Johnny’s Dazed And Confused Days

〜ジョニーのぼんやりと混乱した日々〜

♪ ロング・アンド・ワインディング・ロード / ザ・ビートルズ:1970年作

2023年01月26日 12時24分36秒 | 『Let It Be』

Swan Song
白鳥は生涯鳴かないが、死ぬ間際に美しい歌を歌うという伝承があるそうです。

壊れゆくビートルズ王国、その様々に絡み合った生憎~最悪の状態の中で生まれたにもかかわらず、その美しさは群を抜き、この曲を“白鳥”に例えて"Swan Song"と呼びました。

“稀代の名曲”とか“珠玉のバラード”・・・どのような表現で絶賛しても、充分に言い表せたといえない~今日ご紹介するのは、ポール・マッカートニーの書き上げた屈指の名曲「The Long And Winding Road」です。

グループの終焉が直ぐそこに・・・
映画『LET IT BE』の中で、ピアノ越しのポールが切々と歌い上げるこの曲は、湖から飛び立つ白鳥の美しい姿に重なります。 更に偉大なグループの終焉が直ぐそこまで迫っている状況等を考え合わせると心にグッと来るものが・・・
ポール・マッカートニーにとってこの曲は、長年に渡り苦労を共にした友への惜別の歌であり、自分に対しての応援歌でもあったんでしょうね。

アレンジを巡っての対立は崩壊劇の象徴に
しかし、この美しき“スワン・ソング”は、その後、アレンジを巡り、オーケストラや女性コーラスを入れたフィル・スペクターに対し、それに激怒するポールというような対立を生み、アルバム『LET IT BE』の抱えた複雑な問題を浮き彫りにしました。
これについては、双方の立場、思い入れ等、様々な事柄が交差するため、どちらが“正しい”とも“間違い”とも言えないのではないでしょうか?

個人的には、皆が放り出した仕事を「完成させてくれ」と頼まれたフィル・スペクターを批判するのはどう考えてもおかしいと思います。

いずれにしても、この事はビートルズの後味の悪い崩壊劇の象徴的な出来事として語られることになり、この美しい曲に“影”を投げかけている事が残念でなりません。

二つの歌詞
さて、この曲、1970年にリリースされたアルバム『Let It Be』ではサビの歌詞が下記のようになっております(1969年1月26日録音されたものがベース)・・・

Anyway, you'll never know
The many ways I've tried

僕が手を尽くしているのを
君は知らない


しかし、映画の中や『Let It Be...Naked』では、歌詞が下記のように代えられております(1969年1月31日録音されたものがベース)・・・

Anyway, you'll always know
The many ways I've tried

僕が手を尽くしているのを
君は知っている


訳詞の微妙な間違いはあるかもしれませんが、何れにせよ全く対照的な言葉を発していることは確かなことです!

『Let It Be ... Naked』において、“最後に録音されたこちらの詞をポールの最終結論とみなした”というような事柄が書かれておりましたが、Wings時代のライヴでは、最初の方の詞で歌っております(笑)

最初の方が、語呂がいいから歌いやすいですよね!
まあ、ごちゃごちゃ言わんと・・・
『1970年のヴァージョンは、部外者の手によって施されたプロデュースが全般的に気に入らないから、もう一度、途中で放り出したことを反省し、プロデュースし直してみました。』

このように言った方がスッキリして判り易いですね!(^O^)

The Long And Winding Road - The Beatles 

ロング・アンド・ワインディング・ロード
/ ザ・ビートルズ

君の扉へと続く
長く曲がりくねった道
それは決して消えることなく
たびたび現われては
この場所へ僕を連れ戻す
どうか君の扉へと導いてくれ

荒々しく風の吹きすさぶ夜は
雨に洗い流され
あとに残ったのは涙の海
僕は明日を求めて泣いた
なぜここに放っておくんだい
どうすれば君のもとへたどり着ける?

寂しさに泣き濡れたことが
幾度あったろう
僕が手を尽くしているのを
君は知らない

そして結局 ここへ戻ってきてしまう
長く曲がりくねったこの道
君は僕をここに置いていった
遠い昔のことだ
いつまで待たせておくんだい
どうか君のとびらへと導いてくれ

けれど結局 ここへ戻ってきてしまう
長く曲がりくねったこの道
君はここに僕を置いていった
遠い昔のことだ
いつまでも待たせないで
どうか君の扉へと導いてくれ

 

 



2 コメント

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Unknown (sakaki45)
2023-01-27 00:33:33
自分はライチャスブラザースとかが好きで、フィル・スペクターの
ウォールオブサウンドは肯定的ですが、
大袈裟すぎるアレンジはポールには邪魔と感じたんでしょうね。

スワンソングは、臨終の歌と捉えられる事もありますが、
ジミー・ペイジはそれを好んで自らのレーベル名にしていたなぁと思い出しました。
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Unknown (ikenaijoni)
2023-01-27 14:15:35
@sakaki45 さんへ
フィル・スペクターという人は、ちょっと精神的には異常なところもありますが、プロデューサーとしては偉大な人ですよ。
皆が放り投げたた仕事を莫大な量の録音テープをこまめにチェックして一つのアルバムに仕立て上げたのですから!
フィル・スペクター=ウォール・オブ・サウンドというイメージがありますが、ジョージ・ハリスンの『オール・シングス・マスト・パス』なんかは、「美しき人生」でこそ全開させましたが、その他の曲はすっきりとしていて、フォーク・ロックの名盤にしました。
ジョン・レノンの『ジョンの魂』なんて、最小の楽器だけであれだけの緊張感のアルバムを作りあげました。
生ギター、エレキギター、ドラム、ベースギター、ピアノだけですよ!
確か1曲だけバックにキーボードが流れてます。
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