今季一番の冷え込みが続く。関東ではほとんど真冬に近い
気温である。その一昨日、利根川沿いの四つの寺社を巡った。
今年は春から、日本橋を出発して中山道ウォークに没頭し、
江戸、武州(埼玉)の十宿をちょうど歩き終わったところ。
中断していた坂東三十三ヶ所巡りの再開である。
1.成田市 龍正院 坂東二十八番札所
2.香取市 香取神宮 下総一宮
3.鹿嶋市 鹿島神宮 常陸一宮
4.銚子市 円福寺 坂東二十七番札所
銚子までは鉄路で100キロ余。「大人の休日倶楽部」なら
往復券で3割引き。年金暮らしにはありがたいが、切りよく
5割引きにならないかい?JR東日本さんよ。
さて、今日から一山一社ずつ、4回シリーズで紹介しよう。
常磐線の我孫子から成田線で滑河駅に向かう。利根川沿い
から少し内陸に入った乗り継ぎ駅、成田までは40分ちょっと。
単線のためのすれ違い待機の間、一両に一つ開いたドアから
冷気が入り込み寒いのなんの。銚子行きを待つ成田のホームは
通学の高校生で溢れ、満員の車内も95%が高校生。そしてその
95%がスマホを眺める。
多くの高校生と一緒に降りる滑河(ナメガワ)駅、地名は滑川
である。今日最初のお寺さん、滑河山龍正院へは乗って来た
成田線を戻るような1.5キロの一本道。
約1時間後には戻って来ないといけないので、歩道のない、
朝の移動時間帯で車の多い道を速足で歩く。
20分で着いた龍正院の仁王門には、大きな注連縄(シメナワ)
が掛かる。中の仁王さんの腕が異様に太いのは、享保年間の
大火を団扇で追い返して寺領や門前を守ったとの謂れ。
本堂に入って参拝すると本尊の前立であろう十一面観音の
御尊顔を拝す。天女の天井絵もこの寺の特徴である。
参拝の後、時間を気にしながら境内の紅葉を見て回る。
阿弥陀堂や庫裏前、本堂裏の派手さはないが楚々とした
紅葉が趣良い。
仁王門前の気になる塔は、享保3年の「宝篋(キョウ)印塔」。
供養塔の一種で中に宝篋印陀羅尼経を納めるの特徴という。
石造が多い中で珍しい銅鋳物である。
その向かいの、根元から別れた夫婦松も珍しい。
20分の予定が30分近くになり、滑河駅への戻りも速足と
なる。利根川の土手が少しずつ近づく。
5分の余裕を残し滑河駅に戻る。2011年、東日本大震災の
まさに前日、この駅で貨物列車の脱線事故があった。
2012年、利根川の土手を佐原に向かって歩いた日に撮った
滑河駅手前を走る成田線である。
滑河駅は、9:20~16:30までは「有人駅」。その9時前
の電車で3つ先の佐原駅に向かう。これを逃すと1時間待ち
である。快晴の空だが、風は冷たい。