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ダンケルク

2017年09月09日 18時10分00秒 | 映画 た行
評価:★★★★☆【4.5点】



噂通りの体感系アトラクション映画と言っていいかも。




1940年、フランス北端の港町ダンケルク。
ドイツ軍に追い詰められた英仏連合軍40万の兵士たちは
絶体絶命の状況を迎えていた。
若き英国兵トミーが街中を必死で逃げ回り、
ようやく辿り着いた海岸には、おびただしい数の兵士たちが
救助の船を待っていた。しかし彼らに残された時間は限られていた。
そこでドーバー海峡を挟んだ対岸のイギリスでは、
民間の船までをも総動員した救出作戦が決行される。
民間船の船長ミスター・ドーソンもそれに呼応し、
息子とともに危険を顧みず同胞が待つダンケルクへ向け船を走らせる。
そして最新鋭戦闘機スピットファイアのパイロット、ファリアーもまた、
危険を承知の上で味方の撤退を援護すべく
イギリスから飛び立つのだったが…。
<allcinema>



劇中の極端に少ないセリフに代わって映画を盛り上げているのが
ノーラン自身がこだわり抜いた鼓動の効果音と時計の秒針音だ。
ダンケルクに追い詰められた彼らに時間という概念を
植え付けさせる作戦なんだろうが、これが略全編に用意されていて
不安を煽る意味では実に効果的なのだ。

ストーリーは3つの視点からなり、それが並行しているようだが
キリアン・マーフィーのシーンで時間軸が違うようにも見える。
これはもういちど確認する部分として残しておきたい。

とにかくCGを一切使わずにこれだけの戦争映画を撮るなんて
(いや、多少のCGは序盤の砂浜シーンであったのかもしれないが)
演じる方も自分がその時代のその場所に立ち、ドイツの攻撃から
さも追い詰められている感じがあったのではないだろうか。

観る方もアトラクション感覚なら演じる方もアトラクション感覚で
この撮影は絶対に楽しかったに違いない^^


【今週のツッコミ】

・英国戦闘機スピットファイアとドイツのメッサーシュミットの空中戦!
 ここに日本のゼロ式戦闘機が加わり三つ巴のドッグファイトとなれば
 おそらく恐ろしいほど小回りの利くゼロ式戦闘機の圧勝だろう。

・主人公の若い兵士ともう一人が彼らなりに頭を使い、負傷兵を運べば
 優先的に赤十字の病院船に乗り込めると踏んだが、
 結果的に彼らは追い出され、それが逆に幸運となる皮肉。

・空軍兵で戦死した長男を誇りに想う小型民間船船長のマーク・ライランスと
 残り少ない燃料にも関わらずドイツ爆撃機に向かっていった凄腕パイロットの
 トム・ハーディに痺れまくり!

・燃料が尽きグライダー状態で浜の端まで飛んでいきコクピット降機後
 ピントを意図的にずらしているが彼を連れて行ったのは
 明らかにドイツ軍の兵士たちであり、彼のその後を想うと切なすぎる。

・グロ映像を前面に出した『プライベート・ライアン』『ハクソー・リッジ』
 本作にはそのような映像はまったくないが心理的な恐怖という意味では
 断然こちらの勝利ではないだろうか。
 鑑賞中、『炎628』の少年が味わった恐怖感がふと蘇る。

・ワタシ的に看護師ヒロインを一切出さなかったもう一つのこだわりに
 ノーランの徹底したリアリズムを見た気がする。
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監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
音楽:ハンス・ジマー
出演:フィオン・ホワイトヘッド/トム・グリン=カーニー/ジャック・ロウデン

『ダンケルク』


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (えふ)
2017-09-09 20:04:06
グロ映像がないのに、
これだけの心拍数を煽るのはさすが!としか言いようがありませんね。
ハンス・ジマーの音楽の影響も大ですが。
あと、確かに女性が一瞬紅茶を配るだけで、
ラブ要素がなかったのが良かったですね。
返信する
CG (まっつぁんこ)
2017-09-09 20:21:33
CG一切無しというのは大袈裟でしょう(^^♪
画像処理はあるはずです。
返信する
えふさんへ (ituka)
2017-09-09 20:34:37
リアル志向というのは何も内臓グチャ!だけじゃないですね(笑)
この映画を観て他の監督さんも何かを感じて
次の映画作りのヒントになれば映画産業もどんどん盛り上がっていくことでしょう。
あの秒針音とバイオリンの音色がノイズにならなくてホッとしました^^;
返信する
まっつぁんこさんへ (ituka)
2017-09-09 20:40:29
確かに今どきの映画は画像処理くらいしますもんね(笑)
主体となるものが作れるのなら実物大で作ってしまおうというのが
ノーランのこだわりらしいですが、どこか黒澤明っぽくて
こういうの大好きです。
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こんにちは (yukarin)
2017-09-12 13:29:04
まさに体感する映画でしたね。
CGに頼りすぎない映像は圧巻でした。
最初から最後まで緊張感ある展開で、とくに秒針音が緊張感を増してました。
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yukarinさんへ (ituka)
2017-09-12 20:40:45
過去にこんな戦争映画があったでしょうか?
な~んてことを言いたくなるくらい斬新でしたね。
ノーランだから普通には撮らないだろうとは思っていましたが
観るものがその場に居て一緒に行動してる錯覚を覚えましたよ(笑)
そうそう、秒針音がすごく効果的でした。
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Unknown (mariyon)
2017-09-15 14:31:06
このスタンスがノーランなんでしょうね。
ダンケルクは、すでに何度も映画化されているし
下手な説明や、無能な上官や、涙にくれる妻、恋人
すべて排除した、あの瞬間だけ切り取った世界。

助けられても助けても、どちらも特別でない。

久々に映画堪能です!
返信する
mariyonさんへ (ituka)
2017-09-15 20:28:37
時間軸を自在に操る有能な監督さんですよね。
戦闘機からの映像シーンが一番先を行っていて
海と防波堤がそのあとを追いかけるような感じでしたね。

ワタシは戦闘機のファリア(トムハ)がなぜ着水しないで
攻め入る敵の陣地まで分かっていながら飛んで行ったのか
そこのところが未だによく分かりません(笑)

とにかくいい映画でした。
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こんばんは〜 (margot2005)
2017-09-20 20:54:22
>観る方もアトラクション感覚なら演じる方もアトラクション感覚...
このテイストが良かったと思います。
ダンケルクの海が美しくて、戦争映画を見て美しいと感じたの初めてだと思います。
マーク・ライランス&トム・ハーディに惚れまくり...よーくわかります。ケネス・ブラナーもかっこ良かったです。
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margotさんへ (ituka)
2017-09-20 21:12:43
最後の方のシーンでケネス・ブラナーの言う
「そこの2等兵、一緒に乗っていかないか、今は階級など無関係だ」
これと、「ワタシはここに残る、まだ10万人のフランス兵が・・・」
ここで一気にこの将校は人間味があって凄く素敵だな!と思いました。

マーク・ライランスもトム・ハーディも美味しい役どころでしたね。
ダンケルクの浜辺の俯瞰撮影がすごくよかったです。
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