[大阪市/アンカラ 29日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は29日、同国が決めた
ロシア製の地対空ミサイルシステム「S400」導入に絡む米国からの制裁を回避できるとの
見通しを示した。
北大西洋条約機構(NATO)の加盟各国は、トルコのS400購入決定に懸念を示しており、
米国はトルコが導入に踏み切れば制裁を科すと警告している。
一方トルコは、7月前半に予定されている引き渡し契約を取り消す意向はないとしている。
両首脳は20カ国・地域(G20)首脳会談(サミット)の合間に会談。
トランプ米大統領は、S400の購入決定を巡りトルコは不公平に扱われていると指摘。
この問題でオバマ前政権が引き起こした「混乱」に責任があるとの見方を示した。トランプ氏は
制裁の可能性は否定しなかった。
首脳会談後にエルドアン氏は、S400は7月前半に引き渡しが行われると述べ、制裁はないと
トランプ氏から直接聞いたと説明した。
「トランプ氏から個人的に(制裁は)ないと聞いた。われわれは米国と戦略的なパートナーだ。
戦略的パートナーとして、トルコの主権に干渉する権利は誰にもないことを認識すべきだ」と主張した。
先にトランプ氏はトルコに制裁を科すかと質問され、この問題が議論されていると述べた上で、
双方が「異なる解決策」を模索していると説明した。
29日のエルドアン氏とトランプ氏の会談は、S400の導入を巡りトルコが制裁を回避するために
米国に働きかける最後の機会とみられていた。
エルドアン氏の発言は、首脳会談後のトルコ大統領府とホワイトハウスの発表より踏み込んだ内容だった。
ホワイトハウスによると、トランプ氏はトルコのS400導入に懸念を表明、NATO同盟を
強化する防衛関係に向けた米国との協力を求めた。トルコ大統領府によると、トランプ大統領は
両国関係を損ねない問題解決を望んでいると表明した。
G20で顔を合わせたトランプ米大統領(中央左)、プーチン露大統領(中央右)、エルドアン・トルコ大統領(右上)=29日、大阪市(AP)