日韓関係に「前門の虎、後門の狼」、元徴用工訴訟、年内にも韓国で最高裁判決、慰安婦財団解散とも重なり暗雲
日本企業に賠償を求め韓国の元徴用工らが起こした訴訟の判決が、年内にも韓国大法院(最高裁)で
言い渡される。訴訟の経緯などから日本企業側が敗訴する可能性が大。
そうなれば、1965年の日韓請求権協定を覆しかねない。慰安婦支援財団の解散問題とも重なり、
暗雲が漂う日韓関係の「前門の虎、後門の狼」だ。
最高裁で係争中なのは、第2次世界大戦中に製鉄所で強制労働をさせられたとして韓国人4人が
新日鉄住金を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審。5年間止まっていた審理が今年8月に
始まった。
元徴用工の個人請求権に関して、日韓両国政府は日本が韓国に5億ドルの経済支援を行うことで
「両国および国民の間での請求権を完全かつ最終的に解決した」とする1965年の日韓請求権協定で
決着済みとの立場。一、二審では原告側が敗訴した。しかし、最高裁は12年5月、「個人の請求権は
消滅していない」と判示。下級審判決を破棄し、差し戻した。これを受け、二審の裁判所は
8000万~1億ウォン(約800~1000万円)の賠償を命じ、日本企業側が再上告していた。
元徴用工の訴訟をめぐっては、最高裁が日韓関係の悪化を懸念した朴槿恵前政権に配慮して判決を
遅らせていた疑惑が浮上。8月初め、検察当局が外務省などを家宅捜索している。
朴前大統領の指示で当時の政府高官が最高裁に判決先送りを要求したとみられている。
韓国の文在寅大統領は8月、安倍晋三首相との電話会談で元徴用工の賠償請求権について
「国家間では韓日請求権協定で解決した」とする一方、「個人請求権は存在するというのが韓国最高裁の
判断だ」と説明。康京和外相も9月、外国メディアとの記者会見で、最高裁で日本企業への賠償を命じる
確定判決が下された場合、尊重する考えを示した。三権分立の建前からも韓国政府が介入できる
余地は少ないが、日韓関係には大きな影響を及ぼすことになる。
一方、15年12月の日韓合意に基づき、翌年7月、慰安婦被害者を支援するため韓国に設立された
「和解・癒やし財団」について、日本メディアはこのほど、「9月11日にベトナム・ハノイで行われた
日韓外相会談で康外相が河野太郎外相に『年内に解散する』と通告した」と報じた。
西村康稔官房副長官は9日の記者会見で、この報道を「事実ではない」と否定したが、解散には文大統領が
9月25日の日韓首脳会談で言及している。慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した
日韓合意の形骸化は避けられない見通しだ。
日韓両国は8日、1998年に当時の小渕恵三首相と金大中大統領の間で未来志向の関係構築などをうたった
共同宣言から20周年の節目を迎えた。安倍首相は記念シンポジウムで「隣国であるが故にさまざまな
難しい課題がある。政治のリーダーシップによる大きな決断が必要だ」と強調したが、
聯合ニュースは「歴史問題では認識の溝を埋められずいる」と伝えている。
韓国大法院の強制徴用判決控え…日本「企業の賠償確定ならICJ提訴」
2018年10月08日07時33分 中央日報
年内に結論が出るとみられる韓国大法院(最高裁判所)の強制徴用判決に関連し、
日本政府が「日本企業の賠償が確定する場合、韓国を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する」という
方針を決めたと、外交筋が7日伝えた。
両国関係に詳しい韓国側の情報筋によると、日本政府は「2012年の判決のように日本企業の
賠償判決が出れば
『個人に賠償金を支払うよりも国が一括で受けるのがよい』という趣旨の1965年の韓日請求権協定を
正面から覆す」「韓国政府が司法府の判決を正さなければICJに提訴する」
という立場を決めた。日本政府は公式・非公式チャンネルを通じて韓国政府にこうした立場を通知したという。
大法院全員合議体に回付された関連訴訟は、強制徴用被害者の遺族が三菱重工業と新日本製鉄を
相手取って起こした損害賠償請求訴訟の再上告審。1・2審では原告が敗訴したが、
2012年に大法院は「植民支配と直結した不法行為による損害賠償請求権は請求権協定に含まれない」
として事件を2審裁判所に差し戻した。「個人の請求権問題は1965年の協定ですでに解決された」
