ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

なぜ事故が起こるのかー4 馬術は馬にも人にも無茶ぶりだ

2021年06月30日 | 馬とヒトのトレーニング

 例によってYOUTUBEより。この方は田舎にお住まいで、とにかく草刈りをしまくらなくちゃならない、みたいなんですけど。ずっと我流で草刈りしてたのを、プロの方に見てもらったら、うわ~~~~となった、という動画です。

「10年草刈りをして はじめてプロに草刈りを教えてもらいました」 

 この動画で、プロの方が面白いことを言っています。草刈り道具について、その方が使っている道具の能力以上に手を動かしてせっせせっせと草刈りしても、疲れるだけで却って効率が悪い、機械の能力に合わせた刈り方をしないと、と。

 これねえ、乗馬、じゃない、馬術にも大いに言えること。サラブレッドを馬術に使うのは無理がある(特に馬場馬術)。なのに、ごり押しで使うから事故に繋がってしまう。

 馬場馬術って、見た目100%の評価競技です。

 この動画の馬は多分フリージアンじゃないかと思うんですけど、ほっといても、元来の歩様が「速歩の時は足を高く挙げ、普段から勝手にどことなく屈頭している」んですね。こういう馬どもを選抜して、更にゴリゴリハミをかまして馬場用の歩様を無理に作り出して「演技」なるものをやってるのが、馬場馬術。そもそも無理があるから、乗り手や馬のレベルに関係なく、暴れる奴は出てくる。こんな風に。

 対して、サラに要求されてる運動は、元来「うんと頚を伸ばしてなるべく速く走れ」で、だから、彼らは首も長くて、頭を突き出して歩いたり走ったりする。これを矯正しようとして、乗馬クラブではすぐネックストレッチだの、折り返し手綱だのをハミに付けて屈頭させようとしますけど、大概全くうまくいかない。嫌がってイライラして、で、しまいに大暴れ、という結果になる。おがわじゅりさんのマンガにあるように「途中で気が付いて屈頭するようになります」なんてことは、ありえヘンです。

 あとね、「屈頭させりゃおとなしくなる」という迷信(これもありえヘン事の一つ。じゃあ、イライラしてる人の頭を下げさせると落ちつきます?ありえヘンでしょ、馬も同じです。不安がって頭を上げようとするのを無理に押し込めたらおとなしくなる、筈ないっしょ)のせいで、やたらそれをやりたがるクラブばかりですけどね。大間違い。

 対して人はどうか。これはですね、日本の場合は言っちゃなんですけど、全乗振&日馬連に問題あり、と考えざるを得ない。全乗振がつくってる級制度なんですけど、そもそも3級経路が難しすぎる。

 常歩なしにもビックリですけど、いきなり「正反動速歩」、ましてや駆歩で10mの巻乗りなんて ひどくないですか?これ、馬場二級の条件になる2課目より難しいと思うんだけど。

 海外のノービスクラスの馬場課目を見ると、こんなに難しい事はやってないし、そもそも正反動が含まれてません。速歩項目は、全て軽速歩。

 この課目はそれなりに大変ではありますけど、要は馬の基本操作を問うてるわけで、筋が通っているように思う。で、全部軽速歩ですよね。馬は、小柄な品種のようですが、首が短くて屈頭させやすい(馬からすれば、我慢できる)&速歩の歩様が立派(そうに見える)なので、初級クラスでも、一応馬場っぽく見える。馬場向きの馬だということ。訓練で基本的な歩様を改善なんかできませんから。

 しかし、日本では、結局全乗進の級制度がハバをきかせている(乗馬クラブに入ると、いつの間にか5級を取れる。これはめっちゃたやすい。その延長線上で4級獲りましょう、3級獲りましょう、とハッパをかけられる)もんで、なんだか取らなくちゃいけないような、で、取らないと上のクラスに上げてもらえないし、ということで、馬上でまともにバランスもとれないのに「正反動」をやらされるわけだ。だから、馬が背中を痛めてしまう。

