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アベノミクスは長期安定政権で成果、混乱のトランプノミクス横目に

2017-05-22 18:20:16 | 日本経済・輸出入

アベノミクスは長期安定政権で成果、混乱のトランプノミクス横目に

2017年5月19日 06:00 JST  Bloomberg

  • GDPは11年ぶりとなる5期連続プラス成長
  • 「安定政権の重要性を感じさせる」-クレディ・スイスの塩野氏

5年目に入った安倍晋三首相の下で、1-3月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は11年ぶりとなる5期連続プラス

成長となった。政治的混乱が経済に影を落としている米国のトランプ政権とは対照的に、識者からは政権の安定が経済

を下支えしている、との声が出ている。


  クレディ・スイス証券の塩野剛志エコノミストは「トランプ政権で起きていることは、安倍首相が維持している安定政権

の重要性を改めて感じさせる」と述べた。政権の安定は「為替が円安となり、株価が上昇する一つの要因となった」と分

析する。


  安倍首相は2012年12月に政権に復帰。金融緩和を起爆剤とした円安・株高による経済成長を目指すアベノミクス

を提唱し、景気拡大を押し進めてきた。NHK支持率調査によると、一時期を除き、支持が不支持を上回る状態が続い

ている。5年5カ月にわたった小泉政権後、第1次安倍政権も含む6内閣は最長でも約1年4カ月で退陣。その間、日本

経済は一進一退を続けていた。

日本総研副理事長で内閣府経済分析担当審議官も務めた湯元健治氏は、第2次安倍政権発足前の不安定な政治状

況について「景気にとって大きな足かせとなってきた」との見方を示す。「経済対策をタイムリーに通すこともできず、ねじ

れ国会では何をすべきかについて同意に至ることが難しかった」と述べた。


  18日に発表された1-3月期のGDPは前期比0.5%増。年率換算では2.2%増となり、市場予想を上回った。輸出

が堅調な中で消費が持ち直した。


  トランプ米大統領の経済政策「トランプノミクス」で期待されてきた米景気浮揚の見通しは、ロシア関連疑惑を巡って

不確かなものとなりつつある。政治的困難によって、エコノミストがGDP押し上げの頼みの綱としてきた減税やインフラ

支出拡大を大統領が実現できるか疑問が生じているためだ。
  

  米ワシントンの調査会社、テネオ・インテリジェンスの日本担当アナリスト、トビアス・ハリス氏は、一国を治める政治

家がどの程度、経済成長に貢献しているかを知るのは難しいと指摘。日本の経済成長は世界経済の改善の影響もある

としながらも、安倍首相は自身の経済政策が成長に導いたと成果をアピールするだろうとの見方を示した。


 

アベノミクスは正しかった” GDP年率2.2%増、海外メディアが安倍首相の手腕を再評価

 

2017年5月20日   NewSphere

4年半前に「金融緩和」、「財政出動」、「成長戦略」の3本の矢で、デフレ脱却を目指して始まったアベノミクスは結果を出

せず失敗だった、という見方が広がっていた。ところが内閣府の発表では、2017年1~3月期の日本のGDP速報値は

年率換算で2.2%増となり、5四半期連続のプラス成長となった。緩やかながらも回復基調が続いていることから、海外

メディアはアベノミクスの効果を認め、安倍首相の手腕を再評価している。

 

◆景気は回復基調。インフレは起こるのか?

 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、2.2%という数字はアナリストの予測の1.7%を越え、長期的潜在成長率の0.7%

をはるかに上回るものだったとし、経済が余剰能力を使い果たしており、失業率が下がり続けることを示唆すると述べ

る。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、2005-2006年以来、最も長期に渡り経済が拡大しており、景気拡大のペース

は前四半期よりも加速していると述べる。ブルームバーグは、輸出と底堅い国内需要が、成長の牽引役になったと説明

している。

 

 各メディアとも、日本経済が本格的に回復の軌道に乗ってきたと見ているようだが、我々の景気の実感に近い名目

GDPは年率0.1%減となった。JPモルガンのエコノミスト、足立正道氏は、増えた輸入コストを企業が消費者に転嫁しな

かったためと指摘し、ここにインフレを起こすための日銀の苦労が表れていると述べる。同氏は「成長」が「企業・家計の

デフレマインド」と綱引きをしている状態だと現状を説明する(FT)。NYTは、アベノミクスの量的緩和が成長を押し上げ

る助けとなったことにほぼ疑いはないとしているが、欠けているものはインフレだと述べ、物価が動かなければ、今の流

れが消えてしまうとしている。

 

◆アベノミクスは正しかった。今こそ財政目標は忘れてインフレを

 FTは、いつまでもインフレを起こせないアベノミクスは効き目がないと言う批評家たちは間違っていると断じ、安倍首相

の手腕を高く評価している。日本の失業率はこの22年で最低となり、労働力確保は企業の課題となっている。20年以

上に渡り安くて豊富な労働力を確保してきた企業は、価格を上げるよりもむしろサービスの質を落とすことで人員削減に

対応しているが、今後はそれも立ち行かなくなるため、インフレのための機は熟してきたと同紙は見ている。

 

 アベノミクスの成功は、世界経済にも左右される。2014年のコモディティ価格の下落や2015年の新興市場の低迷は

円高を招き、インフレを起こすにはひどい環境だったが、トランプ政権誕生後の円安は追い風だとFTは指摘する。

 

 政府は、2014年の消費増税と、一時期を除き4年半の間、財政政策を厳しくしたことは間違いだったと気づいており、

少しばかり財布のひもを緩め始めたとFTは述べ、ばかばかしくでたらめな財政目標など無視し、インフレが起きるまでア

ベノミクスを続けよと主張している。

 

◆長期政権による安定感も貢献。本格的景気回復は来るのか?

 ブルームバーグも、安倍首相を評価する。安倍政権以前の日本は、次々と首相が交代して不安定だったとし、安倍政

権が長期安定政権となったことが、日本経済の回復にポジティブに働いていると述べる。日本総研の湯元健治副理事

長は、以前の政府は経済対策をタイムリーに通すこともできず、ねじれ国会では国のニーズと食い違ってばかりだった

が、安倍政権下ではそれがなくなったとしている。

 

 JPモルガンの足立氏は、国民の景気回復の実感は薄いが、少なくとも明日の暮らしの心配はなく、20年続いたデフレ

と賃金下落の後、経済が目指す方向については、「安堵感」があるのではないかとしている。ブルームバーグは、日経

平均株価も安倍政権下で2倍となり、最近では2万円台に近づいたことをあげ、これも景気回復ムードに貢献していると

述べている。

 

 もっとも、ブルームバーグ、FTとも、安定的な回復が到来するには、あと数年はかかると見ている。FTは、これまでのア

ベノミクスの努力で、インフレ、日本経済再生に向けてかなり前進したとするが、ブルームバーグは、堅調な外需、円安、

財政出動など、外的または一時的な要因が成長を牽引しているため、それがいつまで続くかは疑問だというエコノミスト

の意見も紹介している。