坂東三十三ヶ所巡りの最後、三十三山目の八溝山日輪寺。
前後半の2回シリーズで紹介しよう。
前泊した宿を出て、久慈川沿いを歩き常陸大子(ダイゴ)
駅に向かう。気温は5度以下だろう。
22キロ先の八溝山の麓、蛇穴(ジャケツ)に向かう路線バス
を待つと、その2分前に発車するバスの運転手が降りて来て
「日輪寺ですか、もうすぐ来ますよ」と気さくに話しかけて
来る。蛇穴の読みを確かめると「そう、普通ジャケツなんて
読めないですよね」など、しばし立ち話。
乗客無しで発車したそのバスの後に入って来た蛇穴行きも、
乗客は私の他は一人。その一人が街はずれで降りると、結局、
終点の蛇穴まで貸切りとなる。
バスは久慈川の支流、八溝川を縫いながら県道28号線を
グングンと上り、約40分で終点の蛇穴に着く。帰りの最終
が17時ちょうどなのを確認。今から約8時間後までに無事
戻ってこられるか・・・。
バス停から200メートルほど上ったところが八溝山への
登山口。おお、紅葉が素晴らしい! 東屋で身支度を整え
ながら紅葉を愛でてから、地理院の地図の標高(395m)と
腕時計の標高計を合わせ、いざ登山開始。
いきなりの急坂の先、最初の九十九折となる。八溝山の
頂上は標高1022m、8キロで600m強を登ることになる。
ちょうど半分くらい登った頃、日輪寺への分岐点となる。
ガイドブック通り八溝山頂上から日輪寺へ下りると決めて
いたが、この案内図を見てショートカットしようかと心が
揺れる。いや、苦しくとも「初志貫徹」と決める。
苦しい上りの癒しはやはり山肌の紅葉と眺望。やがて、
白樺と熊笹が目立ち始めると頂上も近い。
最後の急坂と九十九折りを上り切ると八溝嶺神社の鳥居。
筋肉痛でフラフラしながら石段を上り、お堂の前から左に
少し登った展望台あたりが八溝山頂。登山口から3時間10分
で登り切った。
ガイドブックの「標準2時間半」は、多分、八溝五水と
呼ばれる名水群経由の山道ルート。私が登った車用の舗装
道経由より1キロ近く短いから、私の3時間も歳の割には
大したもの?
脚に鞭を打って展望台の階段を上がると、待っていた
のは、おお、360度のパノラマの眺望である。西方が一番
広大な眺めである。右が那須連山、左へ高野連山、そして
日光連山と続く。
那須連山の山裾はさすがに広い。
右手にパラボナアンテナが2基、おや、山頂標識の脇で
老夫婦が並んで座り昼食中であろうか。強い風にパーカー
を着てから私もおにぎりの昼食とする。
いつもの昆布おにぎりが一段と旨い。下山に備えてアル
コールは控える。というよりも、少しでも荷を軽くと思い、
もともと持参はしていない。
次回、日輪寺経由の下り編である。