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サッカーのヘディングで脳に大きなダメージ! 自律神経障害や記憶力の低下のリスクも

2017-03-04 22:17:15 | 健康・糖質制限・ダイエット・衛生

サッカーのヘディングで脳に大きなダメージ! 自律神経障害や記憶力の低下のリスクも

2017.02.28  HEALTH PRESS

ヘディングの衝撃は想像以上!

 サッカーでボールを頭で扱う「ヘディング」は、実は思いのほか脳に良くないとの研究結果が報告された。具体的には、日常的にヘディングをするアマチュア選手では、脳震盪(のうしんとう)リスクが有意に高くなるのだという。

 この研究はオンライン版「Neurology」の2月1日に掲載されたものだ。


ヘディングの衝撃は脳震盪を起こす強さ

 以前に発表された研究によると、年間1000回以上のヘディングを行うサッカー選手の30%が、脳外傷に典型的な脳白質の微細構造の変化が見られる可能性が高く、認知能力が低下することがわかっている。


 この問題をさらに調べるため、米アルベルト・アインシュタイン医学校(ニューヨーク市)教授のMichael Lipton氏らによる今回の研究では、ニューヨーク市のアマチュアサッカークラブの成人男女222人の選手が、オンラインでの質問票に回答した結果に着目した。


 その結果を見ると、全ての回答者が、前年に6カ月以上サッカーをしており、2週間のうちにヘディングを行った回数は、男性は平均44回、女性は平均27回だった。男性の37%、女性の43%は、後頭部にボールがぶつかるなど、偶発的な頭部への衝撃を1回以上経験していた。


 そして、日常的にヘディングを行う選手と、さほどヘディングを行わない選手を比較すると、脳震盪の症状を示す可能性が3倍以上にもなることがわかった。偶発的な衝撃を2週間で2回以上受けた選手は、そうでない選手と比較して、脳震盪の症状を示す可能性が6倍以上にもなった。


 さらに、「ヘディングまたは偶発的な衝撃があった」と報告した選手のうち20%に、中等度から重度の脳震盪の症状が見られた。極めて重度の症状を呈した7人のうち6人は、偶発的な衝撃を2週間で2回以上も受けており、4人はヘディング回数が最も多い群、3人は2番目に多い群に該当していた。


 Lipton氏は「この結果が、子供や学生の選手、またはプロのサッカー選手にも当てはまるとは限らないが、ヘディングの衝撃は脳震盪を起こすこともある強さであり、ヘディングに関連する脳震盪が一般的に見られると示していることは確かだ」と話している。

 

ヘディングで記憶力も大幅に低下

 サッカーのヘディングの危険性は『サッカーの「ヘディング」で記憶力が半減! 米国では「子供のヘディングを禁止」を発表』で詳しく紹介している。


 学術誌「EBioMedicine」に掲載された研究によると、サッカーでは日常的なプレーであるヘディングをした直後の選手を調べたところ、「記憶力が通常より41~67%も低下した」というのである。


 2015年12月には、米国サッカー連盟(USSF)は、脳震盪などの怪我から選手を守る新たな安全計画として、「10歳以下の子供のヘディング禁止」を発表。さらに「11~13歳の選手に対しても、ヘディングを1週間30分以内、1人あたり15~20回にとどめる」という項目を盛り込んだ。


 頭部への運動に関しては、脳震盪を起こさなくてもても、頭痛、めまい、自律神経の障害など、さまざまな危険性がある。こうした症状は、軽症頭部外傷(Minor Head Injury)と呼ばれる。


 あの元サッカー女子日本代表の澤穂希選手も、2012年3月、ポルトガルで開催されたアルガルヴェ・カップ2012での遠征中に体調不良を訴え、帰国後、検査を受けたところ「良性発作性頭位めまい症」と診断され、この症状に似ているとの指摘もある。


 日救急医会誌「軽症頭部外傷に関連する病態と対応」(2014年)によると、以下のような記述がある。


 「近年、スポーツ選手や軍事活動に従事する兵士のように、軽症頭部外傷を繰り返し受傷した人たちが、受傷から数年後に慢性的な

認知機能障害や抑うつ状態を呈することが報告され、繰り返される軽症頭部外傷に関連する慢性外傷性脳症(chronic traumatic

encephalopathy:CTE)が注目されている。繰り返される軽症頭部外傷に関連 する慢性外傷性脳症(chronic traumatic

encephalopathy:CTE)が注目されている。軽症頭部外傷の患者の多くは比較的若年者であり社会的な影響が大きいため、海外で

はその病態の解明や診断、治療法の研究が盛んにおこなわれている」


 頭部外傷のひとつの指針として日本臨床スポーツ医学会が公開している「頭部外傷10か条の提言(第2版)」がある。その中でも「スポーツ現場における脳振盪の評価 」などは参考になる。
 

