WHOで中国に2つの難題、18日からパンデミック宣言後初の総会
2020年5月18日 5:38 JST Bloomberg Karen Leigh、Jason Scott
EUと豪州、新型コロナ発生源に関する調査呼び掛けで重要な役割
米国が台湾参加を「レッドライン」とするのは考え難い-元豪外交官
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を世界保健機関(WHO)が宣言して以降、
初めて開催されるWHO年次総会で、中国は2つの極めて難しい問題を問われる。新型コロナを巡る
中国共産党の初動と、台湾のWHOオブザーバー参加だ。
中国湖北省武漢の研究所からウイルスが流出したと示唆するなど、米国は連日、中国批判を展開。
18日に始まるWHO総会では、欧州連合(EU)とオーストラリアが新型コロナの発生源に関する
調査呼び掛けで重要な役割を担おうとしている。
調査検証を提案している国
アルバニア、オーストラリア、バングラデシュ、ベラルーシ、ブータン、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、
ジブチ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、アイスランド、インド、インドネシア、日本、
ヨルダン、カザフスタン、マレーシア、モルディブ、メキシコ、モナコ、モンテネグロ、ニュージーランド、
北マケドニア、ノルウェー、パラグアイ、ペルー、カタール、韓国、モルドバ共和国、ロシア連邦、サンマリノ、
サウジアラビア、アフリカングループとその加盟国、欧州連合とその加盟国、チュニジア、トルコ、ウクライナ、
グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国
米国主導の陣営は、コロナ対策を高く評価されている台湾のオブザーバー参加を後押ししているが、
台湾の公式および非公式の外交関係強化を狙ったこうした動きに中国は反発。台湾を自国領土の一部と
見なす中国は、長年にわたり国際社会での台湾孤立化を図っている。
新型コロナの死者数は世界で30万人を突破。米国とその同盟国が中国との地政学的争いを繰り
広げる中で、共産党による事実上の一党独裁体制への懸念が強まっている。WHOが「中国寄り」
だとして資金拠出を停止した米国は、WHOに代わる機関の設立さえも示唆している。
だが中国はWHO総会で大半の加盟国から支持を得るというのが、大方のアナリストの見方だ。
総会に参加する200近い国の多くが自国経済の成長を支えるため、世界2位の経済大国である中国との
良好な関係を必要としているためだ。その上、WHOの代替組織構想に弾みがつく公算も小さい。
オーストラリアの外交官として中国に赴任したこともあり、現在はローウィー研究所(シドニー)
で研究員をしているナターシャ・カッサム氏は、「中国を除いた実効性のあるグローバルな保健機関を
想定するのは難しい。米国が台湾参加を決して譲れない『レッドライン』とすることも考えにくい」
と述べた。今年のWHO総会はバーチャル形式で19日まで2日間の予定。
原題:China Faces Angry World Seeking Virus Answers at Key WHO Meeting(抜粋)
新型コロナ調査を求める豪の呼びかけを110カ国以上が支持=豪外相
2020年05月18日 14:50(アップデート 2020年05月18日 16:00) SPUTNIK
オーストラリアン紙は、オーストラリアのペイン外相を引用し、新型コロナウイルスの世界的な
感染拡大の原因と状況に関する独立した調査の実施を求めるオーストラリアの呼びかけを
110カ国以上が支持したと報じた。
ペイン外相は「世界は今後同じような大災害を回避するために(新型コロナの)パンデミックが
引き起こした危機状況に関する問いへの答えを求めている」と述べた。
オーストラリアのモリソン首相は調査について、どこかの国を非難することが目的ではないと指摘し、
「これが二度と繰り返されないために何が起こったのかを知りたいだけだ。これは正直な意図と
正直な動機を持ったかなり正直な問いかけだ」と述べた。
当初、オーストラリアの提案をロシア、英国、インド、インドネシア、カナダ、ニュージーランド、
日本、およびEU全加盟国(27カ国)を含む世界の主要な国が支持し、その後、一連のアフリカ諸国が
加わり、調査の実施を支持する国は116カ国に達した。
調査に関する決定はジュネーブ時間月18日正午に始まる第73回世界保健総会の決議に反映されることが
期待されている。同総会は初めてテレビ会議の形式で開催される。