 自分が3級を取った時は、そんな事も全く理解できないままやってましたね。従って、受かったのはまあ、運がよかった、ということですな。

 やっとこさ3級を取ると(大体の人が、それ以前に挫折します。難しさを考えると、当たり前とも思える)、今度は馬場2級だなんだ、となってきて、で、ハミ受けがどうこうってのが課目の着眼点とやらに出てくる。これは日馬連が悪い。で、これに対応しようとして、サラに首曲げろ、という無茶な要求、人に対しては正反動をやれ、という無茶ぶりが始まるのだ。事故が起こって当然ですわね。 


なぜ事故が起こるのかー3

2021年06月14日 | ハミなし頭絡

 おやつ問題を考えてみて、そうだよねえ、と思うのは、客側は、少なくともクラブホースの皆様を自動車教習所の車みたいに捉えているわけではない、という事。やっぱりそこは生き物だし、名前もついてるし、騎乗後の手入れとかもやるし(させないクラブもあるかもしれないですけど)親しみがわくのは当然と言えば当然。しょっちゅう疝痛だの跛行だの起こしてるみたいだし、可哀そうに、より負担がかからないように上達せねば、となる、ですけどね・・・・・・。

 残念ながら、「馬術」をやらされる馬の負担は増えこそすれ、減ることはナッシング、なのが実情なんですよ。だから、事故が起こる。

 乗馬クラブと客の考えてる「乗馬」の内容の食い違いの一例を下図に示してみましたが。

 自分が乗馬クラブに入った時、まさか「馬術」を教わることになるとは思ってなかった、んですけど、そのうち洗脳されちゃうんですよね。「初級馬場」だの「初級障碍」だの、というクラスがあるから。なんかこう、「馬術」が誰でもできそうな(実はそうそうできるものじゃない)クラス内容になってる(実際は、馬術とは程遠い内容)のと、こういうクラスに入った頃から、ハミ受けがどうこう、ってことをやたら言われるようになるから、やらなくちゃいかんのか?と騙されるんだ。

 その頃から指導員が色々おっしゃいますけど、獣医の自分は「ホントのとこ、どうなの?」と思うことが増えていきはしました。例えば「ハミを追う」。ありえません。馬はハミが嫌だから何とかして外そうと首を振ったり頭を下げたりしますけど、それが「ハミを追う」って、どういうこと?根拠がないんだよ。例えば「ハミを受け入れるから唾液が出る」あり得ません。ウソつくな、おい

 でもねえ、毎回のようにそんな事を言われてると、そうなのかなあ?と動物の専門職であるはずの自分も洗脳されちゃうんですよ。その理由としては、日本中の乗馬指導員が同じことを言うからです。疑問を持つ人がいないわけ。なぜか 

 結局、乗馬指導員も動物のことを知らない、シロートだからです。ついでに言うと、馬の獣医も動物を知らんシロートという事は同じです。だから、「そんな事ありえヘン」と言わないのだ。

 クラブと客がもめるのは、突き詰めると、シロート同士の不毛ないさかい、という事になる。獣医については、小動物臨床をやっている(その中でも、当院は草食爬虫類や哺乳類でもうさぎ等のげっ歯類、鳥類まで診ている。最小手術対象はカナヘビ)こちらは、動物全体を俯瞰してみているから、気づきが多い。馬の先生方は、他の動物は牛ですら知らないもんね。だから、何の根拠もなく「馬は特殊」みたいなことを平気で言う。他の動物も勉強しなさいよ、と思うのだが。

 でも、完全に洗脳が解けたのは最近です。ハミを使わなくなって10年ほど経ちますけど、成程、こういう事か、と整理できたのは。だってなあ、世界的にこの洗脳が広がってるんですもんね。これを解くのは容易じゃない。大体オリンピックが悪い。あれに馬術なんかが入っちゃってるから、馬術がエライ&野心やらなんやら、が出てきちゃうんですよね。

 ハミを使わない=邪道のヘンな奴、と思われてたまるかよ。


なぜ事故が起こるのかー2

2021年06月12日 | 馬とヒトのトレーニング

 実は馬に咬まれる事故は多くて、10年以上前のことだが自分も腕を噛まれて、まだ跡が残ってる。これも馬装中だった覚えがあるが。あと、安易におやつをやって、指ごと持ってかれたケース。噛みつき事故は馬装&おやつをあげる時、という感じですね。

