EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

ソフトバンクG株が3年超ぶり安値、時価総額は通信子会社と逆転 / ソフトバンクG、自社株買いでくすぶる大型資産売却の思惑

2020-03-18 21:30:40 | 産業・企業情報

ソフトバンクG株が3年超ぶり安値、時価総額は通信子会社と逆転

2020年3月18日 9:29 JST 更新日時 2020年3月18日 13:37 JST   Bloomberg

株価下落率も12年以来の大きさに、S&Pは格付け見通し引き下げ

30億ドルのウィーワーク株購入の合意撤回の可能性も浮上

 

ソフトバンクグループ株が3年超ぶりの安値を付けた。格付け会社のS&Pグローバル・

レーティングは17日、同社の長期発行体格付けのアウトルックを「安定的」から

「ネガティブ」に変更した。自社株買い実施の方針がかえって財務面に対する投資家の

不安心理を強める格好となった。

 
 

  18日の取引で株価は一時前日比12%安の3222円と6営業日続落し、2016年11月以来の

安値水準まで下げた。下落率も12年10月12日(17%)以来の大きさとなり、時価総額は

一時6.79兆円と通信子会社のソフトバンク(6.98兆円)に逆転された。

 

  SBI証券の森行真司アナリストは、「ソフトバンクは通信会社で個人主体の

ストックビジネスだ。収益の変動リスクが少なく、テレワークの通信需要やスマホの

個人需要が発生している。一方でソフトバンクグループは投資ビジネスであり、

株価変動に影響され、逆転現象が起きている」とみていた。

 

 

  S&Pは見直し理由を新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が急落する中で

大型自社株買いを発表し、「財務の健全性と格付けを重視した財務運営を継続する

意志に対し疑問が生じている」と説明。投資資産価値が今後大きく低下した場合、

「格付けに見合う財務健全性が維持できなくなる可能性がある」とも指摘した。

 
 

  一方、格付け自体は投機的水準の最上位である「BBプラス」のまま据え置き。

今後2年間の社債償還に備え十分な手元現預金を維持しているほか、今回の自社株買いが

財務に与える悪影響を新規投資の抑制や資産売却などによって吸収できる可能性がある

点を挙げた。

 

  ソフトバンクGは13日、発行済み株式総数の7%に当たる5000億円を上限に

自社株買いを行うと発表していた。同社の社債保証コストを示すCDSを見ると、

17日時点で16年2月以来の高水準にある。

 

  また、ソフトバンクGはシェアオフィス事業を手掛けるウィーワークの株主に対し、

30億ドル(約3200億円)相当の株式を購入するとした合意を撤回する可能性があると

通告した。ブルームバーグが確認したウィーワーク株主に宛てた電子メールによると、

ウィーワークが米証券取引委員会(SEC)などから調査を受けていることを理由に

挙げた。

 

ソフトバンクG、自社株買いでくすぶる大型資産売却の思惑

2020年3月18日 / 19:10 /    REUTERS

[東京 18日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)(9984.T)による大型資産

売却の思惑がくすぶっている。先日決めた自社株買い5000億円の「原資」ねん出の

ためだ。株式市場では好感される自社株買いだが、クレジット市場にとっては財務の

バランスを崩しかねない危険な選択であり、早期の資産売却による資金創出が期待

されている。相場が不安定な中で、すんなり売却できるかは見通しにくい。  

 

<クレジットと株式で割れる市場の受け止め>

SBGの孫正義社長は、実質的に投資を本業とする会社に生まれ変わったと話す。

自社株買いに前向きの姿勢を示しつつ、規模や時期は社債の格付けへの影響に配慮する

考えも示していた。

投資会社を見る際、クレジット市場では純負債の保有株式に対する比率である

ローントゥーバリュー(LTV)率が重要視される。SBGは、通常時に25%未満、

異常時でも上限35%で運営する方針を示している。       

足元のLTVは19%付近で、まだのりしろはある。ただ、相場が不安定な中では、

保有株の株価が下落しLTVが下押しされかねない。これに加えて、LTVにネガティブ

な自社株買いにも乗り出した。

 

S&Pグローバル・レーティングは17日、SBGの長期発行体格付けを「BB+」で

据え置く一方、アウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。

相場急落の中での大型自社株買いで、財務健全性と格付けを重視する姿勢に疑問が

生じたとしている。       

 

一方、株式市場は自社株買いを歓迎。追加の自社株買いにも期待を寄せる。

同社株を取得している米ヘッジファンドのエリオット・マネジメントが2兆円規模の

自社株買いを要求していると伝わっており、さらなる自社株買いへの思惑も根強い。       

SBGは自社株買いの目的に株主還元の充実を掲げつつ、株主価値と株価の乖離も

背景の一つとした。2月の決算発表時には株主価値25兆円に対し、時価総額約

12兆円と開きがあった。    

SBI証券の森行眞司シニアアナリストは「狼狽売りの流れの中で『安い』という

判断はあってしかるべき」と前向きな評価を示す。自社株買いは自社の株価が安い時に

買い付けるのがセオリー。株価が安ければ、同じ金額でより多くの自社株を買い

付けられる。

 

<資産売却が一つの解決策に>    

こうした両者の「相克」を解決する1つの手段が資産売却だ。S&Pは格付けを据え

置いた理由の一つに、新規投資の抑制や資産売却などで自社株買いの財務への悪影響を

吸収できる可能性があるとした。S&Pの西川弘之上席アナリストは、SBGの保有

資産は「規模が大きく、上場資産が7割超で流動性も高い。平均的な信用力も高い。

質の良い資産」と話す。

 

過去のSBGによる大規模な自社株買いは、資産売却とセットだった。昨年2月発表の

6000億円の自社株買いでは、通信子会社ソフトバンク(9434.T)の上場で得た資金を

活用。16年の5000億円規模の自社株買いでも、手元資金に加え、保有資産の

売却資金を充当した。クレジット市場はこうした「配慮」を期待していたが、いまの

ところ具体的な資産売却の話は出ていない。       

SMBC日興証券の原田賢太郎シニアクレジットアナリストは、資産売却を伴わない

自社株買いが今後、増えていくようなら「市場環境に左右されやすい性質がより強まり

かねず、クレジット投資に際して長期のリスクを取りづらくなる」と指摘する。

 

もっとも、現在のような経済、市場の状況では、株式とクレジットの両市場が満足

できるような価格で資産売却できるかは不透明だ。SBI証券の森行氏は、経営体力の

あるSBGは相場が戻るまで待つのが得策と話す。「乱調相場はいつまでも続かず、

いずれ相場が改善すれば売却可能な資産や資金調達の手段も増える」と指摘する。

 

SBGの孫社長は、虎の子のアリババ株について今後も成長性が見込めるとして売却に

否定的な立場だが、その一部の売却はあり得ると市場では見られている。

傘下の米スプリント(S.N)とTモバイルUS(TMUS.O)が4月に予定する合併後に、

相場動向を見ながら持ち分の一部を売却するとの思惑もある。

 

17日には、SBGが米シェアオフィス大手・ウィーワークへの30億ドル相当の

TOB計画の撤回を検討しているとの観測報道も伝わった。S&Pは、SBGが

ウィーワークに対する巨額支援を打ち出したこともネガティブと捉えている。

S&Pの吉村真木子主席アナリストは「財務方針通りの行動が実行されるか待つ

必要がある」と話す。

 

SBGは、LTV25%未満の維持と2年分の社債償還資金の保持という財務方針に

ついて「変更はなく、引き続き順守していく」とコメントしている。

 

人気ブログランキング