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中国の高速鉄道押し売り、実は誰も欲しくない  これまで具体的な成果を上げているのはタイとラオスだけ

2018-05-22 01:02:36 | 中共日本浸透工作・中共浸透工作・一帯一路・中国経済侵略

中国の高速鉄道押し売り、実は誰も欲しくない

 これまで具体的な成果を上げているのはタイとラオスだけ

2018 年 5 月 21 日 06:47 JST    THE WALL STREET JOURNAL


タイで展示された高速鉄道網計画に関する資料(昨年12月21日撮影)

 
 


 一帯一路では、アフリカから太平洋まで輸送網を整備し、貿易を向上する青写真を描く。だが中国当局者が外交攻勢をかけ、

習近平国家主席が旗印に掲げる高速鉄道計画を熱心に売り込んでも、巨額の費用を必要とするこの開発案件への参加をなかなか

他国に説得できないでいる。

 

 タイでは昨年、紆余曲折を経てようやく55億ドル(約6090億円)規模の第一段階の建設が着工された。中国は最終的には、

中国―シンガポールまでをつなぐ路線を完成させたい考えだ。

リ氏には、その第一段階となるバンコクとナコーンラーチャシーマー県を結ぶ約250キロ区間の建設を任されており、完成させるよう

重圧がかかっている。


 国営の中国鉄路設計集団有限公司(CRDC)のエンジニアリング責任者であるリ氏は、「多大なプレッシャーがある」と語る。

トウモロコシ畑や山麓の丘に囲まれた田舎町であるここパンアソークでは、鉄道網の敷設に向け、建機が大きな音を立てながら

地盤を整備していた。


 リ氏は「中国―タイ間は、一帯一路を成功に導く上で重要な部分だ」とし、「このプロジェクトを最高のものにしたい」と語る。


 中国国内の高速鉄道網は全長約2万4100キロメートルと世界最長を誇る。ただ、国内の建設は今後10年に完了する予定で、

中国は目下、海外輸出への野心を燃やしている。

 

高速鉄道タイ区間の敷設工事を任されたリ氏 


 「中国の外交官があちこちでセールスを展開している」と話すのは、戦略国際問題研究所(CSIS)のフェロー、ジョナサン・

ヒルマン氏だ。相手の国が本当に必要かどうか、中国は立ち止まって考えるようなことはほとんどしないという。


 中国がこれまで比較的、具体的な成果を上げているのはタイとラオスに限られる。ただ、両国から確約を得るまでにも、10年に

及ぶ交渉を要した。


シンガポールエクスプレス 中国は昆明とシンガポールを結ぶ鉄道路を計画


 計画では、中国からラオス、タイ、マレーシアを経由してシンガポールまで、全長約3540キロメートルの高速鉄道で結ぶ。

東南アジアにはまだ高速鉄道はなく、完成すれば全く新しい輸送網が誕生することになる。

 

タイで展示された中国高速鉄道の模型 

 コンサルティング会社ロジウム・グループのアドバイザー、アガサ・クラッツ氏によると、この鉄道網構想は元々、

東南アジア諸国連合(ASEAN)の場で生まれたが、「今建設に着手するよう推し進めているのは中国だ」という。

「中国はこの構想を自国のものにした」


 ただこの鉄道網計画を巡っては、乗客の需要や国民の支持を巡り、懐疑的な見方がくすぶる。パンアソークの建設員、

サンポット・カエワラハーンさん(53)も「高速鉄道の切符を買う金銭的な余裕がない」と打ち明ける。

タイの鉄道サービスは遅いが、無料だ。「タイ政府は、中国のご機嫌を取っているのだろう。中国は強力だから」


 タイでは2014年、軍事クーデターでプラユット・チャンオチャ氏を暫定首相とする軍事政権が誕生。この高速鉄道網計画は同年、

老朽化したインフラ更新を掲げるプラユット政権の下で承認された。


 だが、その後、中国から受ける融資の利子を巡り、交渉が決裂。プラユット氏は、費用を自力で調達し、建設も国内業者に

委託すると発表。中国には機器や技術支援のみを求めるとして、中国の失望を招いた。

 

高速鉄道網の建設が始まったタイ・パンアソーク県の工事現場 

 

 前出のクラッツ氏は「タイはあらゆる手段を使って、計画を遅らせようとした」と述べる。


 だが、中国もその後反撃する。2016年終盤に杭州で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議で、プラユット氏は計画の後れに

業を煮やした中国当局者に次々に囲まれ、プロジェクトの開始で合意するまで、しつこく説教されたという。


 中国外務省とプラユット氏の報道官は、取材の要請に応じていない。中国はラオスを説得するため、建設費用の60億ドルを

ほぼすべて負担することに同意しなければならなかった。タイ政府も、中国の当初の計画を拒否し、高速鉄道の費用を抑え、

スピードも落とすことを要求した。


 中国は、シンガポールやマレーシアなど、新たな輸出先を確保するために、ようやく着工にこぎ着けた建設事業をなんとしても

成功させなければならない。


 前出のヒルマン氏は、タイとラオスの事業について、中国が高速鉄道の供給元として高い評判を確固たるものにするのか、

それとも台無しにするのか、「諸刃の剣」になると語る。