
評価:★★★☆【3,5点】
雰囲気はフランス製文芸作品のよう。
と、そんなふうに思えたのは、やはり映像全体から受ける
ある時は画面構図であったり、またある時は意図的に
各シーンで演ずる俳優の内面を表すかのように
思い切って色を落とすという演出だったりして
本作は監督の“美”に対するセンスを垣間見たという印象であった。
これは、孤独に生きる、ある男の最後の一日を追い
次第に生じてくるココロの変化を美しいカメラ映像で綴っている。
◇
<あらすじ>
1962年、ロサンゼルス。
大学教授のジョージは、16年間共に暮らしたパートナーの
ジムを交通事故でなくして以来、8ヶ月に渡り悲嘆に暮れていた。
そして今日、その悲しみを断ち切り、人生に終止符を打とうと決意する。
身の回りを整理し、最期を迎える準備を進めていくジョージだったが、
大学ではめずらしく自らの信条を熱く語り、
ウンザリしていた隣家の少女との会話に喜びを感じ、
かつての恋人で今は親友の女性チャーリーと思い出を語らい合うなど、
その日は些細な出来事がいつもと少し違って見えるのだった。
そして一日の終わりを迎えようとしていたジョージだったが、
そんな彼の前に教え子のケニーが現われる。
<allcinema>
◇
【ネタバレに要注意】
冒頭のシーンから、まさに芸術を思わせるような
とても美しく、まるで絵画のような画作りに圧倒される。
台詞は極端に少なく、物静かなジョージの気品を感じてしまう。
イメージとして、どことなく『ファーゴ』のような
ミステリー映画とばかり思っていたら
これが正統派の純愛映画だったということに気が付いた次第。
愛する者を失くした男が、孤独な未来に自分を見出せず
ある日、自身の人生の終止符を打とうと決断をする。
そして、最後となるその日に、今まで見えてなかったものが
急に見え始め、トドメは電光石火のように現れた青年に
『ウォッチメン』のオジマンディアス以来の気持ちを持ってしまう。
(↑普通にジムと言いなさいって)
そうそう!冒頭の雪景色の交通事故シーンは綺麗だった!
と同時に、あの行為は普通、誰にも見せたくないものであり
それをこの映画は、ある意味、容赦なく見せつけ
誰もが持つであろう秘めた部分を、ストレートに映像化したことで
観るものを画面にくぎ付けにしてしまうパワーを感じてしまった。
最後の日としたとき、もう二度と見られないとなると、
よ~く見ておきたいという欲が出てしまうんですね。
それにより、意外な発見がそこかしこにあることに気が付く。
ジョージも、計画通りにその日を迎えるが
イマイチ、形が決まらなくて、何度もやり直すところは
すでにココロの変化が生じた証拠でしょうか。
前半は、ほとんどモノクロのように色を落としていた映像が
次第にジョージのココロとともに艶やかなものへと変化していく様子は
このままエンドロールまで行ってほしいと・・・。
追記)
・ゲイの映画とは知らなかったので、冒頭のシーンで引いてしまった。
・随所で出てくる女性の60年代ファッションがとても美しい。
みなさん、人形劇『サンダーバード』のぺネロープヘアーなのね。
・おしっこを掛けられた少年は妄想で良かった。
あれをほんとうにやっていたら生涯のトラウマとなったことでしょう。
・ジュリアン姐さんって、こういうクラシックファッションがお似合いですね。
ワタシ的には、てっきり、この人が絡んだミステリー映画と思ってた^^;
・金髪ネタで“下ネタ”に発展させるジュリアン姐さんってどうよ!?
役の上とはいえ、そういう女性にはドン引きします(爆)
・孤独を悲観し死を選ぶというのは、その状態にならないと判らないが
少なくともひとりでできる趣味を持つことですな(それだけかよ!)
愛するものを失くしたとき、孤独が追い打ちをかけるんでしょうか?
そういうときになったら、この映画を再鑑しましょう!
