ロシアとトルコの首脳会談終了 シリア情勢で歴史的合意
2019年10月23日 06:33 SPUTNIK
トルコとロシアは22日、シリアのクルド人勢力をトルコとの国境付近から撤退させ、同地域で共同
巡視活動を開始することで合意した。
ロシアのプーチン大統領はこの会談内容は「極めて重要で、歴史の鍵を握る」と会談の成果を強調した。
プーチン大統領とエルドアン大統領はソチで6時間に及ぶ首脳会談を行った。会談後の記者会見で
プーチン大統領はシリアとトルコ間で続く緊迫した情勢の解決につながる決定が下された、と発言した。
首脳会談後に発表された覚書はロシア語とトルコ語で用意され、ラブロフ外相とチャヴシュオール外相が
それぞれ読み上げた。
この覚書によれば、両首脳はシリア領土内でのいかなる分離独立計画も認めず、またトルコの安全保障に
向けて協力することが確認された。
また、23日正午から150時間以内にクルド人の戦闘員と武器をトルコ国境から30キロ以上離れた
地域に撤収させることを決定した。そのため、ロシア軍とシリア軍がこの地域に入り、クルド人武装
勢力の撤退を監視する。
トルコとロシアはこの期限終了後、トルコがシリアで進める「平和の泉」作戦実行地域の東西10キロに
及ぶ地域で共同巡視活動を開始する。
この覚書により、シリアとトルコ間で横行するシリア人武装勢力の移動を食い止めるほか、難民の
安全な移動につながることが期待されている。
ロシア、シリアにおけるトルコの軍事作戦終了を発表
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、トルコの、シリア北部における軍事作戦「平和の泉」は停止
されると発表した。ラブロフ外相によれば、これですべては、クルド武装勢力の撤退にかかっている。
ラブロフ外相は「軍事作戦は停止され、すべては、人民防衛部隊(YPG)、すなわちクルド武装勢力の
人員や武器の撤退を含む、合意がどの程度、遂行されるかにかかっている」と述べた。
またラブロフ外相は、シリアに関する問題の解決の際に、ロシアが、「変わりやすくて、矛盾している」
米国の立場をうかがうことはしないと指摘した。
これより前、トルコのエルドアン大統領は、ロシアのプーチン大統領との会談の後で、トルコは他国の
領土を必要としないと述べた。エルドアン大統領は、10月23日から、トルコ領に位置するすべての
クルド人武装勢力が、トルコ国境から30キロ離れたところに移動することを期待している。
トルコのエルドアン大統領は今月9日、同国で活動が禁止されているクルド労働者党とテロ組織
「ダーイシュ(IS、イスラム国)」に対する「平和の泉」作戦をシリア北部で開始したと発表した。
トルコ軍は同日、ラス・アル・アインなどのトルコとの国境の複数のシリアの町を空爆した。
これら一連の出来事を受けて、クルド人勢力はロシアの仲介により、シリアと手を結んでいた。
シリア政府は幾度となく、シリア北部を占領しようとするトルコの政策を批判してきた。
ロシアは、トルコが、2011年から続くシリア紛争の調整の妨げになるような行動を慎むべきだとの
立場を示している。
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平和の泉作戦
レジェプ・ターイプ・エルドアン大統領は、作戦の開始をツイッターから伝えた。
エルドアン大統領は、トルコ語、英語、アラビア語のメッセージで、
「トルコ軍がシリア国民軍とともにシリア北部でテロ組織YPG/PKKとDEASHに対し、#平和の泉作戦を開始した」と語った。
この作戦の目的は、トルコの南部国境で構築されようとしているテロ回廊を消滅させ、地域に平和と平穏をもたらすことであると強調したエルドアン大統領は、
「平和の泉作戦により、我が国に向けたテロの脅威を打倒する」と述べた。
この作戦により構築される安全地帯のおかげでシリア難民が帰国できるようになると述べたエルドアン大統領は、
「平和の泉作戦により、シリアの領土保全を守り、全地域住民をテロの鉤爪から救い出す」と語った。
エルドアン大統領は、作戦で任務を負う勇敢なトルコ軍兵士と地域の支援グループの成功を祈った。