ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

サシバエと殺虫剤

2020年07月22日 | ハエ対策

 サシバエの生活環を別の図で。

 

サシバエの成虫は「4㎞は飛べる」とされていますが、動物というのは原則めんどくさがりなもの、余程でないと(吸血する動物が全くいないとか)そこまで飛び回ることはない。大体、その畜舎内で生活が循環しているはずです。

 サシバエの生態に関する資料としては

1)サシバエその生態とリスク(臨床獣医2011)

2)牛舎のサシバエ対策(兵庫「The Fly Project」チーム) 

が、かなり信頼度が高いです。ただ、対策はちょっと疑問がありますが。こういう資料を読むと、根本対策がないとまずいんじゃないのか、と思ってしまいます。

 現在、こうした害虫を根絶する方法に、「不妊虫」を使うものがあります。ただ、サシバエのような、雌雄共吸血するような場合は、難しいかな・・・。

 で、殺虫剤。分かりやすい資料はこちら

 牛舎等でのサシバエ対策ですが、基本的には成虫に対してピレスロイド系(一般的なスプレータイプの殺虫剤

に含まれる)による噴霧、幼虫に対してIGR製剤を使う、というパターンなようです。つまり、生活環のうち成虫と幼虫にアタックしている。

しかし、これはうまくいかないと思う。その理由を以下の図に。

 

 特に成虫に対する対策については、天敵になり得る虫も一緒に殺してしまう可能性大&こう生活環がぐるぐる速く回っていると、一回噴霧したくらいでは意味なさそう、という感じですね。一方、IGR製剤を冬場に撒く、というのも読みましたが、意味あるの?と思うのは、越冬中には脱皮しないでしょ、という点から。大概じい~~っとしてるだけで採食もしないし脱皮もしていない筈。IGR製剤は食毒性です。食べてもらわないと作用を発揮しません。冬に撒いたってしょうがないじゃん、というのが自分の意見。あと、越冬しているのはサナギの可能性も高いんじゃないかと思ってまして。サナギに効く殺虫剤は、ないんです。

 殺虫剤のこうした大量投与の一番の問題点は、ずばり「業者さんに頼まないとできない」点。人や動物の安全を守るためには必要ですが、かなりお金がかかる。で、効果がパッとしないとなると・・・・。別方向から考えた方がいいんじゃないかと。


サシバエを知る

2020年07月21日 | ハエ対策

 害虫といえば、ゴキブリ!!これが飲食店に出たのを見つけたら、もうダメだ~~。以前、かなり高級な(というか、高い値段なの)寿司店で食事中に、隅っこにチビゴキを見つけちゃってさ!!見つけたのを後悔したのは、そのせいで寿司がいきなり超まずく思えてしまった(味を覚えていない)のと、この店の衛生管理をとことん疑ってしまった(生ものを食べさせる店ですからねえ)、更に言うと「もう絶対来ないだろう」と思いつつ、会計の時に「お宅、ゴキブリがいましたよ」と言えなかったことさ 

 そう、普通の客はそういう事を店に直接言うことはしません。それっきり来なくなる、だけ。従って、店側は「なぜ、リピートがないのか?」について、考えない。こういうのもチャンスロスの一つだと思います。

 ハエアブだらけの乗馬クラブに呆れ果てて、二度と来んわ、となってる人、相当多いんじゃないかと思うんですよ。「そんなもんか」という風にお客様の感覚を麻痺させて、アブに刺される=健康被害を被らせて、しょうがない、って今後通用しますか?ありえヘン。なんとかしようとしていただきたいんです。

 そのためには「敵を知る」。孫氏の兵法ですが、2千年以上前の人なのに、「敵を知り己を知れば100戦危うからず」というこの言葉は、今でも重要な真理の一つだと思います。で、サシバエについて、こんなに超悪役なのに、未だよく分かってないところがあるのにビックリなんですけど。でも、おおむね分かっているサシバエの生態&生活環は以下の図に。

 ハエを減らす=この生活環のどこかを断ち切れれば、減らせるはずなんですよ。

 で、今乗馬クラブがやっている対策のほぼ中心が「成虫をどうにかする」方法で、しかも、それを「天然の虫よけ」というのでやっています。通用するはずがないんです。例えば「ハッカ油」がいいと言われてますが、ありゃ要するに、嗅ぎつけていない臭いに警戒して寄ってこなくなるだけで、なんだ大丈夫か、と理解すると(虫のくせに)慣れちゃって無効になります。あと、その臭いをかいでいるのは虫だけじゃない、馬だって嗅いでいるんです。変な臭いを体に付けられるのを嫌がっている馬は多いと思います。ますますイラついて危険が増す。その辺をちゃんと考えていないのは、おかしい。

