東日本大震災から10年。
あの日、不動産屋のバイトが終わって、実家に幼な子2人を迎えに行くと、母が、
「ちょっと!東北の方ですごい地震があったんやで!」
と言う。
テレビを見ると、グレーの布みたいなものが、画面の左から右へ広がっていく映像だった。
??
理解出来ずにいたら、母が、それは津波だと言った。
津波にのまれていく街を見下ろした自衛隊のはるか上空からの映像だったと思う。
海ではなく、街の上を走る波…
ということは、その下には人の家や暮らしがある…
家族がいて、
お母さんがいて、おじいちゃんやおばあちゃんがいて、
そして、子供達がいるはずのところに…
ご飯が喉を通らなかったのを覚えている。
阪神大震災を経験したから、地震の恐怖は知っている。
でも、津波は比較にならない。
すべてを引き離して、連れ去って、家族までバラバラにしてしまう。
全ての子供達がお父さんお母さんのところへ帰れますように、とあの日祈った。
みんな、ちゃんと帰れたかな…。
お父さんお母さんのところに帰れたかな…。
迷子になって泣いている子はもういないかな…。
いないといいなあ…。