じんべえ時悠帖Ⅱ

大きな視野で小さなことをする

 信州上田市の郊外、別所温泉に向かう上田電鉄を見下ろす丘の上に

「無言館」はある。先の大戦に散った画学生たちの作品を展示する。

昨年6月、その無言館の共同館主に就任したのが内田也哉子(48)。

 無言館をよく訪れていた母、樹木希林が館主の窪塚誠一郎と懇意で

あった縁である。母、樹木希林を亡くしぽっかり空いた穴を埋めるべく

谷川俊太郎を訪れ、いろいろと自分の思いを打ち明けた。

 今も地球のどこかで紛争や戦争が起きている。それにかかわらず

自分はこうして平和を享受できている。この乖離をどう自分なりに

つなげていくか、つながりを見つけて行くか。

 それを聞いた谷川俊太郎は「大きな視野で小さなことをする、って

ことなんだろうな」と言った。

      (朝日1/1「不確かさをこえて 争いやまぬ世界」から)

無言館(2021年9月)

今朝の日の出


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