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ウクライナ発表::北朝鮮使用?エンジンは「ロシア向け」 。不正に密売、犯罪組織による 密輸の可能性。

2017-08-16 16:33:42 | 北朝鮮

ウクライナ発表::北朝鮮使用?エンジンは「ロシア向け」不正に密売、犯罪組織による 密輸の可能性。

2017年08月16日 05:20    AFP

ウクライナの首都キエフで記者会見するウクライナ国立宇宙機関のユーリー・ラドチェンコ会長代行(2017年8月15日撮影)

【8月16日 AFP】ウクライナ国立宇宙機関(SSAU)は15日、北朝鮮のミサイル開発で使用されたとみられるエンジンについて、

ウクライナの工場で製造されたものだったと認めた上で、その目的はロシアに供給する宇宙ロケットへの搭載のみだったと発表した。

 

 英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」は14日に発表した報告書で、北朝鮮がこのところ長距離ミサイルの開発で急速な進歩を

遂げた理由は、旧ソ連構成国のウクライナの工場で製造された「RD250(RD-250)」ロケットエンジンを改良して使用したことに

あるとみられると指摘していた。

 

 同研究所によると、これらのエンジンはロシアまたはウクライナの兵器庫の従業員が不正に密売し、犯罪組織によって北朝鮮に

密輸された可能性があり、その時期は1991年のソ連崩壊と現在のウクライナ危機の間だったとみられる。

 

 SSAUのユーリー・ラドチェンコ(Yuriy Radchenko)会長代行は記者会見で、RD250エンジンは2001年までウクライナの

ユジマシ(Yuzhmash)で製造され、ロシアに供給されたロケット「ツィクロン2(Cyclone-2)」と「ツィクロン3(Cyclone-3)」に

搭載されていたと説明。

 

 問題のエンジンとロケットはいずれも「ロシア向けにユジマシで製造された」もので、ロケットの総数は233機に上り、

宇宙への打ち上げに使用されたという。

 

 同氏はウクライナ側が把握している情報として、ロシアは現在ツィクロンロケットを7~20機所有しており、同国はRD250エンジンと

その設計図を「誰にでも意のままに供給できる」と指摘。さらに、同エンジンの使用に必要なロケット燃料の製造技術を所有している

のは、ロシアと中国だけだとの見解を示した。

 

 これに対しロシアのドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)副首相は、北朝鮮が同型のエンジンを模造するには、ウクライナの

専門家の支援や、エンジンやその設計図の不正入手が不可欠だとの見方を示している。


北朝鮮の核・ミサイル開発の成功はウクライナのエンジンと関係=ニューヨーク・タイムズ。/ 北朝鮮、潜水艦ミサイル発射実験が近く実施か。米サイト分析


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<参考記事>

 

世界の問題児、北朝鮮を密かに支えようとするロシア

 

北朝鮮の核・ミサイル開発にロシアが関与?

2017.7.7(金)    JB press

北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐる米・中・韓の認識にはどうにもならない乖離が見られる。

 6月30日にワシントンで行われた初めての米韓首脳会談で、直後の記者会見に臨んだトランプ大統領が、北朝鮮に対する「忍耐の時期は

終わった」とし、今後は北朝鮮に対する圧力の強化を示唆した。一方、韓国の文在寅大統領は「制裁と対話を活用し、段階的で包括的な

アプローチに基づく解決」を力説し、柔軟な対話を含む対応の重要性を主張し、韓の北朝鮮に対する「温度差」が浮き彫りにされた。

 


 それ以前の6月21日にワシントンで開催された米中外交・安全保障対話では、北朝鮮の核・ミサイル問題で、米国側は中国に、北朝鮮に

対しより強力な圧力をかける責任があると要求し、逆に中国側は米国に軍事演習などの軍事圧力を停止することで北朝鮮の核・ミサイル開発

を抑制させる外交ルートによる対話路線を主張した。北朝鮮問題に関わる米中の「温度差」はすでにここでも露呈し、両者の意見が噛み合わな

かった。

結局、共同文書の作成は見送られ、米国側のティラーソン国務長官、マティス国防長官が記者会見を開いただけで、中国側はノーコメントで

あった。

 


 こうした米韓、米中の認識の乖離をあざ笑うかのように、7月4日、北朝鮮は弾道ミサイル発射実験を行った。ミサイルは約40分の飛翔で

高度2802キロメートルに達し、933キロメートル離れた日本のEEZ(排他的経済水域)に着弾した。当日午後3時半、北朝鮮は「特別重大発

表」を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表した。

 


 米国は当初、このミサイル発射実験は「中距離弾道ミサイル」であるとし、米国本土への直接の脅威となるICBMではないという評価を

発表していたが、後にティラーソン国務長官は北朝鮮を強く非難する声明を出し、その中で発射されたミサイルをICBMであると認定した。

米軍の定義では、射程5500キロメートル以上をICBMとしており、アラスカやハワイなどが射程に含まれるものと見られる。

 

 北朝鮮の弾道ミサイル開発が米国に対する直接的な脅威になったことで、トランプ政権の対北朝鮮政策が見直しを迫られる事態となった

のは疑いない。しかし、米国だけでできることは限られているのが現実だ。

 


北朝鮮問題は緊張状態のまま膠着化?

