ずいぶん前だが、大人の科学という雑誌に、電池管を使った再生式ラジオキットが付属していた。電池管は、文字通り電池で動作する真空管で、A電源用(ヒーター用)は普通の乾電池(1.5V)で動作するのですが、B電源用(プレート用)としては数十ボルトの電池を用意する必要があります。
真空管時代のラジオを、AC100Vが無い場所でも使えるということでメーカーが販売を始めましたが、やがてソニーのトランジスタラジオが発売されると急速に需要が無くなり、数年ですたれてしまいました。B電源用に45V程度の特殊電池が必要だったので、高価な電池を購入しないといけないというデメリットもありました。
非常に珍しい電池管ですが、大人の科学社が中国で大量のストック品を見つけたことで商品化に成功したそうです。使っている真空管は以下のとおりです。左は中国名で、右は一般名です。
1K2 / 1T4
1B2 / 1S5
2P2 / 3S4
回路構成は再生式です。1K2の出力を正帰還かけて増幅度を上げるのですが、再生量を増やすと発振します。発振する直前が一番好感度になるのですが、ボリューム(10KΩ)で調整をする必要があります。また、選択度はあまり良くありません。比較的簡単な回路で高感度なラジオが出来るのですが、中間周波数に変換・増幅するスーパー式ラジオが登場すると、再生式ラジオは急激にすたれていきました。そういう、廃れた真空管と旧式の回路を使ったラジオは、珍しくもあり作りがいがあります。
A電源用は単二電池1本と、B電源は006Pを5個直列に並べて45Vを作っています。スピーカーは一応あるのですが、2P2の球1本では非力すぎて蚊の鳴くような音しか出ません。006Pを5本買うのは大変ですが、びっくりするほど電池の持ちがいいです。単二電池の方が、交換頻度が高いということが分かりました。それと、直熱管を使っているので、電源ONとほぼ同時に音が出ます。まるでトランジスタラジオのような感覚で使えます。
しかし音が小さすぎるということは実用レベルには遠いので、アンプ付き外部スピーカーを使うと快適に聞くことができます。(レトロ感は薄れますが)
最初は良かったのですが経年劣化のためか、006P電池ボックスが緩くなり上手く電池を押さえられなくなりました。つまり電源が入りません。試行錯誤して、ティッシュをちぎってボックスの上部に入れ、抑える力を増すことにしました。しかし、ボックスの爪が甘くなってしまったようで、手で押さえているといいのですが、浮き上がってしまします。何度が抑えると、たまにカチット爪がははまるのですが、翌日はしっかり外れています。ティッシュの量を調整しても、良くなりません。
「なとかならんかな?」
電池ボックスを押さえればいいので、重しを考えました。(シンプルイズベスト)←ほんとか? 単一電池2本を置いてみたのですが、重さが足りません。もっと重いものがないかなと思い、ジャンク箱をあさってみたら、トランスが発見されました。
「これだ」
格好は悪いのですが、鉄の塊のトランスは十分に重さがあり、目的にぴったりです。(本当に格好悪いな)
これで、快適にKBCラジオのパオーンが聞けるようになりましたとさ