 子どもたちの日ごろのスポーツ活動に関しては やはり心配が耐えない。指導者やボランティア、さらには親でも、こうした知識は持っていたほうがいいだろう。

 

 

サッカーの「ヘディング」で記憶力が半減! 米国では「子どものヘディングを禁止」を発表

 サッカー、アメリカンフットボール、アイスホッケー――。世界中で、なかでもアメリカで観客を熱狂させる人気のスポーツには、激しいコンタクトプレーがつきものだ。


 しかし、その裏にある脳へのダメージの危険性については、近年多くの専門家が警鐘を鳴らしている。


 大きなきっかけを作ったのは2005年、引退したアメフト選手の脳細胞が変性しているという報告だった。米リーグ「NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)」の選手がプレー中の衝突やタックルで受ける脳のダメージが社会問題にまで発展し、元選手や家族ら約5000人がNFLに対して集団訴訟を起こす事態となった(2015年に和解)。


ヘディングで記憶力が低下する

 脳に後遺症が残るほどのダメージといえば、受け身を取る暇もないほどの衝撃で、気を失うような「脳震盪(のうしんとう)」の場面を思い浮かべる人が多いだろう。アメフトならタックル、サッカーでは空中での競り合いなどで起きることがある。


 しかし先月、学術誌「EBioMedicine」に掲載された研究によると、サッカーでは日常的なプレーであるヘディングをした直後の選手を調べたところ、「記憶力が通常より41~67%も低下した」というのである。


 今回、英国スターリング大学の研究チームは、機械を使ってコーナーキックに似せたボールを放ち、被験者の選手たちにそれぞれ20回ずつヘディングをしてもらった後、記憶テストを実施した。


 同大の認知神経科学者マグダレナ・イエツワート氏は「ヘディングをした直後に選手の脳の機能が抑制され、記憶力テストの結果が著しく低下した」とコメント。


 この影響は、24時間が経過するまでに消えていき、結果的に脳の変化は一時的なものだったが、サッカー選手のヘディングのように、これを何度も繰り返すことで、後々の脳の健康に大きな影響を与えると考えられている。


 今回の研究は、脳震盪などの強いダメージではなく、サッカー選手が日常的に頭に受けている軽いダメージが、脳へ与える影響を調査した初めてのケースだ。


幼少時に競技を始めるほど脳が危ない?


 こうした近年の複数の研究により、サッカーボールを繰り返しヘディングすることによる影響への懸念は高まっており、引退した元選手に注目が注がれている。


 たとえば、2002年に59歳の若さで死去した元イングランド代表FW、ジェフ・アッスルには、検視の結果、神経変性脳疾患、慢性外傷性脳症(CTE)の症状が認められた。ただしアッスルの現役当時のボールは、現在のボールに比べてかなり重かった。


 CTEはアメリカンフットボール選手やボクシング選手、ラグビー選手などでも多く確認されているが、近年CTEと診断された患者の約2割には脳震盪の経験がないことがわかっている。


 さらに、アメフト選手の場合だが、成長してから競技を始めた人と比較して、12才未満に競技を始めた選手の方が、認知能力の低下が著しいことも明らかになっている。神経が発達する幼少期に、頭部に繰り返し衝撃を与えることが悪影響を及ぼす可能性もあるという。


子どもには「ヘディング」をやめさせるべきか?

こうした報告を受けて、脳ダメージの危険から子どもを守るため、いち早く動いたのがアメリカのサッカー界だ。


 昨年12月、米国サッカー連盟(USSF)は、脳震盪などの怪我から選手を守る新たな安全計画として、「10歳以下の子どものヘディング禁止」を発表した。さらに「11~13歳の選手に対しても、ヘディングを1週間30分以内、1人あたり15~20回にとどめる」という項目を盛り込んだ。


 また今年3月、女子サッカー元アメリカ代表のブランディ・チャスティンさんは、頭部負傷の研究のために、死後に自身の脳を提供する計画を立てていると明かした。彼女は、高校入学前の選手のヘディングを止めるキャンペーン「より安全なサッカー」の支持者だという。


 スコットランドサッカー協会(SFA)の元会長ゴードン・スミス氏は今回の研究を受けて、アメリカの例に倣うことも検討すべきだと指摘。「幼い子どもたちに後になってどんな影響が出ることもないよう、特定の年齢層にはヘディングをやめさせるべき」とコメントしている。


 スポーツである以上、怪我をするリスクをゼロにするのは不可能だ。しかし競技のルールそのものが、将来のある子どもたちに深刻な影響を残すものであってはならない。サッカー界全体で何らかの対策を急ぐべきだろう。

2016.11.16