 

 米韓首脳会談や米中対話の結果は、取り立てて驚くに値しない。簡潔に解釈すれば、韓国は親北路線の文政権が誕生したものの、

対北朝鮮と対米国との間で微妙なバランスを図る必要があり、対話による外交的解決を主張せざるを得ない。

また、米中間はもっと露骨であり、米国が中国に「北朝鮮への圧力が足りない、努力不足だ」としているのに対し、中国は「緊張を高めているの

は米国の圧力の結果だ、穏便に事を収めたければ軍事的プレゼンスを後退させろ」と、いわば責任のなすり付け合いの様相を呈したことに

なる。

 

 この事実は、一歩下がって観察すれば、米中ともに北朝鮮問題がすぐに戦争に発展するような危険性を内在しているとは認識していない

ことを見て取ることができる。7月4日のミサイル発射実験がICBMであったにせよ、米国の中枢である北米大陸東部に到達できる

射程1万2000キロメートル級のICBMの開発にはまだかなりの時間を要するのは確かだろう。


 中国が北朝鮮に経済制裁の圧力を今以上に強化しても、効果が現れるのには一定の時間を要するし、その結果が北朝鮮の内部崩壊や

対外的暴発になることは極力避けたい。しかし、外交的解決を目指しても、北朝鮮が協議に応じるには、どのような「ギブ・アンド・テイク」が

可能かを含め交渉の時間が必要だ。米国の姿勢が緊迫した現状の打開を求めるものであったにせよ、米中の主張は、それなりに時間的猶予

を織り込んだものと考えることができる。

 

 たしかに、トランプ政権は武力行使を含めたすべての選択肢がテーブルの上にあると北朝鮮を恫喝し、4月には日本海に空母2隻の戦力を

展開してみせた。だが、マティス国防長官は5月19日の記者会見で、北朝鮮への武力行使は「信じられない規模での悲劇が起こる」と述べ、

武力行使が現実的な選択肢ではないことを印象づけた。米国から戦争を仕掛ける意図がないことを明らかにしたと言ってよいだろう。

 

 そうなると、当然予想されるのは状況の膠着化である。今後、北朝鮮問題は増大する緊張下で推移していくことが予想される。


 こうした状況は、米中関係にも長く影を落とすことになり、決してプラスに作用することはないだろう。

日本も韓国も、状況が打開されなければ閉塞状態に置かれる。韓国の文在寅大統領にしても、こうした状況を突破したいだろうが、

北朝鮮と米国、さらに中国も受け入れられるような解決策を提案できるようには思えない。

 

ロシアが北朝鮮に「関与」する理由

 そうした中で、膠着化する朝鮮半島問題に利益を見出している国があることを想起しなければならない。すなわちロシアである。

 