-----------------------------------------------------------------
監督:トム・フォード
脚本:トム・フォード/デヴィッド・スケアス/
撮影:エドゥアルド・グラウ
音楽:アベル・コジェニオウスキ
出演:コリン・ファース/ジュリアン・ムーア/マシュー・グード/ニコラス・ホルト/
『シングルマン』
雰囲気はフランス製文芸作品のよう。
と、そんなふうに思えたのは、やはり映像全体から受ける
ある時は画面構図であったり、またある時は意図的に
各シーンで演ずる俳優の内面を表すかのように
思い切って色を落とすという演出だったりして
本作は監督の“美”に対するセンスを垣間見たという印象であった。
これは、孤独に生きる、ある男の最後の一日を追い
次第に生じてくるココロの変化を美しいカメラ映像で綴っている。
◇
<あらすじ>
1962年、ロサンゼルス。
大学教授のジョージは、16年間共に暮らしたパートナーの
ジムを交通事故でなくして以来、8ヶ月に渡り悲嘆に暮れていた。
そして今日、その悲しみを断ち切り、人生に終止符を打とうと決意する。
身の回りを整理し、最期を迎える準備を進めていくジョージだったが、
大学ではめずらしく自らの信条を熱く語り、
ウンザリしていた隣家の少女との会話に喜びを感じ、
かつての恋人で今は親友の女性チャーリーと思い出を語らい合うなど、
その日は些細な出来事がいつもと少し違って見えるのだった。
そして一日の終わりを迎えようとしていたジョージだったが、
そんな彼の前に教え子のケニーが現われる。
<allcinema>
◇
【ネタバレに要注意】
冒頭のシーンから、まさに芸術を思わせるような
とても美しく、まるで絵画のような画作りに圧倒される。
台詞は極端に少なく、物静かなジョージの気品を感じてしまう。
イメージとして、どことなく『ファーゴ』のような
ミステリー映画とばかり思っていたら
これが正統派の純愛映画だったということに気が付いた次第。
愛する者を失くした男が、孤独な未来に自分を見出せず
ある日、自身の人生の終止符を打とうと決断をする。
そして、最後となるその日に、今まで見えてなかったものが
急に見え始め、トドメは電光石火のように現れた青年に
『ウォッチメン』のオジマンディアス以来の気持ちを持ってしまう。
(↑普通にジムと言いなさいって)
そうそう!冒頭の雪景色の交通事故シーンは綺麗だった!
と同時に、あの行為は普通、誰にも見せたくないものであり
それをこの映画は、ある意味、容赦なく見せつけ
誰もが持つであろう秘めた部分を、ストレートに映像化したことで
観るものを画面にくぎ付けにしてしまうパワーを感じてしまった。
最後の日としたとき、もう二度と見られないとなると、
よ~く見ておきたいという欲が出てしまうんですね。
それにより、意外な発見がそこかしこにあることに気が付く。
ジョージも、計画通りにその日を迎えるが
イマイチ、形が決まらなくて、何度もやり直すところは
すでにココロの変化が生じた証拠でしょうか。
前半は、ほとんどモノクロのように色を落としていた映像が
次第にジョージのココロとともに艶やかなものへと変化していく様子は
このままエンドロールまで行ってほしいと・・・。
追記)
・ゲイの映画とは知らなかったので、冒頭のシーンで引いてしまった。
・随所で出てくる女性の60年代ファッションがとても美しい。
みなさん、人形劇『サンダーバード』のぺネロープヘアーなのね。
・おしっこを掛けられた少年は妄想で良かった。
あれをほんとうにやっていたら生涯のトラウマとなったことでしょう。
・ジュリアン姐さんって、こういうクラシックファッションがお似合いですね。
ワタシ的には、てっきり、この人が絡んだミステリー映画と思ってた^^;
・金髪ネタで“下ネタ”に発展させるジュリアン姐さんってどうよ!?
役の上とはいえ、そういう女性にはドン引きします(爆)
・孤独を悲観し死を選ぶというのは、その状態にならないと判らないが
少なくともひとりでできる趣味を持つことですな(それだけかよ!)
愛するものを失くしたとき、孤独が追い打ちをかけるんでしょうか?
そういうときになったら、この映画を再鑑しましょう!
-----------------------------------------------------------------
監督:トム・フォード
脚本:トム・フォード/デヴィッド・スケアス/
撮影:エドゥアルド・グラウ
音楽:アベル・コジェニオウスキ
出演:コリン・ファース/ジュリアン・ムーア/マシュー・グード/ニコラス・ホルト/
『シングルマン』
結末が「ボンヤリとながら見えてる」ってことで、
それが故にサスペンスな味わいもありそうですね?
物語として、キアロスタミ監督の『桜桃の味』を
何故だか連想してしまいました(・ω・)
この手の作品って、どうジャンル分けしたらエエんやろ?
