ある国の詐欺師が時の宰相に不埒な知恵を耳元で囁く。
「法ではできないことことも法を変えることなくできる」。
それを聞いた宰相は喜んで「これでおもいのままになる」。
しかし、本当にそんなことできるのかと心配した宰相は
側近に尋ねた。側近はできるかわからないが、宰相の機嫌
を損ねないように「できますとも」と答える。
小心な宰相はそれでも心配で、配下ではあるがこの国の
法の責任者に保証できるか尋ねた。保証しなければ宰相の
機嫌を損ねると思い「できますとも」と答えた。
こうして宰相は、法の妨げで思い通りにならないことが
あると、理の通らない解釈を考え、詐欺師の甘言に従い、
側近に背中を押され、法の責任者のお墨付きをもらっては
難局をしのいだ。
おかしいと思う人もいなかったわけではないが、数々の
繰り返しに感覚が鈍り、人々は口をつぐんだ。
時が流れたある時、空気を読めない馬鹿者が大きな声で
叫んだ。「法ができないということを、法を変えもしない
でするなんて、いかさまじゃないか」。
「はだかの王様」を模したこの寓話は、憲法学者の蟻川
恒正・日大院教授が新聞に寄稿した「この国の7年半」の
冒頭である(若干、編集している)。
内閣の判断で「恣意的に」検察幹部の定年延長ができる
ようにする検察庁法「改悪」が強行採決される。
詐欺師に吹き込まれた手口を実行し「後付け」でタブー
な法改悪をしようとするに至っては、もはやこの国の宰相
自身が「詐欺師」と化したことを示す。
その国の政治のレベルは国民のレベルで規定される。
(サミュエル・スマイルズ)
国民は自らの程度に応じた政治しか持ち得ない
(松下幸之助)
気分直しに江戸川の散歩から
新しい橋の工事、土手下の最初の橋台の掘削がはじまる
焼けたコーヒー焙煎工場、装置タワーの塗装が塗り直された
常磐道手前で折り返し
おや、富士山
もうちょっとズーム、間違いない
公園の児童プールに五月の青空が映る