反日統一共同戦線を呼びかける中国
2012.11.15 , 16:53 SPUTNIK
14日モスクワで行われた露中韓の三国による国際会議「東アジアにおける安全保障と協力」で演説にたった中国外務省付属
国際問題研究所の郭宪纲 (ゴ・シャンガン)副所長は、こうした考えを明らかにした。郭氏は、日本は近隣諸国との領土問題の
先鋭化に意識的に対応し、第2次世界大戦の結果を認めないことを見せ付けたと強調している。郭氏は対日同盟を組んでいた
米国、ソ連、英国、中国が採択した一連の国際的な宣言では、第2次世界大戦後、敗戦国日本の領土は北海道、本州、四国、
九州4島に限定されており、こうした理由で日本は南クリル諸島、トクト(竹島)、釣魚諸島(尖閣諸島)のみならず、沖縄をも要求して
はならないとの考えを示した。
こう述べる郭氏は、中国、ロシア、韓国による反日統一共同戦線の創設を提案している。日本に第2次世界大戦の結果を認めさせ、
近隣諸国への領土要求を退ける必要性を認識させるために、この戦線には米国も引き入れねばならない。
一方で郭氏は、領土要求を法的に退けることについては、日本と新たな講和条約を結び、そのなかに書き入れられねばならないと
している。郭氏は、51年にソ連と中国の承認なしに締結されたサンフランシスコ講和条約は内容が古くなっているとの見方を示し、
それにかわるものとして新たな講和条約が結ばれなければならないと語った。
モスクワ国際関係大学国際調査センターの専門家であるアンドレイ・イヴァノフ氏は、会議での郭氏の発言は、参加者の反応を
さぐるために投げられた「爆弾発言」として受け止められたとして、次のように語っている。
「反日統一共同戦線を創設し、日本政府に対し新たな講和条約を結ばせるという提案はセンセーショナルなものといってよい。
これがしかも中国外務省に属する大きな研究機関の副所長であり、中国外交政策の策定にかかわる人物の口から飛び出した。
提案は一方では中国のある専門家の意見であり、別の見方をすれば大なり小なり中国指導部の感じるところを反映していると
いえる。」
この「爆弾発言」にロシアの専門家らはまず、冷静な反応を見せた。ロシアは論争問題を対立関係をつくることで解決することには
反対の姿勢をとっている。
ロシア政府は日本との領土論争においては感情の高ぶりを押さえ、まず互恵的な経済協力を第1に進める方策を採るようになって
久しく、しかもそれは成功を納めている。では韓国の反応はどうなるかだが、これについてはなんとも言えない。
イヴァノフ氏は韓国の立場については日本がどれほど強硬にトクト諸島の領有権を主張するかによって決まるだろうとの見方を
示している。現時点で言えることはただひとつ。
郭氏のイニシアチブが物語るのは、中国の新指導部は領土論争において日本と、いや日本だけでなくほかの国とも最も強硬な
立場を貫く構えであるということだろう。