 「客は馬のことを知らん」とクラブ側が(多分)苦々しく思っているのが「おやつ」問題。これねえ、中高年以上のオバサンの手癖みたいなもので、動物との付き合い方が「食い物で釣る」しか思いつかないって奴なんですけどね。勝手に馬におやつをあげる人って多くて、それもてんでバラバラな内容・量・時だから。

 いや~~、人間としても困るんですよ。オバサンってどーして「飴玉」を隠し持ってるんでしょ?で、くれるし。いらんっつの。飴を舐めるとかガムを噛むなんて習慣がみじんもないこちらとしては、対応にすごく困る。「いりません」、一々こんなことで気を悪くされたって、知ったこっちゃない、って割り切れるようになったのは最近で、以前はやむなくもらっては後で捨てるってことをやってましたけど。動物はくれるもの拒まずだからねえ・・・・。

 今とりあえず思っているのは、クラブホースの皆さんについては、おやつはクラブ側がいいと言ってる(あるいはクラブで販売してる)ものに限定して、ほんの少量でとどめる。みんながやれば、相当量になっちゃうから。色々勝手に持ち込むのはやめるべきなんですよ。他の人の自馬さんなんかには絶対やってはいけない。健康管理上、こんなことは常識。この辺がてんで分かってない人が多いから困る。

 犬の飼主からも聞くのだけど、飼主の目の前で、犬にジャーキーだのチュールだのをあげまくる人がいるわけよ、わざわざ買い込んでたりする。「だもんで断り切れなくて・・・・」ってその結果下痢してるじゃないですかあ?となっちゃうんですけどね。くれようとする人に限って、自分は飼ってないんですよね。勝手な「可愛い・可哀そう」はホントに大迷惑。

 ので、その場合は、飼主さんに、そいつがいる場所・時間帯に散歩に行かない、くれようとしたら「下痢して獣医にすんごく怒られたので」とかなんとか言ってこっちのせいにして断る、という「逃げの術」をお教えするんです。

 乗馬クラブには、馬乗りじゃなくて、ただ馬周囲をうろついている人が結構いて、自分の「世話したい欲」のはけ口にしちゃってるフシがあります。こういう人達は中途半端に馬を知っているつもりになるので、また、クラブ側と摩擦が起きる。動物は、首尾一貫した姿勢や対応によって安定するので、勝手なことをやられると、混乱してしまいます。


事故が起こる原因を考えるー1

2021年06月08日 | 馬とヒトのトレーニング

 こんな記事が。「馬に手をかまれ中指切断乗馬クラブのスタッフ、馬具を取り付け中」
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/kobe/nation/kobe-20210607017

 あ~~~、やっぱり「よく調教されたおとなしい馬」なんかいない、と思っちゃいけません。これ、多分こういう事じゃないかと。

 腹帯というのは、鞍を馬に載せただけじゃ、滑って落ちてしまいますから、そうならないように馬の体に括り付けるためのもの。鞍を載せて、腹帯を鞍につないで馬の胴体に回し、ぎゅうぎゅう絞めて鞍を馬に密着させる。この一連の馬装を「鞍付け」っていいますけど。

 スタッフが鞍付けする、ということは、この馬は普段から腹帯を嫌がってたんだと思う。腹帯で締め付けられるどこかが痛い、という可能性濃厚。じゃ、それを治せるのか?というと、治せない。鞍の構造もうまくない(なにしろ鉄骨が入っている)、上に、騎乗時に鞍が回っちゃわないように、きっつきつに腹帯を締める傾向があるんです、乗馬クラブって。なんでそんなに締めるんだ?と不安になるくらい。そこに客がどしっと乗る。この系列のクラブは客の体重制限がないから、言っちゃなんですけど、デブでも乗ってしまう。馬にしたら苦行です。かつ、治せないのは「客を取らないといけない」から。花魁か?という感じですけどね。体にトラブルがあっても休めないのよ。この手の背部痛等々はちょっと休むくらいでは治らないことが多い。そんなに遊ばせておけない、ということ。騎乗料金が安い、というのはそれ相応の負荷が馬だの働いてる人(指導員や厩務員)等々に負担がガンガンかかるってことで、従って、こんな事故も起きてしまう。

