧ぐべきである。」「幼きイエズスが御満足し給うがために。」等とは、常に彼女が口にしていた言葉である。「『大事な大事なママ、その事でお悲しみにならない様にね。何故って神様が、そうなる様お許しになったのですから、きっとそれは私どもの為に善い事でございましょう。』と、私の苦しみを見て、幾度慰めてくれたか分からない。」と母が書いている。彼女の心の平和は神に基づき、その一生のあらゆる挙動は聖霊に導かれた。彼女は優雅な生まれつきから、全ての務めをしっかり具合良く易々果たし、笑いにも、戯れにも、天真爛漫な子供らしさにも、快い細やかな情にも、それが表れていた。至善の天主は、彼女に完全な愛徳を与え給い、その愛徳は全ての徳を従えて、彼女の霊に来たり住んだ。諸徳はそれぞれ適当に、機会ある毎に、愛に促されて働いた。結局愛によって全ての動作が行われ、少しも不自然な所なく、子供らしさを失わず、完徳に進み、愛徳に長じ、聖霊の指導に全く任されていたのである。アンヌは愛を以って愛に応じ、超自然化した彼女の霊魂は、決して蜻蛉のごとき儚い一時的の物事と、永遠不朽の事柄とを見迷う事はなかった。早くより地上の虚しさから超越して、高いところに目を付けていた。神に全てを捧げた彼女の心には、何事も聖旨に叶うようにという心遣いしかなかった。
アンヌを最もよく知っている聴罪司祭の、この天使的完徳についての左の一証言が、アンヌの一生を総括して説明している。「聖霊はこの小さい霊魂に在っては、思いのままに為し得給うた。」と。
愛徳の中に子の霊魂は伸び拡がり、その徳を他人にも分け与えたいものであると望んだ。罪人の改心に対して抱いていた、燃ゆる熱情から捧げた愛の行いによって、また彼女の身近く住んだ幸運者は、いつも細やかな愛情に潤され、篤い待遇を受けた。(六、子供の霊魂の中に匂うキリストの薫り 終わり)
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