日本、月面の有人探査目指す…米基地計画に参加
2017年11月26日 08時43分 読売新聞
政府は、米国と協力して月面の有人探査を目指す方針を固めた。
米国が2020年代後半に建設を計画している月軌道上の宇宙基地に参加し、日本人飛行士の月面探査を実現したい
考えだ。宇宙政策を議論する政府の専門家会合で近く、こうした方針をまとめた報告書案を示す。
日本にとって、国際宇宙探査に参加することは、科学的な成果を得られるだけでなく、宇宙産業の競争力強化や、
宇宙利用分野での主導権確保につながる。
日本はこれまで、国際宇宙ステーション(ISS)に参加してきたが、ISSは24年までの運用しか決まっておらず、
その後は不透明だ。米航空宇宙局(NASA)はISS後をにらみ、新たに「深宇宙探査ゲートウェイ」構想を打ち出し
た。
宇宙飛行士の居住施設や燃料の補給設備などがある基地を月を回る軌道に建設し、月面有人探査の拠点や、
火星に向かう際の中継地点として使う。NASAは20年頃にも建設資材を打ち上げ、組み立てを始めたい考えだ。
政府は、ISSの運用で米国と密接に協力してきた経験を生かして米国の新基地構想に加わり、基地と補給船との
ドッキング技術など、日本の得意分野で貢献すれば、日本初の月面有人探査を目指せると判断した。
国際協力を進めれば費用も抑えられる。
政府は、専門家でつくる宇宙政策委員会などで今後の国際宇宙探査についての報告書をまとめるとともに、12月中旬に
改訂する宇宙基本計画の工程表にも、月有人探査に必要な技術開発などを盛り込む。
今月6日に行われた日米首脳会談では、「日米が宇宙探査の協力を推進する」との認識で一致した。
ただ、米国の新基地構想の具体的な計画や、作業や費用の分担は決まっておらず、政府はNASAの新長官が米議会で
承認された後、米国との本格的な交渉に入る。