今年2025年は夏の参院選や都議選を始め、全国で851件の選挙が予定されているようです。選挙権を持つ者として一票の重みを感じながら投票に行きたいものです。
古代ギリシアの選挙制度といえば、特にアテナイにおいて発展した直接民主制が代表的です。アテナイでは紀元前5世紀頃に、市民が直接参加して公職者を選出する仕組みが整えられました。
選挙は、投票と抽選の二つの方法が用いられたようです。重要な職位、例えば将軍職などは、投票によって選ばれました。市民集会(エクレシア)において、市民が手を挙げて投票する形態が一般的でした。一方、日常的な行政や司法の運営に関わる多くの公職者は抽選によって選ばれました。抽選には、「クレーロテリア」と呼ばれる特別な装置を使っていたとのことです。この装置は、各市民の名前が書かれた小さな札を入れるためのもので、ランダムに札を引くことで公正な選出が行われました。特定のエリート層に権力が集中しないようにするための方法でした。これにより、すべての市民が平等に公職に就く機会を持つことができましたが、経験や能力に関係なく選ばれるため、必ずしも最適な人材が選出されるとは限らないという課題もありました。
投票といえば、アテナイには、オストラキスモス(陶片追放)という独特な制度もありました。これは、独裁者の出現を防ぐため、政治的に有害と見なされた人物を追放する制度です。市民は陶片に追放したい人物の名前を刻んで投票し、一定数以上の票を得た者はアテナイから10年間追放されました。なぜ陶器の破片なのか不思議に思いますが、当時日常的に使われていたもので用意に手に入れることができ、名前を刻むことが簡単だったからのようです。投票用紙としては面白いですね。
このように古代ギリシアの選挙制度は、市民が政治に参加する機会を提供し、民主主義の基盤を築きました。しかし、選挙の過程では腐敗や派閥争いが生じることもあり、選挙の公正さを確保するために、賄賂の禁止や選挙暴力の禁止、投票の秘密保持などの法律が制定されたとのことです。古代も現代も同じようなものです。
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