昨日の日曜版特集「ナショナリズム 私たちを映す鏡」
から「埼玉県民の愛郷心」について。
東京都民などから「ダサイタマ」などとディスられる
映画「翔んで埼玉」が興行成績37億円のヒットとなり、
日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。
武内監督が、企画段階で地元埼玉の関係者に台本などを
心配しながら説明したところ「全然大丈夫、みんなもっと
いじられてるから」と背中を押されたという。
神奈川東部、東京、埼玉は昔の「武蔵国(武州)」で、
元々風土的な実体差はない。それを無視して都内だけを
ブランドとする昨今の風潮へのアンチテーゼが、この
「翔んで埼玉」なのだろう。
意外なことに海外でも評判がよく、あちこちの映画祭に
招かれて相次いで受賞。地域間差別は世界のどこにもあり、
それに正面から切り込んだことが評価されたらしい。
世界の国境は、東京と埼玉の境にも似て近年定められた
「怪しい存在」。そんな中で日本だけは歴史、文化、言語
と国境線が完全に一致する珍しい国。
それだけに「愛国心が、時に息苦しいまでの同調圧力
を生む」。愛郷心はその「息抜き」の存在となっている。
(日本総研、藻谷主席研究員)
同じ穴のムジナからディスられても、風と受け流す埼玉
県民の愛郷心、「息抜き」だったのである。
昨日の夕方、雨上がりのあと一気に快晴となる。
ソメイヨシノやオオシマザクラから、八重桜、ハナミズキ
へのバトンタッチを月が見下ろす。
月が見下ろす。