㈱レナウンが経営破綻 長年の不振にコロナが追い打ち
2020/05/15 東京商工リサーチ
3月末に新社長に毛利憲司氏(左)が就任したばかりだった。(3月27日、都内での就任会見)
「ダーバン」や「アクアスキュータム」などのブランドで知られる老舗アパレル業者。1902
(明治35)年、大阪で衣料品販売を手掛ける「佐々木商会」として創業、メリヤスを中心とした
繊維商品の製造を展開した。1960年代より、レディースアパレルとして人気を博し、積極的な
宣伝広告を展開。CMソング「レナウン娘」などで知られ、業界大手に成長した。
しかし、安価な海外ブランドの流入などの競合激化から業績が下降、2004年に紳士アパレル
大手のダーバンと経営統合。さらに、2010年以降は中国の繊維大手の山東如意科技集団有限公司が
第三者割当による新株発行で筆頭株主となり、山東如意グループ入りしていた。
こうしたなか、2019年12月期は消費税増税、暖冬などで重衣料が苦戦。主要販路である
百貨店向け販売も低調で、厳しい経営が続いた。10カ月変則決算となった同期は売上高502億
6200万円、営業損失79億9900万円で2期連続の赤字を計上。また、山東如意グループの
取引先に対する売掛金の回収難により、同期に53億2400万円の貸倒引当金を計上したことで、
大幅な赤字を計上し、決算短信に「継続企業の前提に関する注記」(GC注記)を記載した。
2020年3月27日、毛利憲司新社長は、都内で行った就任会見で「新型コロナウイルスで
消費は経験したことのないような打撃を受けている」とコメント、業績悪化に加え新型コロナ
ウイルスの影響を受けていた。なお、レナウンによると「子会社の法的手続きの予定はなく、
管財人の下でスポンサー探索を行い、当社グループの事業の維持再生に取り組む」という。
レナウンの株式は5月15日付けで東京証券取引所の整理銘柄に指定され、その後、上場廃止となる
見込み。