ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

オリンピックで・・・・

2021年08月06日 | 裸蹄管理

 今回のオリンピックは、個人的な最悪事情があって、全く興味が持てなくなってるんですけども。開会式までの一連の騒動にもげんなりしたし、それと絡んだいや~~~な思い出を蒸し返される事態が起きてまして(青梅市の聖火ランナーに、かつて我々が中学生だった頃にその中学で暴力の限りを尽くしていた遠藤良宏という体育教師(つまんないことで生徒をぼこぼこにしてましたっけ。自分が卒業後、ワイドショーで叩かれてたけどね)が選ばれてて、奴のやってたことは小山田氏に匹敵する、いや、自分の立場を利用して暴力を振るいまくってたんだから、それ以上、そんな人物が聖火ランナーってどういうこと?組織員会は何考えてるの?)、もう、勝手にやってろよ、という気分なんですけど。そもそもこんな猛暑で馬を走らせるって、虐待まがいだよなあ。。。。。

 しかし、それなりに面白いニューㇲも耳にしました。

 障碍飛越で裸蹄馬が2位&4位。これは、ニュースでしょう。別に、裸蹄でも障碍飛越は普通にできる、という事。勿論、健康な蹄なら、ですが。

 自馬さんの裸蹄状況は、現在こんな感じ。こないだ、本当に久しぶり(多分5か月ぶりくらいじゃないかと思う)に削蹄師さんに削蹄、というか、蹄尖の蹄壁が剥がれた部分を切り詰めてもらいました。これは右前肢。

左前肢はこっち。

蹄尖のひび割れはまだまだありますね・・・・。そこをグルーガンで埋める。

 あとは、左前肢の蹄底。蹄尖が伸びるのに引っ張られて蹄叉まで延びちゃってたので、それをちょっと削ってもらって。やらないでほしいと頼んだのは、蹄壁のヤスリ掛けと、蹄底を削り込むこと。結局蹄尖を切って蹄縁部をちょと丸めて終わり。後肢はほぼ何もせず。蹄縁をちょっといじっただけ。仕事が少ないのは、この暑い時にはいい事だと思うんですよね。けどねえ、前肢の蹄尖、蹄壁が剥がれ落ちちゃってたにも関わらず、いや~~ガッチガチに堅いもんだから、当方の力では手に負えなくて。プロにやってもらうしかなかったので。削蹄直後にナノソイでガンガン消毒。削蹄師さんに嫌味っぽく取られるのは全く本意でないので、その時に獣医としての自分の診断治療について解説しましたが。削蹄師さんの仕事内容、じゃなくて、道具の衛生管理に問題あり、という件について。

 面白いんだけど、全然蹄底を削ってないのに、蹄の高さが全く変わってない。そもそも、蹄って必要以上に伸びるものではないんだと思う。「1か月に1㎝伸びます」っていうのは、爪水虫に対抗するため無理に伸ばしている結果。つまり、その伸び方は「異常」だということ。

 装蹄師さんは、不安そうでしたけどね、自馬さん自身は、めっちゃ調子いいから。蹄に問題あり、という雰囲気では全然なくなってきてるし。とにかく、その時その時の「見た目」が良くなるように、という削蹄はやめてもらいました。

 あれこれおかしい、とは言われたけど、その理由はなにか?前回やった削蹄がおかしいのか?違います。爪水虫のせいでもろくなった蹄は、本来の形を維持できない、から。「傾きマンション」みたいになっちゃってるってこと。本来のち密な蹄に生え変われば、勝手にいい方向にいく、はずで、それは後肢にはもう現れている。あとは前肢、特に左側ね。もうちょっとの辛抱じゃないかと。


サラブレッドは「乗馬」に向かないの?

2021年07月07日 | ハミなし頭絡

 サラブレッドという馬の品種が気の毒なのは、長い間「サラは乗馬に向いてない。なぜなら、競馬馬として走れ走れ言われてるし、他の馬より速く走る気満々だから、すぐ暴走するから」という迷信に振り回されて、押し込むことばかりやられてるから。

 そんな事あるわけねえっしょ。

 もし、本当に馬が「他の馬よりか速く走りたい!」なんて思いながら競馬をやってるなら、鞭で一々はたく必要は全くない、でしょ。

 人間の場合、あれこれ競技があって(で、なぜか必ず白黒つけなくちゃならない風にいつの間にかなってしまう)、まあ、私なんぞはよーやるわあ、と思ってるわけだけども、それがめっちゃ大事で根性入れて(自分から)やってる人がいて、だから勝ち負けが成り立つ。ある意味かなりバカバカしいですけどね。動物がそんな事考えるわけないべ。だから、鞭ではたかにゃならん、という事なんですわ。

