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異例尽くしの共和党大会で見えた、「トランプ現象」の終焉

2016-07-24 17:39:18 | USA

異例尽くしの共和党大会で見えた、「トランプ現象」の終焉

2016年7月22日(金)15時20分 Newsweek
 

<トランプが指名候補を獲得し、最悪の事態は回避された共和党大会。しかし依然として政策上の分裂は埋められず、予備選で対抗馬だったクルーズは最後までトランプ支持を表明しなかった>


 今週18~22日の4日間にかけてオハイオ州クリーブランドで開催された共和党大会は、何もかもが異例だった。

まず象徴的だったのは、地元の人気共和党知事で、ドナルド・トランプ候補に対抗して予備選を戦ったジョン・ケーシック知事が「不参

加」を表明したことだ。

 ケーシックだけでなく、ブッシュ一家も同様で、「存命中の共和党の大統領経験者」が顔を見せない党大会となった。

ちなみに、大会の前週にジェブ・ ブッシュ元フロリダ州知事が、一家を代表してNBCのインタビューに応じ(インタビュアーは、ブッシュ

元大統領報道官のニコル・ワレス氏)、「人々はトラ ンプに騙されている」と激しい口調でトランプの代表候補選出に反対していた。

 党大会では、日替わりで大きなトラブルが発生した。初日の18日には、一部の「州代議員団」が自由投票を要求したり、「アンチ・トラ

ンプ」の看板を掲げたりして、公然と「造反」の姿勢を示して話題を呼んだ。

 この日はトランプのメラニア夫人が、夫を讃えるとともに自分の半生を振り返る演説を行ったが、一夜明けた19日からは、この演説

が「盗作ではない か?」という疑惑が噴出して騒ぎとなった。2008年の民主党大会で、ミシェル・オバマ夫人が行ったスピーチからの

「コピペ」ではないかというのだ。

 トランプ陣営は強く否定したが、やがて否定しきれなくなり、20日になって「トランプの企業サイドのブレーンがゴーストライターで、その

女性が責 任を取って謝罪する」という流れになった。結果的に「コピペ」を認めた形で、またダメージコントロールに2日間を要したため

に、批判的な報道が垂れ流しさ れるままになった。

 この間、多くの政治家や支持者が演台に立ってスピーチしたが、具体的な政策論はほとんどなく、共通の話題は「ヒラリー批判」だけ。

19日頃から は、参加者の間で「Lock her up!(牢屋にぶち込め!)」というフレーズが合言葉になり、何かにつけてそのチャント(合

唱)が起こるようになった。

 このセンチメントに多くの政治家が「便乗」した。例えばニューヨークの元市長、ルドルフ・ジュリアーニ氏などは、9・11の同時多発テ

ロ直後には ニューヨーク選出の上院議員だったヒラリーと二人三脚で、ニューヨークの復興や治安確保をやっていたことなどまったく無

かったかのように「ヒラリーは嘘つ き」だとジェスチャー付きで絶叫していた。

「便乗」の最たるものはニュージャージ州のクリス・クリスティ知事だろう。自分は以前に連邦検察官だったので、その「経験を活かしてヒ

ラリーの起訴 をやってみよう」と提案し、一つ一つヒラリーの「罪状」を取り上げては「有罪? それとも無罪?」と聴衆を挑発していっ

た。場内は大喜びで「有罪」と叫 び、そしてお気に入りのフレーズである「牢屋にブチ込め」を合唱した。

 何とも低次元の演説で、聴衆の代議員の反応もまた低次元だが、これに関してNBCの記者が「インディアナ州の代議員」たちにイン

タビューしてい た。

代議員はカウボーイハットをかぶった中年の女性たちで、典型的な中西部の白人保守派に見えたが、彼女らに言わせると「下品なヒラ

リー批判で盛り上が る」のは、「他に団結のしようがないから」だという。

「そうでもしないと、結局ヒラリーが勝っちゃうでしょ?」という何とも冷めた視点がそこにはあった。

下品なヒラリー批判で盛り上がるくらいしか「党の団結」を演出するのは難しいと言うのだ。

 そして3日目の20日に大きなドラマが起きた。予備選で獲得代議員数第2位と善戦したテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)

が演台に立ち、 延々と彼なりの「保守思想」を語った上で、最後にこうブチ上げたのだ。「11月には投票に行きましょう。そして投票用

紙を下から上までよく見て、自分の信 念に従って投票しましょう」

 これに対してトランプ支持派で固めたニューヨーク州の代議員団からは激しいブーイングと共に「トランプ支持をせよ」というコールが

起きた。

だがク ルーズは、「ニューヨーク代議員団は情熱的ですねえ。私は大好きですよ」と微笑んで受け流し、場内に大見得を切るかのよう

に手を振って降壇した。要するに 「自分はトランプを支持しない」と言ったようなものだ。

 このクルーズ演説はあまりに強烈で、会場内からは猛然と非難が起きた一方、リベラル派が多い各メディアは大変な盛り上がりとなっ

た。結局この日のハイライトとなるはずのマイク・ペンス副大統領候補(インディアナ州知事)のスピーチの話題は完全に吹っ飛んでし

まった。
 
 いよいよ最終日の21日、長女のイヴァンカ・トランプが紹介役となって、トランプ本人が「指名受諾演説」を行った。

この受諾演説は1時間15分という記 録的な長さとなったが、内容は相変わらず「保護主義」「孤立主義」「宗教保守主義の無視」など、

共和党の基軸イデオロギーとは大きく乖離していた。会場は 盛り上がったが、政策的に「党の団結」はまったく達成されなかった。

一方で非常に気になったのは、21日のニューヨーク・タイムズに掲載されたトランプの単独インタビューだ。

そこでは「バルト三国へロシアが侵攻」し たケースでの米軍の行動を問われ、「見返りがなければ行動しない」と述べ、

NATOの集団的自衛権を否定するという爆弾発言をしている

。同じインタビュー で、権力集中を強めるトルコのエルドアン政権への無条件での支持を打ち出し、

これも極めて一方的な印象を与えている。

 結局、党大会では、代議員の過半数が造反して「第三の候補」が出てくるといったドラマは起こらず、トランプが正式に候補に指名さ

れ、トランプがそれを受諾したことも間違いない。つまり党大会としては、最悪の事態は回避された。

  だが政界の一部からは、クルーズの「爆弾演説」は2020年大統領選への前哨戦がスタートしたことを意味している、という声も聞か

れる。11月の 本選はヒラリーが勝ってもいいから、とにかく共和党の「再建」へ動こうということだろう。

もしかしたら、風船と紙吹雪が舞ったこの21日の党大会の幕切れ が、「トランプ現象の終わりの始まり」になるのかもしれない。

いやはや、大変な共和党大会ですね。

分裂ハチャメチャ状態って印象です。

大御所は大会に出席せず、クルーズ氏は匙をなげてしまった。

アマチュア候補が暴言吐いて、それに踊ってる支持者たち。

トランプ不支持者の方がまともになんです。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。