 クラブホース哀歌って感じですけど、この系列のクラブは特にこの傾向が酷くて、その件について客からクレームが入ることも割とあるんですが、取り合わないんですよね。馬の維持費が高い(というか、高くなるようになるように管理してしまってる)のがまずいんですが。

 このクラブが抱えている馬は数多い、もし倒産なんぞしてしまったら、馬が路頭に迷う、という現実もあって、皆さん見て見ぬふり、という所でしょうか。大体客が我慢できず、怒ってやめちゃうパターンが多いんだよなあ・・・・・。

 客が怒ってんだから、なにか業務改善に取り組めばいいのに。そういう「お客様のご意見を聞いて」という姿勢が皆無なのも乗馬クラブの特徴で、どーせおまえらはシロートだろうが、馬を知らんシロートが口出すな、で終わっちゃう。なんか、この辺が犬のブリーダーっぽいんですよ。

 乗馬クラブと客側の意識のずれって、こんな感じかなあと思うんです。

 これ、いわゆる「馬術」と、客がイメージしている「乗馬」との違いというか、ずれを示しています(私見)。ウエスタンも「馬術」部分がウエスタン風に書き換えられるだけと思うんですが、よく知らないので、分からない。

 乗馬と「馬術」の大きな根本的相違は、少なくともイングリッシュ馬術って結局「上意下達」だということ。一方、客がイメージしている「乗馬」というのはフラットな関係性で馬と付き合う、ことで、馬にあーせいこーせい、とやるぞ~~、と最初から思ってる人なんかいやしないと。しかし、基本操作はもちろん重なってます。だから騙されちゃうんだよねえ。

 


草刈り刃とか

2021年06月03日 | 厩舎管理等

 クラブ周りで草刈りって絶対に必要だと思う理由は、草むらがハエの寝床になっちゃうからですね。で、朝夕にご出勤と。出勤先が近いというのは便利だし、体力が要らないですもんね。これはまずい。ハエの生活環をクラブ周囲で完結させてはいけない。

 で、草刈機にっくっつける「刃」なんですが。これも色々・・・・。うーむ、こういうのって、どうしてこう多種類なんだ?と思うんですが、男性向きと言いますか、あれこれ機能をくっつけて、男性陣の「あれもこれも試してみたい」欲を掻き立てる、仕組みなのかしら?どことなく、髭そり用具に似ている感あり・・・・。

大体大まかに分けて、今3種類だそうです。

金属刃  チップソーナイロンコード 

の3種類。一番危険なのが金属刃だそうですが。いずれにしても、高速回転してる刃なんだから、安全対策しないと危ないのは当然ですね。

 で、この草刈なんですが、なんと、最近はYOUTUBEで一大ジャンルになっているようなのです。それほどに、ちょっと田舎になるともう、草刈しないと獣害が酷いってことかもしれない。で、皆さんあれこれ工夫してて、凄いことになってます。

 しかし、見ていてちょっと危惧も感じる。草刈りは本当に危険らしくて、消費者庁が注意喚起しているなんだけど、なんか、テキトーっぽい方が多いんですよ、装備等。一回くらい、きちんと講習を受けた方がいいんじゃないかとも思う。

 という事で、音ですが、どうやら、ナイロンコードが最も静からしい。特に

 みたいな、静音をうたっているタイプは、かなり静からしいので、これ+充電型刈払い機だったら最強かもしれない。ナイロンコードは、頼りなさそうな見た目と裏腹に、かなり強力だそう。

 で、草刈時の刈高なんですけど。へえ~~と思ったのは、草刈って、短く切ればいいってものではないらしいんです。地面すれすれに刈るのが常識みたいになってますが、むしろ、ちょっと高く刈る方が、石等も飛ばず、安全性が高まり、草も却って伸びにくくなるそうな。こんな事でも、旧来の考え方がどんどん駆逐されているのが面白いですね。

高刈の効用についての動画