 観点を整理してみよう。中国は北朝鮮が崩壊し、朝鮮半島が米国のコントロール下に置かれるのを受け入れたくはないから、

「緩衝国家」としての北朝鮮の存続を望む。それはロシアも共有する観点であろう。同時に、ロシアにしてみれば、中国の「傀儡」となる

北朝鮮も望むところではない。ロシアから見れば、「独立し、中国の干渉も受け付けない北朝鮮」が望ましい姿ということになる。

これに関して言えば、ロシアのプーチン大統領は、6月2日にサンクトペテルブルグで開催された経済フォーラムで発言し、

「(北朝鮮のような)小国は独立や安全、主権を守るために核兵器を保有する以外に方法がないと思っている」と述べ、北朝鮮の核保有を

容認するかのような発言をしている。


 ロシアにとってみれば、朝鮮半島の緊張は、米国の同盟国である日本、韓国に対する米国の安全保障コミットメントを高めることにつながり、

それは米国の東アジアへの軍事コミットメント強化という形で台頭する中国への牽制にもなる。

東アジアで政治的かつ経済的に覇権を確立したい中国にとっては、米国のコミットメント継続ないしその強化は迷惑極まりない話であり、

話を飛躍させれば台湾統一の願望さえ思いとどまらなくてはならなくなる。

結果として重要なことは、北東アジアの勢力バランスは緊張の度合いを高めながらこれまで通り維持されることになるということである。


 ロシアは、目立たない形で北朝鮮への関与を進めてきた。2011年8月、脳梗塞後の病身をおして列車でモスクワを訪問した金正日に、

当時のメドベージェフ大統領は北朝鮮の抱える対ロシア債務の軽減交渉を受け入れた。

その結果、プーチンが大統領に復帰した後の2012年9月に「旧ソ連時期に提供された借款により北朝鮮がロシアに負った債務の調整に

関する協定」によって、総額110億ドルの90%を棒引きし、残りの10%は20年間の均等割償還でロシアと北朝鮮の共同事業への投資に

回すという「寛大な」措置を取った。以来、北朝鮮が極東ロシアに派遣する「出稼ぎ労働者」も増加し、これは北朝鮮にとって貴重な外貨

収入源となっているとされる。今年の5月からは北朝鮮の羅津とロシアのウラジオストクを結ぶ定期フェリーも就航した。

中国が北朝鮮の貿易において9割という圧倒的シェアを占めているのは事実であっても、ロシアが北朝鮮との経済関係を深めようとしている

ことは事実である。


 ただし、中国がそうしたロシアの思惑や行動を察知したところで、ロシアに対して強硬な態度に出るわけにはいかない。


 経済制裁回避の見返りで北朝鮮への制裁強化である程度の協力をしなければ体裁が取れない中国にとって、北朝鮮をロシアが経済的に

支えてくれることは、(中国の北朝鮮に対する影響力が下がるという意味で外交的に好ましくないとはいえ)北朝鮮の崩壊を防ぐという意味で

地政学的に望ましいことだろう。また、直接的な中露関係で言えば習近平のナショナルプロジェクトである「一帯一路」を成功に導くためには、

中央アジアやインドに一定の影響力を持つロシアの協力が絶対に欠かせないことも指摘できる。

 

 米国はどうだろうか。対北朝鮮武力行使が現実的でないなかで、北朝鮮を巡って中国と米国が政策的対応で「綱引き」をしている状況は、

米国にとってやるべきことはやっていることを内外に示す意味で「悪くない」かもしれない。

しかし、米国の要求に従う形で中国が北朝鮮に対する圧力を強化し、その結果北朝鮮が「暴発」するのも米国の望むところではない。


 中国に代わってロシアが北朝鮮を経済的にバックアップし、「暴発」を未然に防いでくれるなら、表面的には「制裁の効果を減じる」として

反対ないし批判が出てくるだろうが、「黙認」する結果になるだろう。

2016年の大統領選挙でロシアの関与が取り沙汰され、トランプの選挙陣営との関係が疑われて「ロシアゲート」などと揶揄されている

トランプ政権にとって、ロシアは積極的に「関わりたくない」相手でもある。


北朝鮮のミサイル開発にロシアが関与か

 ただし、問題なのは北朝鮮へのロシアの関与が、経済的バックアップだけではないことだ。今年に入ってからの頻繁な北朝鮮のミサイル試射

の背後にもロシアの関与が疑われる。もちろん、明白なエビデンスが出てくれば米中のみならず国際的な糾弾の対象となる行為であろう。

だが、国際的に孤立し、経済的にも人材的にもリソースが豊かでない北朝鮮が、どんどん弾道ミサイルの開発を進め、ついにICBM発射実験

成功まで到達した現実は、とても北朝鮮が独力で行ってきたとは思えない。

 

 日経新聞の記事では、ロシアが北朝鮮のロケット技術者を留学させたり、ソ連崩壊後失業したロシアのロケット技術者を受け入れてきたこと

等が指摘されているが、人材の交流が北朝鮮による今年に入ってからの急速なミサイル開発の進展ぶりを説明するのは無理がある。

ロケットエンジンや制御技術の提供や、ロシア版GPSであるGLONASS衛星測位システムの利用など、もっと直接的な支援があったことが

疑われる。


 北朝鮮の核技術やミサイル技術はロシア(ソ連)由来であり、ロシアとしても技術的にサポートしやすいのは事実だろう。

その意味で言えば、ロシア由来という点では中国も似たようなものだが、もし中国が北朝鮮の核・ミサイル開発に秘密裏に関与していた場合、

それが露呈したらとんでもないことになる。その意味で中国の関与の蓋然性は低いと思われる。


 もちろん、ロシアも北朝鮮問題の6者協議のメンバーであり、北朝鮮の核保有には基本的に反対の立場を取ってきたから、中国ほどでは

ないにしても、それなりに外交的リスクを抱えた対北朝鮮ミサイル協力と言える。


 核・ミサイル大国の北朝鮮をもしロシアが演出しているとするなら、その狙いが何なのか。中国への牽制なのか、米国への牽制なのか、

あるいは北東アジアにおける「現状維持」あるいは「現状固定」なのか。

直観的に言えば、ロシアにとっては、北朝鮮のICBMが米国にとっての新たな脅威となることは米ロの戦略関係から見てもプラスになる。

現状、ロシアが直面しているのは米国の脅威だけだが、米国は、ロシア、中国に加えて北朝鮮も脅威になるからだ。

これに直接関わる米国も、そして中国もロシアの関与に言及しないのが不可解である。