韓日通貨スワップは政治だ
2017年01月12日09時07分 中央日報
通貨スワップこそ政治だ。協定は中央銀行同士で結ぶが、決定は財務長官、またはさらに上のラインでする。あらゆる政治・外交の計
算が根底に敷かれている。最も残念なことない国はもちろん基軸通貨国、米国だ。米国は日本、英国、欧州連合(EU)、カナダ、スイス
の5カ国とだけ協定を結んでいる。簡単には増やさない。だれとでもするならだれもドル不足を恐れなくなる。中国、日本、韓国が数千
億~数兆ドルずつ米財務省債券を買っている理由がなくなる。世界最大の財政赤字国の米国経済が壊れかねない。
まねっこの日本も米国ぐらい通貨スワップを政治的に使う。先週安倍晋三首相は釜山(プサン)の少女像を問題にして通貨スワップ
交渉を中断した。問題は政治・外交から生まれたのに筋違いの経済に矢を放った。韓国の弱点、外国為替のトラウマに触れたのだ。
元高官のS氏は「そんなことだと思っていた。日本は一度も韓国が絶対に必要な時、望む時に助けてくれたことがない。むしろ最初にお
金を抜き出し不意打ちを食らわせた」と話した。S氏は何人もいない国際金融専門家だ。
日本はちょうど20年前にもそうした。通貨危機が押し寄せた1997年、真っ先に韓国からドルを抜き出した。実に150億ドル。同年
の外貨準備高が多い時で約250億ドルだったので半分を超える。林昌烈(イム・チャンリョル)経済副首相が日本の財務省を直接訪ね
て行ったが門前払いした。三塚博蔵相は「米国が便宜を計らうなと言っている」として1銭も出さなかった。林昌烈副首相は「日本がお
金を引き揚げなかったら韓国経済がこのようになっただろうか」と抗弁したが効果はなかった。いま韓国経済はその当時くらいに厳し
い。米中紛争が激しくなれば外国為替のトラウマが再発しかねない。韓日通貨スワップはないよりもある方が100倍良い。それでもこう
した状況で日本にぬかずくことはできない。方法はないか。S氏は「過去から学ばなければならない。韓国がすがれば百戦百敗だ。日
本が先に手を差し出すようにしなければならない。そうするには米国を動かし、中国をてこに使わなければならない」とした。
過去を振り返ろう。初めて韓日通貨スワップが結ばれたのは2001年だ。日本が先に提案した。当時日本はアジア通貨基金(AMF)
を作って盟主になろうとしていた。人民元牽制のために韓国の支援が必要だった。韓国が別に必要でもない時に20億ドルの通貨ス
ワップを結ぶことになった理由だ。2008年の金融危機当時はどうだったか。日本は最初はあれこれ除いた。そうするうちに同年10月
に300億ドルの韓米通貨スワップ交渉が妥結して状況が変わった。より積極的に乗り出した。韓日通貨スワップはその後一気に700
億ドルまで増えた。
日本にとって韓国の立場は大きな考慮対象でない。米国の顔色、中国の牽制がもっと重要だ。高高度防衛ミサイル(THAAD)をめぐ
る葛藤に巻き込まれたいま、中国を活用するのは難しい。10月に満期となる韓中通貨スワップをむしろ心配するところだ。残ったのは
米国だ。そのためズボンの裾にしがみついてでもトランプを捕まえなければならない。もちろん容易ではないだろう。3つをうまく活用し
なければならない。(1)北朝鮮の核とTHAAD(2)ウォール街の人脈(3)国民年金だ。
(1)米国の昨年末現在の韓国証券市場への投資額は約189兆ウォン、圧倒的1位だ。北朝鮮の核とTHAADで韓国市場が揺らげば米国の打撃も大きい。こうした論理でトランプ政権の米国を説得しなければならない。
(2)ウォール街の人脈をてこに使わなければならない。2008年に姜万洙(カン・マンス)の経済チームはシティーグループのロバート・ルービン顧問(元財務長官)を攻略して成功した。ルービンは当時の財務長官ティモシー・ガイトナーの直属の上司だった。秘線活用が好きでウォール街出身が多いトランプ氏の経済チームにはより有効でありうる。
(3)500兆ウォンを超える国民年金は投資・雇用を渇望するトランプ氏には良い誘引策になれる。
トランプ氏の大統領在任期間に300億~500億ドルの通貨スワップだけ維持できても韓国の外国為替・金融市場は大きく安定させら
れる。内外から危機の嵐が押し寄せる時期に資金流出の心配なく経済再生にだけ集中できる。厳しいときは後頭部を叩く日本の鼻を
ぺしゃんこにするのはおまけだ。