 ただ、競馬から引退したての馬というのは、全然若い。馬にも反抗期的なものがあって、どうやら4~6歳辺りらしいんですけど、その時期はなかなか言う事を聞かない。それを見て「暴れ馬だ」とやられて、それをさせないように、という方向性で躾けられる、というか、それを「調教」と称している、という事なんでしょうけど。

 実は、この件にも重大な問題が潜んでいることが最近自分の中でははっきりしてきているんだけど、要は競馬引退頃に蹄疾患が出てくるのよ。サラはアルミの冷鉄だもんで、装蹄で簡単に爪水虫をうつされてしまう。それがじりじり酷くなる頃に引退して乗馬馬をやれ、で、今までよりうんとこさ重くて下手くそな客を載せろ、とくるわけ。痛いから動かない、すると鞭ではたかれる。嫌だ嫌だ、で暴れる、で暴れ馬だから、と烙印を押されてますます訳分らん馬装をさせられる、という悪循環。蹄をかばって走るから、体のあちこちに故障が出てしまう。サラはその辺本当に繊細だと思うのだが。

 結局若い&不健康&載せる客が下手くそ(指導員だって別にうまいわけではない)&そうした理解が全くない状況でこき使ったり「調教」するから、しんどくなって、最終的には疝痛で死んじゃう。

 自分の自馬さんもサラなんだけども、蹄の問題を一歩ずつ解決することで、状況が改善されましたね。とにかく奴の意見を聞いて押したり引いたり、じっくりそうやって取り組むと、外乗だってホイホイ行けるようになる。理由なく暴れやしませんがな、という極めて常識的なことを改めて教わったんですけど。

 しかし、クラブホースだと、そもそも「馬の意見を聞く」事自体がない、から。そうでなきゃ「可哀そう」だし。何が可哀そうなのか?一番は蹄問題を放置されている事、もう一つは暴れる理由を馬のせいにされてしまっている事。

 この辺りの問題をきちんと解決できれば、サラは乗馬に向いていると思います。特に、全然走れなかった、気性の優しいタイプの人は。「馬術」となると、どうかなあ?でも、別に馬術にこだわらなきゃいいんだよね。サラが向いている「馬術」は、障碍飛越でしょう。飛びゃあいいんだからさ。で、この障碍飛越、ハミなしでやると、まあ飛んでくれます。気持ちいいんですよね~~。つくづく、サラにはハミなしが向いてると思うんですよ。繊細な人たちだから。

 ところが、この障碍飛越をできるクラブがホント、ない。どこもかしこも馬場馬術を標榜してて、その理由は、やっぱり「落馬」問題に尽きる。ハミをやめれば、6割程度は解決できる、筈なんですけどね。でもねえ、現実には馬場馬術なるものをやっててみーんな落馬している。結局向かない事をやらされてるから、馬が暴れちゃうんですよ。


なぜ事故が起こるのかー4 馬術は馬にも人にも無茶ぶりだ

2021年06月30日 | 馬とヒトのトレーニング

 例によってYOUTUBEより。この方は田舎にお住まいで、とにかく草刈りをしまくらなくちゃならない、みたいなんですけど。ずっと我流で草刈りしてたのを、プロの方に見てもらったら、うわ~~~~となった、という動画です。

「10年草刈りをして はじめてプロに草刈りを教えてもらいました」 

 この動画で、プロの方が面白いことを言っています。草刈り道具について、その方が使っている道具の能力以上に手を動かしてせっせせっせと草刈りしても、疲れるだけで却って効率が悪い、機械の能力に合わせた刈り方をしないと、と。

 これねえ、乗馬、じゃない、馬術にも大いに言えること。サラブレッドを馬術に使うのは無理がある(特に馬場馬術)。なのに、ごり押しで使うから事故に繋がってしまう。

 馬場馬術って、見た目100%の評価競技です。

 この動画の馬は多分フリージアンじゃないかと思うんですけど、ほっといても、元来の歩様が「速歩の時は足を高く挙げ、普段から勝手にどことなく屈頭している」んですね。こういう馬どもを選抜して、更にゴリゴリハミをかまして馬場用の歩様を無理に作り出して「演技」なるものをやってるのが、馬場馬術。そもそも無理があるから、乗り手や馬のレベルに関係なく、暴れる奴は出てくる。こんな風に。

