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EUが対アジア新戦略立ち上げへ、中国の「一帯一路」に対抗

2018-09-29 14:58:53 | 中共日本浸透工作・中共浸透工作・一帯一路・中国経済侵略

 EUが対アジア新戦略立ち上げへ、中国の「一帯一路」に対抗

2018年9月28日 22:26 発信地:ブリュッセル/ベルギー    AFP

中国国旗と欧州旗


 【9月28日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が掲げる大経済圏構想「一帯一路

(One Belt One Road)」に対する疑念が高まる中、欧州連合(EU)は他国に返済不能な融資を

負わせないことを売りとした、アジア向けの代替戦略を立ち上げようとしている。

 

 EU加盟国は来月開催されるアジア欧州会議(ASEM)の首脳会合に合わせ、交通や物流、デジタルや

エネルギー資源調達網の整備を強化し、環境や労働基準の導入の推進も目的とした新たな「

アジアとのつながり戦略」を策定する見通しだ。

 

 EUは対アジア新戦略について他の国や組織を意識したものではないと主張しているものの、

中国が融資する巨額の資金によって各国に鉄道や道路や港湾を建設する「新シルクロード構想」は、

一時の輝きを失いつつある。

 

 EUのフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障政策上級代表(EU外相)によると、

この新戦略は数か月前からアジア各国と協議が進められており、多くの国が「欧州流の考えに関心を

示している」という。

 

 モゲリーニ氏は記者会見で、「われわれの構想は地域社会に雇用を創出し、経済成長を実現し、

そして地域の利益となることを目的としている」「この構想が他のものと違いがあるのかについてあえて

言うつもりはないが、これはわれわれ独自の案だ」と述べた。

 

 欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)

委員長はこれまで、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の「米国第一主義」のみならず、

アジア・アフリカへの中国の積極的な関与にも対抗できるよう、EU経済の影響力に見合ったさらに力強い

外交戦略を推し進めるよう呼び掛けていた。

 

 オランダのクリンゲンダール研究所(Clingendael Institute)に所属するEU・アジア関係の専門家、

マーイケ・オカノヘイマンズ(Maaike Okano-Heijmans)氏によると、中国のソフトパワー戦略への

対応の遅れについて一部でEUを批判する声も上がっており、新たな戦略は「非常に重要な一歩」だという。

 

 オカノヘイマンズ氏は「中国の資金力に対抗できるものはいない」としながらも、EUの対アジア戦略に

ついて「未来の展望がないと批判されることはもうない。問題はいかにしてこれを一部の国の真の

代替案とするかだ。この構想には資金が必要だ。とにかくたくさんの資金がかかる」と指摘した。

 

■負債、そして「デジタルシルクロード」への懸念

  中国の習主席は今月、中国と一帯一路に参加する国との貿易額は5兆ドル(約560兆円)を超え、

直接投資額は600億ドル(約6兆8000億円)を突破したと発表した。

 

 しかし中国のひも付き援助について、利益よりも負担の方が大きいのではないかと疑問に思い始めている

国もある。

 

 極めて重要な財源問題も含め、EUの構想はまだ多くの部分が煮詰まっていないものの、計画では

「高い環境・社会的基準」と「インフラ計画の財政・金融における持続性」の重要性が強調されている。

この考えは、中国の大盤振る舞いが実質的に借金地獄を生み出しているという、一帯一路構想に対する

大きな批判を強く意識したものとみられる。

 

 スリランカでは昨年、14億ドル(約1500億円)規模の事業向けに中国から借り入れた融資への返済の

見通しが立たなくなり、戦略上重要な港の運営権を中国に99年間貸し出すことで両国が合意した。

 

 一帯一路への懸念が高まり、今年8月にマレーシアは200億ドル(約2兆2000億円)規模の

高速鉄道計画を含む中国関連3事業を中止。つい最近まで中国マネー受け入れに熱心だったパキスタンでも、

中国事業に関する債務返済能力への懸念が広がり、パキスタン政府は融資の透明性を高めると宣言した。

 

 米シンクタンク、カーネギー国際平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)の

フィリップ・ルコー(Philippe Le Corre)氏は、サイバーセキュリティー問題がますます各国政府の

重要な懸念事項となる中、中国の「デジタルシルクロード」に巻き込まれるより、EUが推進する透明性の

ほうが魅力的であることが証明されるかもしれないと指摘する。

 

 ルコー氏は「基本的にデジタルシルクロードは中国の通信企業に国内のインフラ建設を認めるもので、

ポータルサイトや電子商取引サイトなど、あらゆるデジタル媒体へのアクセス権を与えるもの」と説明。

「非常に長い期間にわたって中国の足跡が残ることになり、(そうなった時には)他の選択肢は残っていない」

と警鐘を鳴らした。

 

 気付き始めている国もある、と前置きした上でルコー氏は「特に情報やテクノロジーの管理に関しては、

持っている卵を全部同じバスケットに入れるようなことは良くない、中華帝国への依存は大きなリスクを伴う」

と強調した。



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