「ブロークバック系」「リプリー系」
いやいや、やっぱしここは「イン&アウト系」か(=^_^=)
修正をしました(笑)
ひとつ思ったのが、こういう台詞の少ない映画はレビューが簡単ということ。
TiM3さんようにメモる余裕はありませんが
ほとんど、作品のイメージだけで文字に出来るというのは楽でいいです(笑)
ジュリアンさんが居ることでサスペンス調になる雰囲気はありましたよ。
彼女のバカ笑いのシーンに緊張しましたから^^;
>物語として、キアロスタミ監督の『桜桃の味』を
>何故だか連想してしまいました(・ω・)
お~!たしかにあらすじはそっくりですね。
ちょっとこの作品に興味を持ってしまいました^^
実はワタシ『ブロックバック~』も『イン&アウト』も未見ですが
検索したらなかなか興味を引く内容でした。
どうなんでしょう?
本作はイメージ的には『桜桃の味』に『イン&アウト』を足して『ブロークバック~』で割った映画でしょうか(←って判らんわ)^^;
大阪天保山のサントリーミュージアムにあるそうな。
10/31までは「ハッブル宇宙望遠鏡」を上映、これがスゴイらしい。なんとかして見に行きたいものです。
とはいえ、大阪まで行くのはちょっと遠いです~。
でも、やっぱり観たい!
サイトを見ましたが、なんとレオくんがナレーションしてるようなこと書いてましたよ。
英語に堪能な方なら聴いてみる価値ありですね^^
なんとか用事を切り上げてハッブルを見ようと思ってます。
この監督のセンスは、誰かの二番煎じではなく独特のものを感じました。
>意外な発見がそこかしこに
一度自ら死を決意した人、図らずも一度死に直面した人、彼・彼女らはこちら側の世界に戻ってきた時は以前とは“別人”になってる気がします。
ジョージさんの場合、全ての煩悩から乖離した境地だったのでしょうねぇ。
『ファーゴ』は未見です。タイトルをインプットしておきますね。(^^)
>『サンダーバード』のペネロープ
なるほど!(*^_^*)
>生涯のトラウマ
そうですよね!
それにジョージも犯罪者になっちゃうし・・・。あ、でももし計画を実行してたら捕まることはなかったんでしたね。^_^;
日本人は特に美肌って意識しますからね~この方の体中のシミは見ていて痛いのですが、当時のメイクとかバッチリ決まっていて、お金と時間はあるけど、持て余している生活に物悲しさを感じました。
ジョージの隣家との対比も良かったかな。
大変だけど、振り返ってみればあんな時期が一番充実している頃ですから。
くったくのない子供達、穏やかで明るそうな奥様、お洋服の色使いからもそう感じました。
絶頂期の隣家と、折り返し地点のジョージの明暗、誰にでも訪れるだろう~と感じましたよ。
ところで、いつご観賞でしたか?
私は日曜二回目に観てきました!
またニアミスでしたかね?(笑)
あっ、わたしもタンカレーのジンが好きです(笑)
ワタシも大阪に行く用事でもあれば、まちがいなく観たことでしょう^^
どうぞ、お気を付けて行ってらっしゃいませ~
あ~、、ハッブル観たい(笑)
いろいろとシミュレーションしてたシーンが妙に可笑しかったです。
ジョージ役は、やっぱりコリン・ファースしか見当たらないって感じですよね。
思えば、出演している全ての役者が適役だった気がします。
>全ての煩悩から乖離した境地だったのでしょうねぇ。
まるで悟りの境地に行き着いた僧侶ってところでしょうか。
三途の川を見た瞬間、ひとは無になり、煩悩という欲から解き放たれる。
ワタシなら、三途の川より青い地球を見て“別人”なりたいです^^;
>あ、でももし計画を実行してたら捕まることは
ですね!
でも、あの子に仕返しとして自分の石碑に毎回「しょうぼうしゃ~」って掛けられたりするんでしょうね(←おい!)
もし、そんなことが続くなら、今度はジョージが『キャリー』のよう“あの手”で脅すのでしょうか^^;
ジュリアンの上半身は過去映画『フォーガットン』で拝見したときに
このひとはまったく隠そうとしないんだ~と思いましたよ。
美意識が日本人と違うんでしょうね。
>お金と時間はあるけど、持て余している生活に物悲しさを感じました。
確かに!やっぱり人間は、行き着く先はひととの繋がりがもっとも大事なのかもしれませんね。
でも、退屈だからといって吾郎くんのように他人に被害を加えてないから
寄り添ってあげたいと思えるんですよね^^
『十三人の刺客』の吾郎くんのことね^^;
>大変だけど、振り返ってみればあんな時期が一番充実している頃ですから。
そうなんですよね~
今思えばワタシも懐かしい思い出です^^
ひとり、またひとりと巣立っていき、ワタシもいずれはジョージのようになっていくのでしょうか^^;
センチュリーから出たときに2回目の整理番号を持っているオリーブリーが居たのですね!
だったら、しっかり見渡せばよかったわ(笑)