激震朴槿恵政権:「国民の心を傷つけ申し訳ない」 朴槿恵大統領が国民に謝罪 演説内容の事前提供疑惑を認める
2016.10.25 19:35 産経新聞
記者会見で謝罪する韓国の朴槿恵大統領=25日、ソウルの青瓦台(聯合=共同)
【ソウル】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の「友人」とされる女性、崔順実(チェ・スンシル)氏(60)が、国の重要機密である朴大統領の演説の草稿や閣議資料を事前に受け取っていた疑いが浮上した。朴大統領は25日に緊急記者会見して崔氏に機密資料を渡したことを事実だと認め、国民に謝罪した。
大統領の演説内容を事前に見られるのは本人や政府高官など一部に限られ、公職に就いていない崔氏に機密を提供するのは違法だ。また、朴氏は記者会見で、一般人の崔氏が水面下で国政に介入していた事実も認めた。これにより朴政権が大打撃を受けるのは必至で、朴氏が残り1年4カ月の任期中、ますます“レームダック化”するのは避けられそうにない。
韓国JTBCテレビが同日までに報じたところでは、朴氏の演説草稿などのファイル44点が事前に崔氏に渡っていたことが、崔氏が持っていたパソコンのデータの記録から判明。崔氏はファイルを朴氏が実際に演説する1~3日前に開いており、草稿などの資料を修正したとみられる個所が多数確認された。
また、演説では言葉の表現が変わっており、崔氏が原稿を添削した疑いがある。パソコンは、崔氏から処分を依頼された関係者が同テレビに提供した。
崔氏は朴氏の父、朴正煕(チョンヒ)元大統領が存命中の1970年代以降、朴父娘に近かった故崔太敏(チェ・テミン)牧師の娘。また、2014年4月の旅客船セウォル号沈没の当日に朴氏と密会していたとの噂が出た朴氏の元側近、鄭(チョン)ユンフェ氏の元妻でもある。財界の資金提供で設立された財団を私物化した疑惑も持たれている。
朴氏は緊急記者会見で崔氏について、「辛かったときに助けてくれた。(2012年12月の)大統領選挙の際、一部の演説文や広報資料の表現などで意見を聞き、助けてもらったことがある」と認め、「国民の心を傷つけ申し訳ない。深くおわびする」と述べた。
朴氏はまた、大統領に就任後も崔氏に意見を聞いたことがあるが、「大統領府と補佐役の体制が整ってからはない」と釈明した。
記者会見で謝罪する韓国の朴槿恵大統領=25日、ソウルの青瓦台(聯合=共同)
ソウル駅で韓国の朴槿恵大統領の謝罪会見を見る市民ら=25日(聯合=共同)