じんべえ時悠帖Ⅱ

晩秋の寺巡り(その2)、香取神宮

 JR東日本の車内の路線図が少し変わったという。

色弱者や高齢者が見やすいように、ある工夫がされた。

 考案した社員は、その気づきは研究所時代のある経験

だったという。上司から「テーマに困ったら駅に出て、

気づいたことを最低でも100個書き出せ」と言われた。

 建物や施設からは到底100個もの課題は出て来ない。

そこで歩く人、お客さんを眺めた。苦労している人や

困っている姿を多く見て思った。

 「鉄道会社は利用者の立場から駅を作っているのか」

         (今日の朝刊のコラム「ひと」から)

 現場に出て来い、最低でも100個課題を探して来いと

言った上司、素晴らしい上司である。そして、おそらく

ある研修体験をした人だと確信する。

 その紹介はかなり長くなるので別の機会にしよう。


 さて、晩秋の寺社巡り(その2)は香取神宮。

 早朝の龍正院詣を終わり、成田線滑河(ナメガワ)駅から

三つ先の佐原に向うと遠く筑波山が見える。右の女体山

(877m)は左の男体山より6mだけ高い。

 このあたりからは50キロ、その間には利根川と霞ケ浦

があるはずだ。

 着いた佐原は、「お江戸みたけりゃ佐原へござれ」という

ように、利根川の舟運で栄え「江戸優り」と自慢する独自の

伝統文化に溢れる街である。

 この佐原を訪れるのは4回目。利根川沿いを歩いた時の

中継地点として2回、伊能忠敬記念館や雛祭りパレードを

見に来た時、そして今回である。

 佐原の象徴、小野川沿いに出ると黄色い帽子を被った

小学生の一行が見学中。何回見てもこの風景は情緒がある。

 香取神宮には一つ先の香取駅から歩く方が近いが、佐原の

八坂神社とその脇にある山車会館に寄るためである。

 八坂神社にも小学生の一行がいる。訊くと同じ千葉の東金

からという。3クラスがそれぞれ分かれて佐原見物をして

いるようだ。そう言えば観光バスが3台停まっていた。

 山車会館の窓口では引率の先生が入館料を支払い中。

生徒23名、教師3名だが教師は無料という。俺も教師、と

その後ろから冗談を言うと、先生のみに受けた。

 この山車会館は、2台の山車の保管庫を兼ねる。

佐原の祭、夏は諏訪神社、秋はこの八坂神社の例大祭で

ある。併せて25町の山車が絢爛豪華さを競う。

 じっくり見たいが先のある旅の途中、館内をざっと見て

先へ向かう。電線地中化工事の表示に、確かにこういう

街並みに電柱は合わない、蓋し賢政である。

 佐原高校の手前、早くも「香取神宮入口」の交差点。

ちょっと早いのではと思うが、武蔵一宮の大宮氷川神社

の参道も2キロあるから、昔はここが一の鳥居だったの

かも知れない。

 その先の交差点奥に実際に鳥居が立ち、更に行くと

1キロ、500mと距離標が続く。その道は徐々に上り坂

なって行く。

 香取神社への入口に着いて一服休憩。左端の真っすぐな

急坂が参道である。広い通りに沿った駐車場の奥は土産物店

や飲食店らしい。

 300mほどの急坂を登り切ると小さな辻に出る。右奥は

奥宮への入口のようだ。あとで余裕があったら寄ろう。

 直進して石段を上がると右手に総門、左手が楼門である。

と言うことは上って来たのは裏参道?いや旧参道とある。

 上って来た急坂の下の広い道を行けばこの総門下にある

大きな鳥居が立つ表参道に出たようだ。道理で奥宮の位置

がおかしいと思ったはずだ。

 とりあえず楼門を潜って拝殿、本殿がある境内に入る。

 正面の香取神宮拝殿は、楼門の鮮やかさとは対照的に、

何と言うどっしとした貫禄であろうか。黒い艶消しの柱や

壁、茅葺の厚い屋根の荘厳さに圧倒される。

 伊勢、鹿島と並び、香取神宮は明治以前の三つの神宮の

一つで明治に官幣大社、昭和には勅祭社となった神社本庁

別表(別格)神社である。

 祭神は経津主大神(フッツヌシノオオカミ)で、鹿島神宮の祭神、

武甕槌大神(タケミカヅチノオオカミ)と共に、出雲の大国主神を

改心させ天照大神に復命させた功績を持つ神である。

 本殿の回りにも入ることが出来るので、じっくりと鑑賞

する。この社殿は芸術品と言ってもよい。

 いつの間にか、次の鹿島神宮へ向かうタイムリミットが

近づき、表参道の大鳥居や奥宮はパスとなる。次の鹿島神宮

へ向かう鹿島線は2時間1本である。

 総門から表参道方向を見下ろしてから香取駅へと向かう。

 奥宮入口の辻から近道の細い道を辿って香取駅に向かう

と、上って来た以上の倍返しの急な下り坂。痛む膝を庇い

ながら慎重に降りる。

 下り切ってからは長閑な田園地帯となる。30分ほどで

着いた香取駅、香取神宮の総門を模した駅舎は一目で

無人駅とわかる。

 隣の佐原始発の鹿島線下りに10分以上の余裕で着くと、

ちょうど昼時。コンビニおにぎりで軽く腹拵えしてから

着いた鹿島線には、老夫婦が一組が一緒に乗り込むだけ。





 


 


 

 

 

 



ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

コメント一覧

藤原氏の氏神であった香取・鹿島神宮
大鏡によると、藤原氏の出自はこのあたりらしいとのこと。奈良時代になって、春日大社として勧請された由。
  
jinbei1947
神幸祭などで二つの神宮は関係が深いようです。
香取神社は関東の東部に多く、三郷などでも特に
川沿いに多い感じがします。
ykoma1949
香取神宮・・なつかしく拝見しました。
私は、弟が工業高校を卒業して鹿島の
住友金属に就職したため・・この香取
そして次の鹿島の各神宮は50年近く前に
行ってます、なのでその記憶が忘れかけ
ていましたが・・写真を見て、思い出し
なつかしく昔を偲んでおります。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る