ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の話他、幕末〜明治維新の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮などの話も。

小説仮面ライダーW〜Zを継ぐ者〜 感想 

2016年10月21日 | 文学・歴史・美術および書評
今回は「特撮」のテレビシリーズのノベライズを読んでみようってとこです。
実は自分、原作小説の映画化は見ること多いんですが
先に映像化したものからの小説版てあまりなかったなあ…
「読んでから見る」方。
でもそれだとたまに「えー?(-。-;」ってのもあるんですよ。
別に原作に忠実でないと激しくバッシングするというタイプではないですけど。

珍しくノベライズに手を出した理由は
フォーゼ対オーズでゲストで出てた翔太郎とフィリップで更に満足できんで
「W」関係もっと見たいよ〜!!無い〜!!? に尽きる。
これはもう脳内上映会開催するしか無いのかと
したら、小説版があるではないですか万歳。

特撮なのかカテゴリー悩みましたが書評なので…

講談社キャラクター文庫から出てます。
「W」脚本家三条陸さんによる、小説版です。

これ読む前にWのファイナルトークショーも見まして
それも踏まえて感想です!


【アクティブなフィリップ】

テレビシリーズの主人公は2人といえど、やっぱりメインは左翔太郎だと思うんです。
事件簿をつけてるのは翔太郎。
「シャーロック・ホームズ」の主人公はワトソンなんでは。ホームズいつも家にいるし。視点はワトソンだし。

が、小説版では翔太郎、本編のほぼ3分の2寝てますんで。

頭脳メインというと、どうしてもアクションはしないのかと思いがちですが
フィリップの場合そうではないです。
テレビシリーズでは
「対策など動いてから立てればいい(翔太郎が言ったように)
僕も理屈でなく動いてみることにした。
地獄の底まで、悪魔と相乗りしてくれ」

とファングジョーカー、フィリップメインで変身しますけど。
(ただし暴走する)

小説版では、ファングジョーカー以上のものが観れます。
主人公はフィリップで書いてあります。

そして
「何でテレビシリーズでやんなかったんだよ!!」


というのがてんこ盛りです。

テレビシリーズと劇場版を駆使してもまだ足らない部分の完全補填がここに!


概要。小説版お話は「明るめの横溝」
という感じです。
アクション系冒険推理になっているので犯人言えないけど。
リゾート開発している一族の遺産相続、それに絡む事件と
祖父が守ろうとしたもの。依頼人は一族の末娘。
謎に単独で挑むフィリップ。てかんじ。
あえてテレビシリーズに挿入するなら
エクストリームの後くらい。



【「どうしたらいい?」は検索できない】

何でも検索できて、調べさえすれば万能の知恵袋。
けれど案外世間の常識を知らないフィリップ

「ああこれ、スマホという武器を手にした今時のお子さんや…」
と思ってしまいましたホント。

「どうすればいいのか」に向き合う暇もなく情報が送られてくる現代では
膨大な本棚の中で途方にくれるのです。
自分で判断できないと、「他人はどうしてるの?」と情報を検索することになる。

でも、その現場で、その問題、試練に挑んでいる人って
「全く同じ状況、同じ時間と場所」でヒットするのは「自分だけ」
なのではないか?
そう思います。
おそらく、ベストな選択肢はいくつかヒットするでしょう。
こうすればいい、ああすれば正解
でも、自分の気持ちや願いと、正解が正反対だったりする場合もある。


翔太郎の「代役」として事件に挑んでみて
翔太郎のように信念貫くのが難しいと悩む彼が
「どうしたらいい?」と困って相談する

それから取った行動こそ
「想像力」だと思うんです。
というと、最近は「妄想」や具体化しない虚しい空想と間違えられるのでしょうが
真の想う力、考える力。
理論だけでなく直感も気持ちも、もし彼ならどうするだろう?とか
人がどう想うのかも含めて考えられる力です。

結局、翔太郎はフィリップに相談されても
「こうしろ、ああしろ」と言いませんでした。
それで一度は、突き放されたように感じて落ち込むフィリップではありましたが
そのアドバイスはベストです。
先に正解を示したり、できないのを「なぜできないんだ」と責めるようなものでも
きっと、この力、風を起こすかのようなその力は得られないのではないかと思います。



これ、でもやっぱり
「信頼関係」がないなら「そんなに冷たいやつだったんだ」で終わる。

よく知恵袋あたりで見る「どうしたらいいですか」に
「自業自得です、今更もう遅い。最初から〜しておくべきでした」
なんてあるのは、やっぱり全く相手がどうなろうが知ったことじゃないから言えるのではと思います。


三条陸的テーマ
と言っていいんじゃないかなあ
というものは
遠くて大きな概念と戦ったり、守ろうとする大義名分の世界でなくて
もっと実質的に近い人間の関係性の上にある。
その信頼の中で自身
「今できることと必死に戦う」
そういうところでしょうか。

そして翔太郎…
テレビシリーズでお届けできなかった!理由があるんだよ!
まさか桐山漣のケツにネギを…そんなわけにいかないんだよ><

どういうこっちゃ?って人は覚悟してお読みください。


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