SUOMI (スオミ)とは、「フィン人の国」という意味で、スオミはフィン人の自称。
フィンランド語で「湖沼・沼地」を表す単語「スオ」(SUO)に由来すると言われる。
これはもともとフィンランド湾周辺の地域を指す名称で、後に主にフィンランド本土およびフィンランド語を話す人々を指す名称であったことが知られているが、後に国全体を意味するように拡張された。
「スオミ」の語源については多くの説が提唱されており定説はないそうだが、これが最も一般的な説だと思う。
今年に入ってから、もう何十年も前に読んだ北欧に関する本、随筆や旅行記などを本棚から引っ張り出しては読み返している。
何十年ぶりかの本は、初めて読んだ時には気が付かなかったこと、分からなかったことなど、多くの発見があって面白い。
このブログで何度か紹介した市河かよ子著 「北欧の夢」1949年3月25日発行 啓文館もその一冊である。
市河かよ子のご主人、市河彦太郎は1930年代、駐フィンランド代理公使としてヘルシンキに滞在した。
夫婦ともに建築家アルヴァー・アールト夫妻とも親交があり、アールトに日本の文化や建築を紹介したりと、影響を与えた。
市河彦太郎の著書「フィンランド雑記」は、当時のフィンランドを紹介する名著として知られているので、ご存知の人もいるだろう。
市河かよ子著 「北欧の夢」の中にこんな一文がある。
「フィンランドという国の名は、世界の人たちがこういって呼ぶのですが、スオミというのですが、ほんとうの名なのです。 スオミーーきれいな名でしょう。
私はこの名が大好きでした。 子供の名前につけてもよいですね。 「スオミちゃん」という名の子供が、世界のどこかにいるかもわかりませんね」
「スオミちゃん」で思い出したが、1970年代、僕たちがつくっていたフィンランド好きの集まり 「フィンクラブ」で「スオミ」という名前が大きな話題になったことがあった。
話題になったのは、著名なフィンランド文学者 S氏のお嬢さんの名前が「スオミ」さんということだった。
なんて美しい響きの素敵な名前なんだろう。
フィンランドの国名を子供の名前にするとは、思いもよらなかったが、その話を聞いて、僕たちフィンランド好きの若者たちは、憧れと、驚きで心躍った。
友人たちは自分に女の子が生まれたら、名前は絶対に「スオミ」にするんだ! というのが何人も現れた。
何人かの友人たちは、実際に自分の子供に「スオミ」という名を付けたという話を後から聞いた。
僕たちの仲間の間では「スオミ」という名が、大いに話題になったが、これは、日本国内での話。
フィンランド人と国際結婚した友人たちの間で、彼らの子供たちに「スオミ」という名前を付けたという話は聞いたことがない。
フィンランドで、自分の娘に国名と同じ名前を付けるのは、距離が近すぎての気恥ずかしさがあるでしょうね?
どうでしょう?