「宴 席」
四月になって新年度が始まったが、毎度のことながらしばらくは宴席が多くて困ってしまう。今月は十席ほどで、これからの月末に向かってそれが続くから困るのである。つまるところ、三日に一遍は外で飲んでいる計算になる。困るのならは飲まなければいい、と思われるかもしれないが、情けないことに、飲まないと座が持たなくなって困るから、ついつい飲んでしまう。
実は、15日も会議があって、その後の一席で御馳走に預かった。でも、法話の原稿を今日中に仕上げなければならないから、自重しようときめていたが、嫌いではないから、ちょいと一杯のつもりが、ついつい盃を重ねてしまったのである。
因みに、春は花である。達谷窟毘沙門堂では、初春の花、オウレン、キクザキイチゲ、ショウジョウバカマ、カタカゴ(カタクリ)が咲いている。オウレンは盛りを過ぎたものの、キクザキイチゲ、ショウジョウバカマは花盛り、カタカゴとミズバショウは咲き始め。一番に咲くマンサクは散り際だが、馬酔木の花は満開で、コブシが咲き始めた。花といえば花見で、その掉尾を飾るのは枝垂桜である。
月末の29日は鎮守の白山様の御祭礼で、觀櫻會(桜祭り)が執り行われるのだが、花が散ってしまわないか心配である。今日、例年より早い桜の花を、毛越の桜岡と毛越寺の山門前で見た。でも、開花の早かった東京を始め、各地で花の持ちは良かったというから、寒の戻りに期待するが、それもおかしな話である。
御祭礼の29日はかつての天長節で、八分咲きの桜のもと神楽が奉納されるが、温暖化なのか、天候の激変に悩まされつつも、今年も豊年満作を祈念して、風雨順次を祈りたいと、宴席を早めに切り上げ、原稿を認めながら思ったのである。因みに桜の咲くこの季節こそ、稲作においては種蒔き秋(どき)だという。