 対して、サラに要求されてる運動は、元来「うんと頚を伸ばしてなるべく速く走れ」で、だから、彼らは首も長くて、頭を突き出して歩いたり走ったりする。これを矯正しようとして、乗馬クラブではすぐネックストレッチだの、折り返し手綱だのをハミに付けて屈頭させようとしますけど、大概全くうまくいかない。嫌がってイライラして、で、しまいに大暴れ、という結果になる。おがわじゅりさんのマンガにあるように「途中で気が付いて屈頭するようになります」なんてことは、ありえヘンです。

 あとね、「屈頭させりゃおとなしくなる」という迷信(これもありえヘン事の一つ。じゃあ、イライラしてる人の頭を下げさせると落ちつきます?ありえヘンでしょ、馬も同じです。不安がって頭を上げようとするのを無理に押し込めたらおとなしくなる、筈ないっしょ)のせいで、やたらそれをやりたがるクラブばかりですけどね。大間違い。

 対して人はどうか。これはですね、日本の場合は言っちゃなんですけど、全乗振&日馬連に問題あり、と考えざるを得ない。全乗振がつくってる級制度なんですけど、そもそも3級経路が難しすぎる。

 常歩なしにもビックリですけど、いきなり「正反動速歩」、ましてや駆歩で10mの巻乗りなんて ひどくないですか?これ、馬場二級の条件になる2課目より難しいと思うんだけど。

 海外のノービスクラスの馬場課目を見ると、こんなに難しい事はやってないし、そもそも正反動が含まれてません。速歩項目は、全て軽速歩。

 この課目はそれなりに大変ではありますけど、要は馬の基本操作を問うてるわけで、筋が通っているように思う。で、全部軽速歩ですよね。馬は、小柄な品種のようですが、首が短くて屈頭させやすい(馬からすれば、我慢できる)&速歩の歩様が立派(そうに見える)なので、初級クラスでも、一応馬場っぽく見える。馬場向きの馬だということ。訓練で基本的な歩様を改善なんかできませんから。

 しかし、日本では、結局全乗進の級制度がハバをきかせている(乗馬クラブに入ると、いつの間にか5級を取れる。これはめっちゃたやすい。その延長線上で4級獲りましょう、3級獲りましょう、とハッパをかけられる)もんで、なんだか取らなくちゃいけないような、で、取らないと上のクラスに上げてもらえないし、ということで、馬上でまともにバランスもとれないのに「正反動」をやらされるわけだ。だから、馬が背中を痛めてしまう。

 自分が3級を取った時は、そんな事も全く理解できないままやってましたね。従って、受かったのはまあ、運がよかった、ということですな。

 やっとこさ3級を取ると(大体の人が、それ以前に挫折します。難しさを考えると、当たり前とも思える)、今度は馬場2級だなんだ、となってきて、で、ハミ受けがどうこうってのが課目の着眼点とやらに出てくる。これは日馬連が悪い。で、これに対応しようとして、サラに首曲げろ、という無茶な要求、人に対しては正反動をやれ、という無茶ぶりが始まるのだ。事故が起こって当然ですわね。 


なぜ事故が起こるのかー3

2021年06月14日 | ハミなし頭絡

 おやつ問題を考えてみて、そうだよねえ、と思うのは、客側は、少なくともクラブホースの皆様を自動車教習所の車みたいに捉えているわけではない、という事。やっぱりそこは生き物だし、名前もついてるし、騎乗後の手入れとかもやるし(させないクラブもあるかもしれないですけど)親しみがわくのは当然と言えば当然。しょっちゅう疝痛だの跛行だの起こしてるみたいだし、可哀そうに、より負担がかからないように上達せねば、となる、ですけどね・・・・・・。

 残念ながら、「馬術」をやらされる馬の負担は増えこそすれ、減ることはナッシング、なのが実情なんですよ。だから、事故が起こる。

 乗馬クラブと客の考えてる「乗馬」の内容の食い違いの一例を下図に示してみましたが。

 自分が乗馬クラブに入った時、まさか「馬術」を教わることになるとは思ってなかった、んですけど、そのうち洗脳されちゃうんですよね。「初級馬場」だの「初級障碍」だの、というクラスがあるから。なんかこう、「馬術」が誰でもできそうな(実はそうそうできるものじゃない)クラス内容になってる(実際は、馬術とは程遠い内容)のと、こういうクラスに入った頃から、ハミ受けがどうこう、ってことをやたら言われるようになるから、やらなくちゃいかんのか?と騙されるんだ。

