昨夜、テレビに黙々と歩く外人の姿が映り、ウォーカーと
しては思わず見入った番組があった。
「カミーノ・デ・サンティアゴ」
聖僧ヤコブが眠るスペイン西端の街、サンティアゴへの道、
という意味である。
10世紀から続く聖地巡礼路で、標準的にはフランス南部、
ル・ピュイの教会(聖堂)から出発し、ピレネー山脈を越え、
ひたすら西へ西へと歩く約1,500Kmの道である。
宗教戦争や統治者の変遷により幾多の危機があったが、
千年もの間、脈々と続いたこの聖地巡礼路は、今でも最盛期
の50万人に近い年間35万人が歩くという。
今ではキリスト教徒だけではなく、ウォーキング目的や、
自分を見つめ直すための修行として歩く者も多い。
現役を引退した年配の欧米人のグループが多いようだが、
単独で歩く日本人などアジア系もいる。華奢な体で大きな
荷を背負った台湾の女の子は「弱い自分と向き合う」ため。
共感したことが二つ。
全体的にはフランスやスペインの素晴らしい風景の中を
歩くが、終盤のスペイン・メセタ台地では約150キロの平で
ほぼ一直線の道が続く。向き合うのは自分の心だけになる。
そして、あと1日か2日というところになると皆一様に
複雑な気持ちになる。完歩する嬉しさと「終わってしまう」
寂しさが交錯するのである。
日本で言えば「お伊勢参り」に行くようなものであろう。
東西の三十三ヶ所観音巡りも近いかも知れない。
散歩から花などを。