シリア政権側が化学兵器攻撃か=東グータ猛攻、死者90人超-最後の反体制派撤退へ
2018/04/09-08:43 時事通信
【カイロ時事】在英のシリア人権監視団によると、首都ダマスカス近郊の東グータ地区で7、8両日、唯一抵抗を続ける反体制派
「イスラム軍」に対するアサド政権と後ろ盾ロシアによる空爆が続き、56人が死亡した。負傷者らを救援する「シリア民間防衛隊
(ホワイト・ヘルメッツ)」は、化学兵器が投下され、40人以上が窒息死したと主張。大半は子供や女性とされ、500人以上が
治療を受けているという。
イスラム軍が残る同地区ドゥーマへの空爆は6日に再開され、人権監視団によれば、8日までに死者は計96人に達した。
イスラム軍の一部の強硬な勢力が政権側との撤退合意に反対したため、完全制圧を急ぐ政権側が猛攻を加えた。
しかし激しい攻撃の結果、イスラム軍は8日、拘束中の政権軍兵士らを解放し、48時間以内に北部へ撤退することで政権側と合意。
一部が既に撤退を始めた。
ドゥーマで活動する反体制派メディアは、犠牲者が目を見開いたまま、口から白い泡を吹いている画像を公開し、
アサド政権側によって化学兵器が使用されたと主張。犠牲者らは地面に折り重なって倒れて息絶えており、化学兵器の一種である
塩素ガスや強力な致死性ガスの使用が疑われている。
一方、国営メディアによれば、政権側は「イスラム軍は崩壊しつつある。化学兵器の嫌疑を繰り返して、政権軍の進撃を
妨げようとしている」と強調し、化学兵器の使用を否定した。
シリアの内戦では化学兵器による攻撃が繰り返され、東グータでも2013年8月、猛毒サリンが使用されたと国連調査団が
結論付けている。
「大きな代償払う」とトランプ氏が警告、シリア化学兵器使用疑惑
【4月9日 AFP】シリアの首都ダマスカス近郊にある反体制派の拠点、東グータ(Eastern Ghouta)のドゥマ(Douma)で7日、
化学兵器によるものとみられる攻撃が発生し数十人が死亡したことを受けて、翌8日には国際社会から非難が噴出した。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、「大きな代償を払う」ことになると警告した。
トランプ大統領はツィッター(Twitter)に、「女性や子どもを含む大勢が死亡した。シリアでの容赦ない化学兵器攻撃のせいだ」と
投稿。
さらにシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と、主要同盟国ロシアのウラジーミル・プーチン
(Vladimir Putin)大統領らを名指しし、「プーチン大統領、ロシアとイランにはけだもののアサドを支援している責任がある。
大きな代償を払うことになる」と警告した。
トランプ政権のトム・ボサート(Tom Bossert)国土安全保障・対テロ担当補佐官は米テレビ局ABCのインタビューで、
米国が再びミサイル攻撃で応じる可能性があるかとの質問を受け、「私はいかなる選択肢も排除するつもりはない」と明言した。
また、シリアにおける化学兵器使用の証拠があれば軍事行動は避けられないと繰り返し主張しているフランスは
国連安全保障理事会(UN Security Council)に対し、9日に緊急会合を開催するよう要請した。
シリアとその同盟諸国はこれに反論。シリア政府は、「説得力のない壊れたレコード盤」という表現で同じ非難の繰り返しに
すぎないと一蹴。またロシア外務省は、一連の報道を挑発行為と断じ、軍事行動の根拠として持ち出すことに警告を発した。
化学兵器によるものと疑われる攻撃後に手当てを受ける子どもたち。市民ボランティア組織「シリア民間防衛隊」提供の動画より(2018年4月8日撮影)
シリア 東グータ地区で49人死亡 アサド政権が化学兵器使用か