ボクは子育て中の共働きの難しさ,国が取るべき政策に関心があるので,何かヒントがあるかなと思って読んでみました。
ブックカバーの折り返しには以下の概要が記載されています。
「男性育休や働き方改革等、社員のウェルビーイングが企業の重要課題となった現代。しかし、すべてのケアワークを妻に担わせ、ペイドワークに時間を無制限に注入してきた中高年男性が大方を占める経営層と、現場で働くミレニアル世代では、ワーク・ライフ・バランスの感覚に大きな隔たりがある。本書は、〈共働き・共育て〉を指向するミレニアル世代がいかに仕事と生活、子育てを両立し、そのための様々な障害にどう対処しているかについて、「デュアルキャリアカップル」(それぞれがキャリアを自律的に考えて形成し、仕事も家庭も充実させる夫婦)を対象に行ったインタビュー調査(プロジェクト座長:佐藤博樹)の書籍化。子育て世代の当事者、特に表出することの少ない男性の本音がふんだんに書かれている。著者は、DEI推進とハラスメント防止を軸に、企業向け研修、調査などを行う21世紀職業財団の研究員。企業の経営陣、人事担当者にとってはもちろん、両立に悩むデュアルキャリアカップル当事者のヒントにもなる本。」
やたらとカタカナの言葉が出てきますね。
最初に出てくる「ウェルビーイング」という単語?
初めて目にしました言葉です。
「肉体的,精神的,社会的等の面で満たされた幸福な状態」のことだそうです。
“日本語で書けよ”と思い,この時点で拒否感を持ちましたが,我慢して読み進めました。
ところが本文の中に「子供を作る以上,何かを犠牲にする必要がある」という記載にビックリしました。
そんなことを思う人に子供を生んでほしくないと思ったし,犠牲の上に生まれてきた子供が気の毒です。
また,夫が単身赴任で,妻は母親に子供を預けて出張に行くという人が登場します。
さらに,子供を夜8時まで学童に通わせているという人も。
子供は朝8時前に家を出て家に帰るのが夜8時過ぎ。
保育園で栄養士が作った食事をとることができるから家庭では手抜きの食事でもよい。
そんな記載もあります。
これではまさに子供は犠牲者です。
そこまでして夫婦がキャリアアップしたいという気持ちがボクには理解できません。
ボクはそんな家庭に生まれなくてよかった。
我が一族は,貧しくても余裕をもって子供を育てています。
それが本来の子育てだと思うからです。
また,「フランスはどう少子化を克服したか」という記載が190ページに出てきます。
フランスは合計特殊出生率が2020年に1.83となって,EUで最も高くなるまでに回復して,少子化対策に成功した国だとほめたたえています。
しかしこんなことに騙されてはいけません。
その後2023年には1.68まで低下しているのです。
それでも日本の1.26より数値が高いのは移民の受け入れを拡大したからです。
唯一この本で勉強になったのは242ページです。
かつての日本では専業主婦が多かったけど,現代では共働き世帯の方が多くなって,基準とする世帯が変わってきたと。
ところが,フルタイムの共働き世帯は1985年からほとんど変わっていないというのです。
1985年には461万世帯でしたが,2021年は468万世帯であって36年間で7万世帯しか増えていないのです。
ではなぜ共働きが増えたかと言えば,パートタイムで働く世帯が228万世帯から691万世帯に増えたことが要因だというのです。
それは子供が学校に行っている時間にパートタイムで働くお母さんが増えていることが要因です。
であれば応援するべきは誰なのか,一目瞭然です。
ところが政府はパートタイムではGDPの向上につながらない,年金も払わせたいからもっと働けとというのです。
多様性というのなら,なぜパートタイムで働くお母さんがこれだけ増えたのか,政府はよく考えるべきです。
ちょっと話はそれたけど,この本はごく一部のマニアックな夫婦のために書かれた本のようですね。
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