とらいさぽーと

注射は怖い

Aちゃんは、学校での健康診断を受ける際に、

カードの手順書を確認しながら上手く受けることができます。

Aちゃんは、事前にどんなことをするのか、わかっているほうが安心できます。

前に出来たから今度も大丈夫だろうとまわりは思うかもしれませんが、

場所が変わったり伝え方や先生が変わったりすると、

それだけでAちゃんは不安になります。

そんな小さな変化に気が付か無い子も、気が付いてもスルー出来る子もいます。

でもAちゃんはスルーできない。モヤモヤ気分でいっぱいです。

それを克服するよう、我慢をさせるのはもちろんとんでもない話。

変化があるということを本人に理解できる方法で伝えれば克服する力が付いてくる。

 

医療検査に関するサイトで京都児童福祉センターが紹介している検診のための絵カードは、

シンプルなイラストなので知的障害のあるお子さんにも充分使えます。

 http://afd.life.coocan.jp/happayoukai.html

病院での検診にももちろん利用できます。

でも… 

注射だけは絵カードのように上手くいきません。

先の鋭く尖った針が腕を刺すのです。

なぜそんなことをしないといけないのか。

訳が分からない。。只々恐怖。

病気にならないように調べるため、などと抽象的なことを言っても通用しません。

無理やり押さえつけてなんぞは当然できません。

どうすればいいのでしょう。

学校を卒業後、Aさんは作業所に通うことになりました。

その作業所では利用者の検診があり、そこでは採血検査をうけなければなりません。

Aさんは出来る限りの拒否をしました。

まずここで止めてしまえばAさんは拒否すれば受けなくて済むということを学習してしまうことになる。

職員さんたちはよくわかっていますから、そんなAさんに対して優しく、根気よく、冷静に、粘り強く対応します。

「はじめはチクッとするけど、10数えたら、終わりだよ」「次は~だよ」「~の後はお母さんのお迎え」

注射が終われば次の予定に行ける、家にも帰れる。。

Aさん、覚悟を決めて受けました。1,2,3…

出来ました。「できたね!よく頑張ったね!」

まわりの職員さんたち皆に褒めてもらい、特別メニューのご褒美ランチも食しました。

Aさんが学習したことは、「はじめは少し痛いけど、10数えれば終わる。その後嬉しいことがある」。

でもそれ以上に、まわりの職員さんが出来たことを心から喜んでくれたことが、その後の大きな力となりました。

今では当時そんな大変なことがあったとは、嘘のようです。

 

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