という韓国政府の立場とは違った。
2審裁判所は大法院の趣旨に基づいて「該当会社は徴用被害者に8000万-1億ウォン
(約800万-1000万円)を賠償すべき」という判決を出すと、日本企業が再び上告して
現在にいたった。日本政府は早ければ年内に確定する大法院の結論が2012年の判決と同一になる
可能性が高いとみて対策を調整していると把握された。
日本とは違って韓国は「自国を当事者とする紛争が生じる場合、裁判に無条件に応じる」という
ICJの強制管轄権関連の選択議定書に加入していない。ICJに提訴されても韓国側の同意がない限り
裁判権が自動的に発動されるのは難しい。
これに対し日本は数年間の持久戦を念頭に置いて「韓国司法府の判決が国際法を違反し、韓国政府も
正そうとする努力をしなかった」という点を浮き彫りにして国際世論戦をする態勢だ。
これに関連し、三菱重工業が韓国内の事業規模を大幅に縮小したという話が外交関係者の間で出ている。
両国関係の未来志向的発展を強調した
「金大中(キム・デジュン)-小渕宣言(21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ共同宣言)」が
8日に20周年を迎えたが、日本艦船の旭日旗掲揚問題など連日敏感な懸案が浮上し、両国関係は大きく
揺れている。
文政権よりのハンギョレ新聞がパククネ前大統領の徴用工判決破棄構想を報道。
朴前大統領「徴用賠償判決が確定すれば国の恥さらし」破棄求めた。
「慰安婦財団」2016年7月の設立に合わせ
徴用「外交部の意見書→全員合議体→破棄」構想
朴前大統領、外交部に「8月まで意見書の提出」を指示
行政処・外交部、朴前大統領の支持後速やかに推進
「この判決が確定すれば、国の恥さらしだ」。2015年12月、いわゆる「最終的かつ不可逆的」という
韓日「慰安婦」問題の合意が出た後、当時朴槿恵(パク・クネ)大統領が、日帝強制徴用被害者事件の
裁判をめぐり、大統領府参謀陣に語った言葉だ。
日本戦犯企業の賠償責任を認めた最高裁(大法院)の判例を自分が進める過去の歴史清算の方向に
合わせて覆したり、最大限遅らせる案を実行するよう要請したわけだ。
日本政府に“誠意”を見せるべきという趣旨だ。
2日、ハンギョレの取材結果、朴前大統領は2016年半ばに、大統領府参謀陣を通じて外交部に
「もうすぐ『和解・癒やし財団』が設立され、(日本から)お金が入ってきたら、最高裁に徴用事件への
意見書の提出を処理するよう」指示したという。「慰安婦」合意によって日本政府の拠出金(10億円)で
作られる和解・癒やし財団の設立日程に合わせ、強制徴用事件の裁判も整理しようとしたわけだ。
その直前に朴前大統領は「(徴用に対する賠償責任を認めた)判決が確定すれば、国の恥さらし」だと強調し、
外交部の意見書の提出時期を「2016年8月」以降に本格化するよう指示したという。
日本政府が10億円を送ることにした時点だった。
当時、外交部は「慰安婦」合意以降、批判世論が高まったことを受け、意見書の提出時期を
延期しようとしたが、イム・ジョンホン当時最高裁事務総局次長などは、大統領府と外交部関係者たちとの
会合で、「どうして提出しないのか」と何度も催促したという。
朴前大統領が意見書の提出時期を指示してからは、手続きが一気に進んだ。
2016年9月、イム元次長は外交部関係者らとの会合で、「外交部から意見書提出の手続きを開始する
シグナルを受けたら、(シナリオ通り)進める」と提示し、外交部は同年11月、最高裁に意見書を出した。
ただし、その頃、「国政壟断」事態が本格化し、朴前大統領が弾劾された後は最高裁の裁判は一向に進まず、
時間だけが流れる状況となった。
これに先立ち、検察は2013~2014年「金淇春(キム・ギチュン)大統領秘書室長やチャ・ハンソン、
パク・ビョンデ最高裁事務総局長、外交部長官」の会合などを通じて、このような認識を共有して
実行したことを確認した。
当時、秘密会合では外交部が最高裁に意見書を提出すれば「新しい争点」が見つかったとの理由で、
事件を最高裁判所全員合議体に付託し、戦犯企業の賠償責任を認めた最高裁判所の前の小部判決を
破棄する案などが協議された。検察はヤン・スンテ当時最高裁判所長官も強制徴用事件の裁判の破棄の
計画の報告を受けたものとみている。

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