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YouTubeが落ちた日、ユーザーはどこに行った? データで解析 

2020-12-19 05:42:11 | IT関連・サイバー攻撃・SNS・ゲーム・5G・ポスト5G

YouTubeが落ちた日、ユーザーはどこに行った? データで解析 

2020年12月18日 07時00分  ITmediaビジネス
 

世界から突然YouTubeが消えたとき、人々はどこに居場所を求めるのだろうか。

 12月14日、Googleのサービスの多くが利用できなくなった。日本時間の20時45分~21時35分に、

YouTubeやGmailをはじめとして、認証が必要なすべてのサービスを含めて大規模なシステム障害が

発生した。

原因はgoogleの内部ストレージにおけるディスク容量の割り当て問題。中央ID管理システムの

容量が少なくなってしまったことで認証が必要なサービスを中心に機能不全に陥ってしまったのだ。

 

 障害が復旧するまでにかかった時間は、わずか45分間程度。しかし、世界に与えたインパクトは

甚大である。例えば日本では、YouTubeの動画を見られなかった人々がニコニコ動画に殺到する

という動きをみせた。短期間での異常なアクセス数の高まりによって、ニコニコ動画も一時的に

視聴やページ表示に不具合をきたすという結果となったのだ。

 

 このように、圧倒的なシェアを誇るYouTubeがなくなったとき、ユーザーはインターネットの

どこに居場所を求めたのだろうか。今回はGoogle Trendsのデータからインターネットユーザーの

動向を日米で比較した。

 

ニコニコとTwitterに流れた日本ユーザー

 まず、障害発生時の日本の動きに注目してみよう。YouTubeが落ちたとされる14日の21時近辺に、

大きく分けて2つの山が浮かび上がる

それはtwitterとニコニコ動画だ。YouTubeがダウンした時間帯とちょうど重なるかのように検索

トラフィックが急増している。一方で、Facebook、インスタグラム、Netflixは障害発生時も特段の

検索トラフィック増は確認できなかった。

 

 一方で米国は異なる状況だ。同じく14日21時近辺のグラフを確認すると、Twitterにやや小幅な

伸びが見られるものの、最も利用度が高まったのはFacebookである。もともと利用度が高い周期に

あたるものの、障害発生時における検索トラフィックの角度は最近でも最も鋭いため、Facebookへ

流入した人々が増加したといってよいだろう。

 

 驚くべきは、水色で示した競合の動画配信サイトの推移ではないだろうか。日本では2番手の印象が

強いニコニコ動画が、YouTubeの不具合と同時に流入を増加させた。

 

 反対に、米国における「動画配信サイト」への影響はほとんど現れなかった。米国では複数の

動画配信サイトが存在しているが、米国における2番手、3番手の動画サイトでも、障害発生時に

特段の流入増加はみられなかったのだ。グラフに採用したDaylyMotionをはじめとしたさまざまな

動画配信サイトで流入増が観測できなかった。

 

なぜ日本と米国でこれほどの差が生まれたのだろうか。その要因は大きく分けて2つある。

 

YouTubeの次にニコニコが選ばれた理由

 まずは、動画配信サービス市場における「需要の代替性」が日本市場については高く、

米国市場においては低いということがあるだろう。

 NTTドコモ系列のシンクタンクであるモバイル社会研究所の調査によれば、我が国における

動画サイトにおいて、YouTubeが62.3%、ニコニコ動画が9.1%という結果となった。

 

youtubeの利用度と比較すると、ニコニコ動画はその15%程度の利用度であるが、主にサブカルチャー

主体のコンテンツを得意としていたり、動画のコメントを画面上に表示していたりするという独自性

によって、競争の激しい動画サイト市場で生き残っている。その結果、日本では決して無視できない

量のアクセス数があるため、YouTubeでアップロードしている動画をニコニコ動画にも並行して

アップロードすることで知名度を向上させようとする動画投稿者も存在する。

 

 今回、トラフィックが大幅に向上した背景には、これらの要因がニコニコ動画のYouTubeに対する

「需要の代替性」を高めたことによると考えられる。

 そもそも、需要の代替性とは、商品の機能・用途・品質等の要素に基づき、需要者側から確定する

異なる商品間の代替度をいう。商品間の代替度が高いほど、競争関係が強くなる。

 

 この観点から考えると、ニコニコ動画は、YouTubeと同じ動画がアップロードされやすい環境にあり、

YouTubeが不調のときにはニコニコ動画にアップロードされている動画が補完的な立ち位置となりやすい。

 

 その結果、ユーザーの認識としては「YouTubeがなくなったらニコニコ」という動きとなったと

推測される。一方で米国ではYouTubeが“国産”動画サイトであることもあり、独占的な立ち位置を

確保していることで2番手、3番手の「補完性」が高まらず、結果としてYouTubeの代替となりにく

かったのではないだろうか。

 

 もう1つの要素が時差にあるだろう。日本時間では午後8時45分というゴールデンタイム中に障害が

発生したが、米国西部における太平洋標準時では午前3時45分と早朝であった。ニューヨーク時間でも

その時刻は朝6時45分と、米国ではインターネットユーザーが多くない時間帯であったことも両国に

おける影響度に差が生まれたことは留意しておくべきだ。

 

 今回はYouTubeを中心に障害発生時のユーザー動向を確認したが、1つのプラットフォームの稼働

中断ないしは停止がもたらす影響は年々大きくなっている。

 


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