保護に慣れてしまった日本のコメ産業が輸出の担い手になるとすれば、流通業界から、生産現場までのインテグレートが必要となってこよう。
現に住商が米輸出を考えているし、木徳神糧も大連に拠点を作ろうとしている。
ただ、これらを関係者のウイン・ウイン関係を維持しながら構築する必要がある。
(国家プロジェクトとして対応する必要があると言うこと)
現状で、中国市場をにらみ、さしあたり20万トンの輸出を射程に入れようとしている。
が、早速、全農筋からは、「無理だ、できない」の観測が漏れ伝わってくる。
生産調整等で市場を縮小させ、価格を維持したい全農と、価格を下げても、市場を拡大し、需要創造をしようと考える人の間には、相変わらず大きな溝が横たわったままなのだろう。
国内の短粒種が輸出に踏み込めば、日本の米問題-過剰問題にも一役買うのではないかと考えるのが普通の考えと思うのだが、、
ただ、このコメ輸出、、現実には乗り越えなければならないことが多いのも事実だ、、
そうしたことを一つ一つクリアーしていってこそ、、コメ輸出は現実のものとなってくる。
03年の日本米禁輸、燻蒸問題もそうだが、中国との貿易の構築は戦略的でなければならない。
非関税障壁は、ある日理由がわからないままやってくる可能性もある。
そうした事に備えて多国間ルールが必要なのだが、
コメ関係者にとっては、TPPが何のために必要かは、こうした課題が目前に迫って初めて実感するのだろう。
ただ、農産物輸出は考えられもせず、国際ルールの必要性は認識したくないという勢力が国内に多いのも確か。
ために、20万トン輸出は無理、といってるるのかもしれない。
国際ルール作りは、貿易振興のために行うものだが、わが国ではたちまち農業問題と同義とされてしまう。
ともあれ、日経商品部が、その課題を整理しているので引用しておこう。
コメの対中輸出、巨大市場開拓は未知数、「食味」頼みには限界も。
2010/12/23 日本経済新聞 朝刊 23ページ 1197文字
政府や流通業者が進めるコメの中国向け輸出が難題に直面している。政府は中国企業との取引に道筋を付けようと動き出したが、日本産の現地価格は中国産やタイ産よりかなり高い。現状では贈答などに用途が限られている。巨大市場を開拓できるかは未知数だ。
11月下旬、農林水産省の筒井信隆副大臣に1通の手紙が届いた。送り主は農産物を生産・販売する中国の国有企業「中国農業発展集団」のトップである劉身利董事長。「日本のコメの輸入について北京で話し合いたい」との趣旨だった。
筒井副大臣は12月8日に訪中し、9日に急ごしらえの覚書を交わした。内容は「農林水産品の展示館を設置」「定期的に意見交換」と具体性に乏しいが、中国側は日本産の輸入に前向きという。日本政府は検疫上の規制緩和を求めている。
副大臣の訪中と同じころ、中国の穀物輸出入を管理する国有企業、中糧集団(COFCO)の幹部が来日した。招いたのは全国農業協同組合連合会(全農)。「取引を拡大しようではないか」。2009年度に30トン程度だった全農の輸出を増やすことを確認した。
中国のコメ消費量は年間約1億3千万トンと世界の3割を占める。日本の16~18倍近い。日本と同じ短粒種を好むとされる富裕層が増え、現地では食味の良い日本産の魅力が高まっているようだ。コメ余りに悩んできた日本にとって、中国は救い主になるのだろうか。
コメ卸大手の木徳神糧は来春に大連市に合弁会社を設立、将来は日本からの輸出をにらむ。吉林糧食集団と提携している住友商事も日本産米の取り扱いの検討を始めた。だが、実際には輸出拡大の道は険しい。
コメの最大生産国でもある中国の輸入量は年間30万トン程度。大半は安いタイ産だ。日本からの輸入量は08年で90トン、09年で30トンにすぎない。最大のハードルは価格だ。
日本貿易振興機構によると、北京市内の日系百貨店などで9月に売っていた日本産米は1キログラム1100~1200円。タイ産の約4倍で、中国産に比べると6倍近い。
農水省が昨年まとめた試算によると、日本の港で船積みしたコメが中国の店頭で売られると価格は約2倍になる。輸入関税のほか小売りや卸会社のマージン(粗利益)が上乗せされるためだ。
食味の良さを強みに高価格を維持する選択肢はある。だが、農地の大規模化や新品種の開発といったコスト削減を進めないまま、成長市場を攻略できる保証はない。
▼コメの対中輸出 中国は2003年、同国にいない害虫(カツオブシムシ類)が入る恐れがあるとして日本産米の輸入を禁じた。07年に再開したが、検疫条件として害虫のいない精米工場であることを示す1年分のデータなどが必要とされた。現在認可されているのは全農の神奈川県の精米工場1カ所のみ。輸出するには全農に精米を委託する必要がある。
日本産米の中国での販売価格はタイ産の4倍、中国産の6倍だ
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