マレーシア、北朝鮮大使を国外追放
【クアラルンプール共同】マレーシア外務省は4日、北朝鮮の姜哲駐マレーシア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外追放すると発表した。48時間以内の6日午後6時(日本時間同午後7時)までにマレーシアを出るよう求めた。姜大使は金正男氏殺害事件を巡るマレーシア政府の対応を繰り返し批判し、同国が求めた謝罪にも応じなかったという。両国関係の悪化は決定的となった。
マレーシア政府はこれまで駐北朝鮮大使を召還させ、北朝鮮国民のビザなし渡航の中止も表明。今回、国交断絶に次ぐ強硬措置を打ち出した。
ペルソナ・ノン・グラータは外交関係に関するウィーン条約で定められた外交官に対する受け入れ国の人物評価の一つ。通告を受けた派遣国は状況に応じて、その外交官を召還させなければならない。
マレーシア、北朝鮮大使を追放=関係悪化止まらず-金正男氏事件
2017/03/05-00:49 時事通信
【クアラルンプール時事】マレーシアのアニファ外相は4日、声明を出し、北朝鮮の康哲駐マレーシア大使を国外追放すると発表した。両国は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が殺害された事件をめぐって対立。大使追放の事態に発展し、両国関係は悪化の一途をたどっている。
康大使は正男氏殺害事件について「マレーシアの捜査は信用できない」などとマレーシア側を非難する発言を繰り返してきた。こうした北朝鮮の対応にマレーシア側が反発。ザヒド副首相兼内相が2日、北朝鮮国民のマレーシアへのビザなし渡航制度の廃止を発表していた。
アニファ外相の声明によると、康大使はマレーシア外務省に呼ばれ、4日夕に同省高官と会うはずだった。しかし、康大使は姿を見せなかった。
このため外務省は北朝鮮政府に対し、康大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として、国外追放を通告。康大使は同日午後6時(日本時間同7時)から48時間以内にマレーシアを退去することになる。
声明によれば、同省高官は2月28日夕、北朝鮮代表団と会談し、席上、大使によるマレーシア批判について書面で謝罪するよう求めた。この日夜までに返答がなければ「(マレーシアの)利益を保護する措置を取る」と警告していた。
しかし、北朝鮮側からは謝罪も、謝罪を行う意向も示されなかった。このため、大使追放に踏み切った。アニファ外相は「マレーシアはいかなる侮辱に対しても強く対応する」と強調した。()
<北朝鮮マレーシア関係> 1973年に国交樹立。在平壌のマレーシア大使館によると、2003年にはマレーシアのクアラルンプールに北朝鮮大使館が開設され、04年に平壌にマレーシア大使館が設置された。09年には互いの国民がビザなしで渡航できる関係を構築。マレーシアがゴムやパーム油を輸出するなど経済交流も盛ん。クアラルンプールは北朝鮮が国交のない日本や米国と接触する舞台にもなった。しかし、金正男氏殺害事件を機に両国関係は冷却化した。 (共同)