じんべえ時悠帖Ⅱ

映画「MINAMATA」について

 今年の「都道府県魅力度ランキング」がブランド研究所

から発表され、ネットニュースなどで話題になっている。

 ベストスリーは何年も変わらず、北海道、京都、沖縄の

順で、故郷の長野はぎりぎりのベスト10。そしてワースト

スリーが下から「復活」の茨城、佐賀、そして、何と我が

埼玉県が昨年より7つ順位を落として45位となった。でも、

イジラれ強い「翔んで埼玉」県民は全く気にしないだろう。

 しかし、埼玉の一つ上の44位に落ちた群馬県の山本一太

知事は、ランキングには根拠がない、法的手段に訴えると

息まく。たかがアンケートによる人気ランキング、気にする

ことはない。

 

 さて、映画「MINAMATAー水俣」である。

 石牟礼道子の「苦海浄土」の中でも、3年間水俣に住んで、

水俣病の告発、水俣病闘争の支援をした米国の写真家である

ユージン・スミス夫妻については多くの記述がある。そして、

写真集「MINAMATA」はその集大成である。

 名優ジョニー・デップがプロデュースし主演したこの映画

は、その写真集のタイトルを題名にしている通り、写真家と

してのユージン・スミスの目から見た「水俣」である。

 映画の冒頭「これは事実に基づく映画」とテロップが出る。

確かにそうであるが、一次訴訟団、二次訴訟団の長く苦しい

もがきと闘いをグッと凝縮した「脚色」である。一部現実には

なかったエピソードが加えられていることは止むを得まい。

 昨年のベルリン国際映画祭の「招待作」として上映されたが、

以降配給権などについてイザコザが続き、日本では一年遅れの

公開となった。

 日本での公開については水俣病に対するスタンスと同じく、

水俣市は後援を拒否し、熊本県は支援を表明している。

 ともあれ、水俣病、水俣病訴訟闘争を知るきっかけには十分

な映画であろう。何よりもジョニー・デップ演じるユージン・

スミスが、酒(ウィスキー)浸りかつヘビースモーカーという

人間臭さをプンプンさせているのが、個人的には好きである。

 

 下の写真は、水俣から米国に戻る頃(1974)の「現実の」

ユージン・W・スミスと妻のアイリーン・美緒子・スミス。

アイリーンは、水俣(熊本)弁と夫の英語の通訳としても、

撮影助手としても大活躍した。

 映画では、ウツ気味で激情形のユージンをクールにリード

する。この映画について「夫ユージンや自身の描写には複雑

な思いもあるが、撮影中にはユージンがそこにいると思える

瞬間もあった」と語ったという。

 現実のアイリーンは今、水俣に拠点を置き環境汚染の防止

活動をしている。 


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コメント一覧

jinbei1947
ワイコマ様
当時の水俣は、市長、市議会をはじめほとんどの市民は、会社に抗議する少数の
患者たちを「水俣の恥」として脅し、よくても無視していました。
そんな中で正義派弁護士、石牟礼道子のペンの力、ユージン・スミスの
写真の力が、裁判闘争を継続させました。
しかし、毒を流し続けた企業が責任を認め補償するという「世の筋」を、
地に這いつくばりながら訴えた患者やその家族たちの執念、「怨」こそが、
原動力でしょうね。
ykoma1949
映画は水俣の現実を描写とあっても、主演の写真家の思いと
被害者の思い、地域の思い、公害をもたらした会社の思い
そしてその会社の社員の思い、みんなそれぞれ、なのでその
多くの人たちの見た描写、その思い、考えをよく聞いてこの
水俣を自分の判断することが大切で、本も、映画も、報道も
その本質、表現できない裏側を想像しながら読んだり見たり
することが、自分の成長につながる。なので私も、大概毎日
一枚以上の写真を撮るが、その夜にその写真を見ると撮った時
の思いが、分からなくなるときがある。自分という人間もそう
なんだから・・他人に見て頂く写真は、判ってもらえなくて
当然だ・・と思う。
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