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なんという素晴らしい眺めであろう。
前面は切り立った山をめぐらしていて、その山は五月の緑でおおわれている。頂きに少し松があるが、他は桜と楓ばかりだときうことである。空はよく晴れているから鮮緑が目にしみるようである。正面には、ずっと高い所に滝が懸かっている。平日は空滝なのだか、昨日大分降ったからきょうはこんなにみごとなのだという。滝の響きがここまで聞えて来る。しかしこれはこの滝の音ではないのだという。全く仙境である。
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日本のこころ
岡潔 著
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上品で美しい表現ですね。鮮緑、滝の音、仙境。使ってみます。