神戸製鋼の問題があり他国のことを言ってる場合じゃないですけど。
信頼のおけるブランド、メイドインジャパンに傷をつけた神戸製鋼。反省だけじゃ済まされない。
素晴らしい製品を創り出すことで日本の名誉を回復する義務がある。
急成長の中国航空産業に不正部品疑惑、米国にも波紋
[上海 16日 ロイター] - 中国の航空機部品サプライヤーが、米飛行制御装置メーカー「ムーグ」(MOGa.N)に対して製造過程に
不備のある部品を納品し、関連書類を偽造してムーグが認証していない工場に下請けを依頼していたと、米連邦航空局(FAA)の
内部報告書が指摘していた。
ロイターが情報公開制度を利用して入手した2016年11月4日付の内部報告書は全9ページ。FAAはこの中で、影響がある部品
273個が、米航空機大手ボーイング(BA.N)の旅客機777型機の翼の、スポイラーと呼ばれる着陸時の減速装置に装着されている
と指摘した。装着されている機体数は明示されていなかった。
内部報告書は、問題の部品の名称や、装着された時期を特定していない。FAAとボーイング、ムーグは報告書の中で、航空機の
安全性には影響はないとしていた。ロイターの問い合わせにも、メールで同様の回答を寄せた。
ムーグは、商用機と軍用機のフライト・コントロール・システムのサプライヤー。航空機業界では、航空機の安全のために重要な部品
供給のトレーサビリティーや部品の品質は、厳しく管理されている。
今回の件で、直ちに安全性の問題が提起されるわけではない。
だが、世界最速で成長する航空産業を抱える中国が、外国の製造業者への依存を減らそうとするなかで、同国のサプライヤーや
規制当局にかかっているプレッシャーの大きさを示している。
もちろん、これは中国だけの問題ではない。
日本の神戸製鋼所(5406.T)の株価は先週、大規模なデータ不正が明らかになり急落した。同社は、航空機や自動車に使われる
アルミニウムや銅製品を供給しており、顧客は製品の安全確認に追われた。
急成長中の中国の航空宇宙産業は、競争の激しい世界市場に部品をより早く安価に供給することを狙っており、サプライヤーから
引き合いが絶えない状態だ。米国の貿易統計によると、米国の航空宇宙産業への中国からの部品輸出は、2009年の約3倍の
年間約12億ドル(約1350億円)になっている。
需要拡大により、それまで国有企業が主体だった航空機部品業界で、より小規模な部品メーカーの設立が加速している。
中国の航空宇宙産業は、単なる外国の航空機メーカーのサプライヤーではない。中国の航空会社は、ボーイングや欧州大手
エアバス(AIR.PA)の最大級の顧客として名を連ねている。さらに中国はいま、国産ジェット旅客機を開発中で、初の狭胴型機
「C919」は5月に初飛行を行った。
エアバスの品質管理担当マネジャーで、以前はムーグに勤務していた Mao Pingzhou氏は、中国はサプライチェーンの管理を
さらに改善する必要があると指摘する。
「さまざまな手順が定められているが、従業員や監督者は必ずしも厳格に実行していない」と、Mao氏はロイターに語った。
ロイターの取材に対し、FAAはメールで回答を寄せ、内部告発者Charles Shi氏が指摘した安全性への懸念を調査し、指摘された
内容のうち2件について事実と確認したと述べた。そのうち1件は対策が取られて終了した。もう1件は「ボーイングが修正策を
実行してFAAが確認するまで、案件はオープン」としている。詳細への言及は避けた。
ボーイングは、ムーグとともに「2案件を調査し、すでに必要な修正作業は全て実施した」と回答した。
また、「旅客の安全はわれわれの最優先の関心事だ」と強調した。
ムーグは、不正の指摘について「速やかに適切な調査」を行い、「疑惑の部品は全て飛行の安全に影響しないものだが、全て仕様に
合致していることが確認された」とした。
FAAの報告書によると、ムーグが行った720時間超に及ぶ部品のストレステストでも異常は起きず、ボーイングはこれらの部品を
航空機に装着したままにすることで合意した。
<内部告発>
Shi氏や同氏とFAAの間で交わされたメールによると、ムーグでかつて極東アジアのサプライチェーン管理を担当していたShi氏が
内部告発ホットラインに接触したことを受け、FAAは2016年3月にムーグの部品の調査に着手した。
Shi氏とムーグの同僚とのメールによると、Shi氏はそれ以前にもムーグで、サプライヤーの蘇州市新鴻基精密部品(NHJ)が
認証書類を偽造し、ムーグの許可なく下請けに依頼し、代替原料を使ったとの懸念を指摘していた。
ロイターは、Shi氏が語る内容を独自に確認することはできなかった。
Shi氏の指摘を受けて、上海にあるムーグのサプライヤー品質管理担当部門が2015年8─9月にNHJの内部調査を行い、
NHJがムーグに納品する部品の認証書類の偽造を試みていたほか、無断で孫請けに製造を委託していたことが分かった。
認証書類がどの部品向けのものかは、ロイターが確認したムーグのメールからは定かではない。ロイターは、NHJがこうした行為を
行う理由を断定できなかった。
「極めて不満が高まっている状況だ。中国の重点成長サプライヤーの1つが信頼できないということだ」と、ムーグの品質管理担当
部門のマネジャーは8月25日付のメールにこう記した。
FAAの報告書は、NHJが部品を未承認のサプライヤーに外注する一方、下請け業者は製造記録をねつ造し、決められた製造
過程を守らなかったと結論している。FAAは、未承認の代替材料を使用してムーグの部品を製造したとのShi氏の指摘には
同意しなかった。
同報告書はまた、下請けで部品のカドミウムコーティングを行っていた南通申海工業科技が、必要の半分しか焼付工程の時間を
取らず、製造記録をねつ造したと指摘した。
NHJ幹部のLi Jian氏は、ムーグの内部メールやFAAの報告書が指摘しているような違反行為はなかったと話す。
「検査で彼らがこうした事案を提起することはなかった。ムーグは正式ルートでわれわれに知らせるべきだったが、そうした連絡を
ムーグやFAAから受けたことはない」とLi氏はロイターに語った。
ムーグは、サプライヤーとのやり取りについてはコメントしないとしている。FAAは、コメントの求めに応じなかった。
南通申海工業科技のCheng Daoguang氏は、ロイターに対し、「製造工程記録を偽造しておらず、FAAからの訪問や査察は
なかった」と述べた。NHJ向けにこうした部品を製造したのは2015年2─6月だったという。
Cheng氏は、NHJやムーグから守るべき基準について明確な指示はなく、本来は焼付時間をもっと長くとるべきだったと認識した
のは、2015年8月にShi氏の訪問を受けた時だったと言う。
NHJのLi氏は、南通申海工業科技の問題についてコメントしなかった。
<不服>
Shi氏は、ムーグから解雇された後にFAAに接触したという。ムーグ側は、この解雇は「以前から伝達していたグローバル再編」の
一環で、サプライヤーの品質問題を指摘したことが原因ではないとしている。
「Shi氏は、通常の管理プロセスの中で、ムーグのサプライチェーン組織内にいる人間がすでに対応済みの内容以上のものを
指摘したわけではない」と、ムーグは説明している。
Shi氏は、米労働安全衛生管理局に対し、内部告発が理由でムーグから解雇されたとして不服を申し立てたという。
米国の裁判官は先月、管轄外だとして申し立てを却下した。Shi氏はそれに対し、不服の申し立てを行っている。