ウクライナが「シュタインマイヤー・フォーマット」を承認。これは何を示すのか。
2019年10月02日 22:18(アップデート 2019年10月02日 22:36) SPUTNIK
「シュタインマイヤー・フォーマット」とは何か
「シュタインマイヤー・フォーマット」とは独元外相で現在、独連邦大統領の
フランク=ヴァルター・シュタインマイアー氏がミンスク合意の実現順序について行った提案で、
特にドンバスの特別地位の導入および恩赦、キエフ当局の支配の及ばぬ領域における選挙の実施を
どうするかが記されている。提案自体は2015年10月、「ノルマンディー4者」の代表らの集まる席で
行われていた。
「シュタインマイヤー・フォーマット」が提唱するのは、ウクライナ東部ドネツク州、ルガンスク州で
キエフ政権の管轄が及ばぬ地域での選挙実施の当日は、これらの領域の特別地位に関する法律を
一時的に発効させるというもの。ただし欧州安全保障協力機構(OSCE)と国際監視団が選挙の
成立を認めた後は、この法律は恒常的に機能する。その後、今まで両州を実効支配してきた当局は、
ロシアとウクライナとの国境コントロール権をキエフ当局へと引き渡す。
ルガンスク人民共和国
ウクライナの東部のルハーンシク州(ロシア語名ルガンスク)でロシア連邦への編入を求める分離・独立派が独立を宣言した地域。2014年以降、ウクライナ政府の管轄が及んでいない地域である。この地域の独立を承認している国家はほぼ皆無で、ウクライナ政府はルガンスク人民共和国を「反政府組織」として認識している。
ドネツク人民共和国
ウクライナの東部のドネツィク州(ロシア語名ドネツク)でロシア連邦への編入を求める分離・独立派が独立を宣言した地域。2014年以降、ウクライナ政府の管轄が及んでいない地域である。この地域の独立を承認している国家はほぼ皆無で、ウクライナ政府はドネツク人民共和国を「反政府組織」として認識している。
ウクライナの反体制派は合意に異議
最高議会(ラーダ)の副議長で「ヨーロッパの連帯」党(旧称、ペトロ・ポロシェンコ・ブロック)
のイリーナ・ゲラシェンコ氏は、ウクライナ問題のコンタクト・グループが結んだ合意は
ウクライナ政権に一方的な義務を押し付けるものとの見方を示している。
ゲラシェンコ氏は「これまで何年もの間、我々はクレムリンの罠にはまらずにすんできたが、
今度は罠に引きずりこまれている」と立腹し、これはすべて「プーチンの計画」と決めつけた。
プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の交渉
ウクライナのゼレンスキー大統領は未だにプーチン大統領と直接会う機会をもっていない。
ただし電話会談の形では3度実施されていることは明らかにされている。
ゼレンスキー氏はここ最近、プーチン大統領とは独露仏ウクライナの「ノルマンディー・フォーマット」
で会う構えであるという声明を数度にわたって表している。
10月1日、マクロン仏大統領は「数週間以内に」首脳会談の実施を検討していることを明らかにした。
ゼレンスキー大統領 「ノルマンディー・フォーマット」へのトランプ大統領の参加要請を否定
ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ノルマンディー・フォーマット」への米国の参加は
呼びかけていないが、ウクライナ東部ドンバスでの紛争解決に協力するようトランプ大統領に
申し入れたことを明らかにした。
ゼレンスキー大統領は、「今、私の政治生活ではじめて、私たちは『ノルマンディー』フォーマットを
どうすべきなのか、そのことを直視しなければならない」と語った。
また、同大統領は、「『ノルマンディー』が機能せず、効果がないのであれば、我われは呼びかける
ことになるだろう、米国に限らないが」
以前、国連総会の場でのゼレンスキー大統領との2国会談の際、トランプ大統領は、
ロシアとウクライナの関係が発展していると語った。
また、トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領とゼレンスキー大統領が個別に会談を行い、
その中で両国が諸問題を議論することを望んでいると述べた。
また、同大統領は、「それは大きな成果となるにちがいない。私はプーチン大統領は何かに
取り組むことを望んでいると確信している」と強調した。
一方、ゼレンスキー大統領は、米国と欧州連合の共同の努力がドンバスでの戦闘を止める力に
なると表明した。
ウクライナ政権は2014年、ドネツク、ルガンスクの両人民共和国に対して全面的な軍事作戦を展開。
ミンスクでのコンタクトグループの会談で採択された文書に関わらず、ウクライナ東部の戦闘行動は
今も続いている。国連の情報によれば、戦闘行動による犠牲者は約1万3千人にのぼる。