 一方、成虫は普段草むらにいるらしい、ので、色々な畜産牧場で、成虫をなんとかやっつけようと、畜舎周囲の草むらに殺虫剤を撒いています。でも、成果は上がっていない。なぜなら、サシバエの生活環が、オンシーズンだとメチャクチャ速い(卵成虫に約2・3週間程度)から。殺虫剤を撒けば一瞬成虫は減るけれど、翌日すぐ、次のサナギが羽化して成虫になる。だから、全然減らないように見える。幼虫は成虫の4倍はいる、らしい。どこかにウジャウジャしているわけです。ですから、成虫を対象とした駆除というのは最も非効率なんです。

 ただ、成虫が普段隠れている「草むら」をどうにかするのは重要だと思います。簡単に言えば「草刈り」ですね。これはもう、ハエだけじゃなく、アブ・マムシ・ネズミ等々野生動物を畜舎に引き寄せないために一番有効。隠れ潜む場所があるから近寄ってくるわけで、近寄らせないためにはせっせせっせと草刈りするしかありません。草刈りは今や当然草刈り機でやるわけですが、従来のエンジン式が凄い騒音なもんで、馬場周囲でゴウゴウ使えない、という理由でやりにくい、やってない、というクラブも多そうです。エンジン式は使い勝手が悪い・重い・ウルサイ・振動がきつい・メンテが大変、ということで、結局使っていないクラブは多いんじゃないでしょうか。

 最近出てきた草刈り機に充電式があります。おそらく今後はこっちが主流になり、エンジン式は絶滅するんじゃないかと考えてます。京アニの事件以来、ホムセで混合ガソリンを取り扱っているのが、すごく嫌だ。いくらでも放火できちゃうじゃないかと思って、という人は増えてるでしょうし。この間、充電式を見にマキタの実演を見に行ってみました。もんの凄い進歩で驚きました~~。電気式だから当たり前っちゃ当たり前なんでしょうけど、あまりにお利口さんなので。しかも、静か・使いやすい(特に女性)・軽い・振動少ない・防滴になっているのでメンテ楽。あと、マキタのシリーズは充電池が互換性があって、電池一つでなんでも動く。よくできてます。

 

これ、かなり気に入りました。樹脂刃で安全性が高い。一見チャチそうですけどそうでもないのは実演で分かりました。草刈りも危険業務の一つですから。

 でもね、草刈り程度でどうにかなるはずもないです。他の対策は次回。


殺虫剤というか、農薬について

2020年07月20日 | ハエ対策

 殺虫剤について言及すると「それっっ、農薬は害だ、殺虫剤なんぞ使うな」ってなりがちなんですけど(一方、ホムセではやたら殺虫剤だの除草剤だの売られてて、しかも、その対象は「不快害虫」だったりする。不快だからいなくなってくれってひどくないですか?)むしろ、見ていると、殺虫剤の使い方、その時期等々、そこら辺に問題がありそうなんです。あと、殺虫剤や農薬に対する理解がほぼない状態で撒き散らしている、んじゃなかろうか?という疑念。

 ということで、農薬について。農業をある程度「事業」として行うとなれば、農薬ってやっぱりどうしても必要なんじゃないかと思うのは、一種類の植物を同じ地域に大量に植える手法を取れば、そりゃその種の保育園みたいなもの、どんどこ病気だの虫だのがたかるに決まっているから。「無農薬」って聞こえはいいですけど、家庭菜園のレベルでも野菜が虫害に遭って穴だらけとか普通に起こるし。むかーし子供だった頃、親が、多分遊び半分で畑をやってましたけど、農薬撒きまくってたよなあ・・・・・。ナスなんか、ニジュウヤホシテントウっていう植物食のテントウムシに食い荒らされまくってて。そういうのをほっとくと、他の区画の菜園にも悪影響だしね。虫害が出ないようにしつつ農薬も使わんと、という農法を実践している場所もあるし、それで成果も上がっている場所もあるようだけど(そういうのもYOUTUBEに結構出てますね)。この方とか。


