北朝鮮でアフリカ豚コレラ 韓国、拡散防止へ協力申し出
2019年6月1日14時16分(ソウル)
韓国農林畜産食品省は5月31日、北朝鮮が国際獣疫事務局(OIE)に対し、家畜に感染すれば
極めて致死率が高いアフリカ豚コレラの発生を申告したと明らかにした。
同省などによると、北朝鮮北西部で中国との国境に近い慈江道雩時郡にある共同農場で
5月23日に発生。飼育していた99匹のうち77匹が死に、残りは殺処分された。
北朝鮮当局も地域間の移動や消毒など防疫対策を始めているという。
韓国統一省は31日、南北共同連絡事務所を通し、拡散防止をめぐり協力したいと北朝鮮側に伝えた。
北朝鮮側は検討したうえで対応を伝えると答えたという。
統一省は「北朝鮮内での拡散防止や韓国への流入を食い止めるためにも、南北協力は欠かせない」
としている。南北では2007年、口蹄疫(こうていえき)をめぐって協力した事例がある。
感染はほかの地域に広がっているとの情報もある。複数の中朝関係筋によると、北部の咸鏡北道でも
5月中旬ごろ、当局が「アフリカ豚コレラが発生した可能性がある」との通知を出し、殺処分された
豚を埋める作業が始まった。
4月下旬ごろには南部の黄海南道海州市付近で家畜の伝染病が確認されたほか、平壌市に近い
平安北道でも家畜の殺処分が実施されたとの情報がある。
北朝鮮は国際的な経済制裁などで食糧不足が深刻化しており、朝鮮中央通信によると、
金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は4月の最高人民会議で「草食家畜の飼育をなまけずに
続けよう」と訓示。豚や鶏、牛などの飼育が奨励されたばかりだった。
アフリカ豚コレラは欧州や東アジアで広がっている。岐阜、愛知両県で感染が報告された
豚コレラとは別の病気で、日本での感染例はない。ワクチンや治療法がなく、感染すれば極めて
致死率が高い。
アフリカ豚コレラの感染拡大に見舞われている中国の養豚場=AP