 その頃から指導員が色々おっしゃいますけど、獣医の自分は「ホントのとこ、どうなの?」と思うことが増えていきはしました。例えば「ハミを追う」。ありえません。馬はハミが嫌だから何とかして外そうと首を振ったり頭を下げたりしますけど、それが「ハミを追う」って、どういうこと?根拠がないんだよ。例えば「ハミを受け入れるから唾液が出る」あり得ません。ウソつくな、おい

 でもねえ、毎回のようにそんな事を言われてると、そうなのかなあ?と動物の専門職であるはずの自分も洗脳されちゃうんですよ。その理由としては、日本中の乗馬指導員が同じことを言うからです。疑問を持つ人がいないわけ。なぜか 

 結局、乗馬指導員も動物のことを知らない、シロートだからです。ついでに言うと、馬の獣医も動物を知らんシロートという事は同じです。だから、「そんな事ありえヘン」と言わないのだ。

 クラブと客がもめるのは、突き詰めると、シロート同士の不毛ないさかい、という事になる。獣医については、小動物臨床をやっている(その中でも、当院は草食爬虫類や哺乳類でもうさぎ等のげっ歯類、鳥類まで診ている。最小手術対象はカナヘビ)こちらは、動物全体を俯瞰してみているから、気づきが多い。馬の先生方は、他の動物は牛ですら知らないもんね。だから、何の根拠もなく「馬は特殊」みたいなことを平気で言う。他の動物も勉強しなさいよ、と思うのだが。

 でも、完全に洗脳が解けたのは最近です。ハミを使わなくなって10年ほど経ちますけど、成程、こういう事か、と整理できたのは。だってなあ、世界的にこの洗脳が広がってるんですもんね。これを解くのは容易じゃない。大体オリンピックが悪い。あれに馬術なんかが入っちゃってるから、馬術がエライ&野心やらなんやら、が出てきちゃうんですよね。

 ハミを使わない=邪道のヘンな奴、と思われてたまるかよ。


なぜ事故が起こるのかー2

2021年06月12日 | 馬とヒトのトレーニング

 実は馬に咬まれる事故は多くて、10年以上前のことだが自分も腕を噛まれて、まだ跡が残ってる。これも馬装中だった覚えがあるが。あと、安易におやつをやって、指ごと持ってかれたケース。噛みつき事故は馬装&おやつをあげる時、という感じですね。

 「客は馬のことを知らん」とクラブ側が(多分)苦々しく思っているのが「おやつ」問題。これねえ、中高年以上のオバサンの手癖みたいなもので、動物との付き合い方が「食い物で釣る」しか思いつかないって奴なんですけどね。勝手に馬におやつをあげる人って多くて、それもてんでバラバラな内容・量・時だから。

 いや~~、人間としても困るんですよ。オバサンってどーして「飴玉」を隠し持ってるんでしょ?で、くれるし。いらんっつの。飴を舐めるとかガムを噛むなんて習慣がみじんもないこちらとしては、対応にすごく困る。「いりません」、一々こんなことで気を悪くされたって、知ったこっちゃない、って割り切れるようになったのは最近で、以前はやむなくもらっては後で捨てるってことをやってましたけど。動物はくれるもの拒まずだからねえ・・・・。

 今とりあえず思っているのは、クラブホースの皆さんについては、おやつはクラブ側がいいと言ってる(あるいはクラブで販売してる)ものに限定して、ほんの少量でとどめる。みんながやれば、相当量になっちゃうから。色々勝手に持ち込むのはやめるべきなんですよ。他の人の自馬さんなんかには絶対やってはいけない。健康管理上、こんなことは常識。この辺がてんで分かってない人が多いから困る。

 犬の飼主からも聞くのだけど、飼主の目の前で、犬にジャーキーだのチュールだのをあげまくる人がいるわけよ、わざわざ買い込んでたりする。「だもんで断り切れなくて・・・・」ってその結果下痢してるじゃないですかあ?となっちゃうんですけどね。くれようとする人に限って、自分は飼ってないんですよね。勝手な「可愛い・可哀そう」はホントに大迷惑。

 ので、その場合は、飼主さんに、そいつがいる場所・時間帯に散歩に行かない、くれようとしたら「下痢して獣医にすんごく怒られたので」とかなんとか言ってこっちのせいにして断る、という「逃げの術」をお教えするんです。

 乗馬クラブには、馬乗りじゃなくて、ただ馬周囲をうろついている人が結構いて、自分の「世話したい欲」のはけ口にしちゃってるフシがあります。こういう人達は中途半端に馬を知っているつもりになるので、また、クラブ側と摩擦が起きる。動物は、首尾一貫した姿勢や対応によって安定するので、勝手なことをやられると、混乱してしまいます。