更地から2年で緑の楽園に!実践した4つのこと【自然農・パーマカルチャー 】

こういう農法は大いにありと思うんですが、収益性がどうなのかとか考えると、難しいところもあるでしょう。

 という事で農薬。知識0で「ダメだあ」と言うのはよろしくない。なので、資料を。今って、なんでもネットに載ってるんですね。

1)殺 虫 剤 の 特 徴 と 使 用 上 の 注 意 事 項  

2) 家畜・ミツバチ・マルハナバチに対する被害防防止

この2つの資料に色々書かれています。これもさらっと表になってますが・・・・。IGR製剤は資料2)の表のうち8/30/31/91/98/110/137/138/159 。また、表を見るとネオニコチノイド系については、ミツバチやハナバチに対する影響が突出して高いことが分かります。

 この表は、農薬使用法を順守した場合、というのも重要です。順守しないで、ただ撒いたんじゃ、効果なし副作用爆上げ、になりかねない面があるのは、薬だもの、当然ですけど。

 気になっているのは、馬施設で、そういう農薬知識もなく適当に殺虫剤撒いてるんじゃないの?と思われる節が多々あるから。あと、殺虫剤等々の対処は、医療で言えば「治療」で、一回治療すりゃOK、にはなり得ない、し、治療するくらいなら、そもそも予防した方が手っ取り早い&金がかからない&楽勝なのでは?と思うので。


敷料と床とハエ

2020年07月17日 | ハエ対策

 乗馬は、近くにあった最大手の乗馬クラブ(ほぼ特定できちゃいますね)で始めたのだけど(大学の馬術部は、ここに入ったらまともな大学生活、どころか勉強自体が不可能だと思ったのと、今は知らないが、当時はOB連中がやたら幅をきかせていて、飲み会というと現役部員がOBに酌をして回るという、なんじゃそりゃという慣習を聞いて、ぞおっとしたので入らず。それでよかった。「馬ってこういうもんだ」という変な思い込みをつくらずに済んだから)、入ってすぐ、このハエの多さは何なんだ、と呆れましてね。夏ともなると、サシバエが馬の腹にわんさかたかって、そのせいで馬がイラついて人を振り落とす事故が多発する。こっちまで刺されそうになる。で、それに対してはっきり言って「無策」としか見えなかったから。じゃあ他のクラブはどうかというと、おそらく日本・いや、世界中の乗馬施設が「無策」で、春~秋はしゃあない、で済ませてるんじゃないかと思う。サシバエについては、「アニマルライツセンター」とかいう団体が動物園や牛舎等々に対して告発だあなんてやってますけど、まずはあちこちの乗馬クラブに対して言ってほしいですよ。そっちの方が余程だもの。

 サシバエ被害は特に牛や豚で深刻で、酪農業界ではなんとかならんか、と皆さん問題視しているし、あちこちの農業試験場等でも調査研究しているし、なのに、対策がちっともうまくいっていない。やってることは「掃除&殺虫剤&ハエ取り紙&IGR製剤(脱皮抑制剤)」がおおむねのパターン。最近はそれに追加して


 

のような殺虫剤を練り込んだ防虫ネットが効果あり、とされているようだ。基本は殺虫剤ですね。

 でね、これからは、もう、殺虫剤を特に幼虫対策としては使いにくくなるだろうと思うんです。幼虫というか、ウジは畜舎の敷料の中にいるから、そこにIGR剤を撒きなさいとなってるけど、それが堆肥になって、回り回って花に入り込んで、他の昆虫に悪影響を与えてしまう。特にミツバチに対する影響が不安視されているわけで。現時点で問題になっているのはフィプロニル等の ネオニコチノイド剤とされてますけども。

 じゃ、殺虫剤抜きで対策できるのか、と疑問ですけど、そもそも、殺虫剤をたんとばらまいて全然効果が出てないじゃありませんか、という現実。最近のサシバエときたら、コックローチ程度じゃ全然平気なんですよ。あと、最近の話だがサシバエに対する天敵ハチが見つかったというんだけど、殺虫剤はどちらも平等に殺してしまいますから。

 ということで、もっと総合的に考えた方がいいんじゃないかと思う。個人でできる対策と、施設側にやってほしい対策とに分けてみますが、床や敷料との関連もあるから。なかなかややこしいのですけども。